句集『明日の春』
もう弥生ですね
*冬めくや灯台守の顔の皺
《冬:冬めく》
【一言】灯台守という過酷をご存知か!
*暖簾取る風呂屋の少女冬の月
《冬:冬の月》
夜分労働でも実家なので法律は目を瞑って!
*増して犬吠えたる夜や明日の春
《冬:明日の春》
これ、粋な季語ですね!
*石段を越え晩冬の伽藍堂
《冬:晩冬》
がらんとした店のがらんはこの伽藍です!
*決せずの雪合戦や夕暮れへ
《冬:雪合戦》
色や喧騒の変化が感じられるのでお気に入り!
*揺れやすし歩兵の軽さ冬の空
《冬:冬の空》
私のはプラスチック製なので余計震える!
*軋めけば猫背も直る冬座敷
《冬:冬座敷》
二条城の鶯張り的な?
*煤籠り祖母と子供の駄弁り声
《冬:煤籠り》
お母さんには内緒の話!
*鍋囲いいざ食え/\や大根の冬
《冬:大根、冬》字余り、季重り
今年は暖冬で大根が大豊作なようですね!
*冴ゆる夜終電待ちし学生や
《冬:冴ゆ》
面白味はないですが、想像の働く句です!
*小春といふ冬の季語もありにけり
《冬:小春、冬》季重なり、破調の句
季重なりは強弱が確りしてれば良いようです!
*終りとは冬と言へども物寂し
《冬:冬》
春や夏は待遇されますよね。冬もいいよ!
*いつもより多く食べれば春まぢか
《冬:春まぢか》
明日の春とこれは"春隣"の子季語です!
*なずなゆれて心のまにまにありく
《春:なずな》破調の句
合計17音。とある人の詩集に捧げます!
*推敲の路程に見付けし薺かな
《春:薺》字余り
正直この句はあまり好きではありません!
*馬鹿となり徒労もいいと思ふ春
《春:春》
青春ですね。いいなぁ!
*閏日やいつもに増して鳴く初音
《春:初音》
貴重な一日、でもただの一日!
*「ありがとうございました」と晩夏光
《夏:晩夏光》
単純ですが色んなものを含んでそうな句!
*逃水を追ってきました旅興行
《夏:逃水》字余り
【派生三行詩】
とおく旅興行の声がする
逃水を追ってきました
そんなピエロに夏のそら
*逃水を追ってきました旅烏
《夏:逃水》
【派生三行詩】
君は旅烏なんだね
逃水を追ってきました
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お読み頂きありがとうございました。拙いものでしたが、一句でも気に入って頂けたらと思います。
俳句って他人のを見ると「私にも詠めそう!」ってなりますがいざ創るとなると逡巡して、ああ! ってなります。やはりゼロから世界を作るとなると並大抵の感受性では無理なようです。だから私は攻めずに初心者らしく簡単に詠んでみました。まず季語を歳時記から選び、残りの12音で一フレーズを作り、それらを組み合わせる。今回の句集もその技法が多いですね。季語はその季節のリアルを内在しているので、とても詠みやすかったです。某俳句査定テレビ番組をみていて、俳句の奥深さがよーく分かります。私みたいなド・素人はまず、そう言う番組で定型を極めていった方が良いですね。ちなみに私は「暖簾」「決せず」「逃水(興行)」が我ながら好きです。……まっ、低レベルですけどね。
そういえばもう三月ですね。多分この三月は伝説の三月になりますよ。だって、全国の小中高校生が学校無し、夏休みと違って部活も無しのフリー状態なんですよ。荒れる予感! ……とにかく、少しでも早く収束することを願っています。二ヶ月後位には、この投稿を見ていて「ああ、この時はまだ新型コロナが流行ってたんだなぁ」と、のほほんとしたいものです。
それでは。皆さんもどうかご自愛ください。
m(_ _)m