01 迷宮内追放
「こんな所でいきなり何?」
ミットロハール大迷宮の32階。
凶悪な魔物が跋扈する階層で突然、プリーストのマシュアが俺にいきなり強い声音で言い切る。
マシュアは19歳のプリーストでみんなの傷を治したり光の魔法で攻撃する魔法職をしている女の子だ。
顔はそこそこ良くて冒険者内では人気も高い。
気が強い所がプリーストらしくないと言われたりしたけれど、それでも豪胆さが長所に見られる性格をしている。
ポジションは回復……ヒーラー。
「もう限界だって言ったのよ! リエル! アンタはここで解雇! パーティーから抜けてって言ってるの!」
大迷宮に入る前からなんか不機嫌だなとは思ったけど、いきなり何なんだ。
パーティー結成当時からずっと一緒に冒険をしている仲間にいきなり拒絶の言葉を言われて……薄々感じていた考えが脳裏を過ぎる。
「マシュア、いきなりそんな事言われても」
かといってこんな危険な階層でそんな事言われたってどうしようもない。
何にしても、こういった話は迷宮から出てからする話じゃないのか?
「ハッキリ言うわ! 戦闘に全く貢献できない荷物持ちのレンジャーはいらないの。むしろあなた自身がお荷物だから出てって頂戴。もちろん装備もお金も全て置いてね!」
ルセンもそう思うわよね! っとマシュアは賢者のルセンにも同意しているかと顔を向ける。
賢者のルセンは22歳のみんなよりも少しばかり年上の若干背が低めで面長の顔をした男だ。
目付きが鋭く、色々と目敏い。
ポジションは当然ながら魔法による後衛アタッカー。
強力な魔法を使って魔物を倒す役目を持っている。
得意魔法は火の魔法だ。
ルセンはニヤついた笑みを浮かべて頷く。
「そうだ。俺達パーティーの世間一般の認識はどうなのかわからないのか? 俺達は一流のトップパーティーで国にその活躍を認めてもらって宮仕えにすらなったんだぞ? ならば相応に優秀な人材が集まって本当に強力なパーティーにならなきゃいけないんだ」
「そうよ。だけどあなたは何? レンジャーを自称してるけど大して強くもないじゃない」
「お、俺の役割は罠の発見や鍵開け、みんなが戦いやすいように食糧確保や採取、装備のメンテナンス、今も荷物を持ってるじゃないか」
俺、リエル=キークファンはこれまでレンジャー兼、サポーター全般をしてきた。
主に魔物がどこにいるのかを事前に察知し、罠などを見抜き、宝箱などがあったら鍵開けなどを行う。
武器は短剣やミニクロスボウなどによる遠距離攻撃。
サポーターというのは文字通り他に荷物を持ったり薬の簡易調合を行ったり料理や装備のメンテナンスを簡易的に行う。
弱小パーティーだった頃はみんなが戦えるように俺が色々とがんばって覚えた。
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