108 魔物駆逐
「僕は教会所属だからね。神様はいると思っているよ。ただ、スキルを授ける所に関与しているかまでは考えて無いけど」
俺はいないと割り切っているけどシュタインはシュタインで別の割り切り方をしているな。
「ルナスは神様を信じている?」
「どうだろうな。私は勇者の怒りこそ問題あれど、恵まれている側だろうという自覚はある」
ルナスもどちらかと言えば神様はいる派って所みたいだ。
まあ、勇者なんて恵まれたスキル構成をしてないと見習いにすらなれないんだから当然か。
「私達が出会うのは運命だった……という語りを君は嫌いそうだな。だが、私は君がいる事がとても大切なのは変わらない事を理解してくれれば良い」
「それはわかってるよ」
「ヌマー」
ルナスとクマールが俺に対して親しげにしている。
まあ……無能だとか言われて蔑まれるより良いさ。
俺は俺が出来る事をしていくしかないんだ。
って感じに話をしながらグレーターデーモン達をどんどん殲滅していく。
この階層の戦闘も手慣れたもんだなぁ。
「着実に私達は強くなっているぞ! リエル! ハイホーリーファイア一発で確実に仕留められるようになったぞ!」
以前から一発で倒せる事は多かったが、ルナスの魔法でグレーターデーモン達が確実に一発で倒せる様になってしまった。
相変わらず勇者の怒り状態のルナスは尋常じゃないな。
しかも成長の余地を残しているんだもんな。
「いやーうん、凄いよ。グレーターデーモンって魔物の中でも上位の悪魔族の魔物なのにね。宮仕えの勇者でここまで力を出せるのは他にいないんじゃないかな?」
「ははは! それだけ強くなってきた証であるな。物足りなくなってきたが少年とクマールのLvを上げるのに必要なのだからやっていくぞ」
「ヌ……ヌマ」
クマールもルナスのハイテンションタイムに引き気味だ。
あるいは体に流れ込む経験値によって急激に成長して戸惑っているのかも知れない。
「うん。僕の墓守の力も良い感じに成長してきてる感覚があるよ。ついでにグレーターデーモンの死体も操作できるようになってきたし」
っと、シュタインは魔法で倒したグレーターデーモンの死体を操って護衛代わりに連れてきている。
かなり不気味なんだけどな。
死んだフリ状態の俺を操る以外にもスキルの練習をしているそうだ。
「この階層にいる魔物を駆逐しちゃってるね」
「前に来た時もやったな。ちょっと来ていないだけでこれだけ増えている訳だが、一体どこから現れるのか」
「迷宮に出現する魔物はどんな原理で出現するか色々と仮説があるね。リエル、その辺り知っているかい?」




