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極振り騎士のVR譚  作者: 長曽根
1章 教国の宝物殿
6/16

6話 深淵の化け物







ログアウトした俺は遥香がまだゲームしているのを確認し、夕飯を作り始めた。どうせ俺も遥香も夕飯を食ったらすぐにゲームをするんだ。



簡単に作れる夕食として親子丼をつくり、遥香がゲームを止めるまで適当にニュースを見てるとDMOについてのコーナーがあった。



なんでもゲーム業界で売り上げNo.1らしい。それもそうか、VRゲームってだけでも珍しいのに今までとは全く違う体系のゲームなんだから売れないはずがない。



そこで遥香がゲームを終えリビングに降りてきた。



「遥香ぁ〜!夕飯親子丼だぞ!」



「お!ありがと、お兄ぃ!」


そう言って遥香は親子丼を食べ始めた。遥香もゲームは進めたのかな?



「お兄ぃはゲーム進めた?私はもうレベル6だよ!すごいでしょ!」



「おお、遥香はすごいな!俺なんてまだレベル1だぞ。初期地点が敵地だった。」



「敵地なんてあるの?あぁ、不死系魔物にとって聖魔法って弱点だったっけ?それで敵地ってのは?」



「初期地点が聖域結界っていう聖魔法だらけの場所で生まれて5秒で死んだ。」



「まじで?動けんの?それ」



「それで繰り返してたら聖魔法耐性獲得した。ドヤァ」



「お、おめでとう…私はPK倒したよ!その時のドロップが格好良くてさ。」



「PKってあれか?プレイヤーを殺す奴。」



「そうそう、これが結構いいんだよね。」



「俺、魔物だしPKやろうかな?」



「まぁ魔物ならPKが普通なんじゃない?」




そうして夕飯を食べ終えた俺は片付けを終え再びDMOに、ログインした。








目を開けるとやはり金銀財宝が辺り一面に広がっていた。もう少し装備を吸収したら脱出しようと思ってるのでとりあえず宝を漁ることにした。



「うーん、やっぱりレア度が高すぎて吸収できそうなやつが少ないな。」



そんな事を思いながら探索してると一箇所だけ歪な壁を見つけた。隠し扉か?そう思いドアを開けようとするが開かなかった。



とりあえず開かないなら斬ろうと考え腰に差してある謎ノ剣を片手で持つ。剣道では両手持ちだが、今では魔法が使えるので片手を空けておかなければならない。




それに片手でも振れるのだ。ゲームの中だから筋力があればあるほどまるで紙のように振れる。そして上段からは一振りにドアを切り裂く。




その瞬間中からとてつもなくドス黒い空気が流れてきた。小学生の時に師匠に北海道の山の中に放り込まれた時にヒグマに襲われた時と全く同じ雰囲気を感じたため即座に後方へ退避した。




俺の予感は的中したようだ。さっきまで俺がいた場所には瘴気のようなモノを発している触手が地面に突き刺さっていた。触手が生えているものを確認しようと一歩ずつ前へ進んでいく。




そして俺は見た。一言で言うと“異形”。その一言に尽きる。目は約7つほどあり足は8本、見た瞬間に死を覚悟した。こういう時のために鑑定があるんだろうと思い唸る触手を謎ノ剣で捌く。




即座に鑑定をかけた。そこでまた思い知った。これは俺の敵う敵じゃないと。ヒグマなんか屁でもないほどの圧倒的存在感。これがゲームだと?運営もエグいもの作りやがる。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

◾️名前ネーム: @d'am9÷$[\$○€〜


◾️種族レイス深淵皇帝アビスロードLv78


◾️職業ジョブ奈落王アバドンLv78


◾️等級ランク:EX


HP:3^$×々215:2:|×2<※8

MP:bw(α@j’)Xcjcas


筋力:〒|<$#♪○8「0

耐久:÷$>9〒」○♪€6^

精神:=%$\0)\×○

敏捷:#$+25〒€〒:68#2

器用:=°$1〆々€$15>〒÷5


◾️能力スキル

rjふ7、!¥」)@(「!おいklbz:5!


◾️称号タイトル:/jyyu##p(€$☆<」3

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




運営ふざけてんだろ。あいにく何故かわからんが動きは存在感ほどはない。弱ってんな、封印とかなんかか?宗教国家の奥に封印された明らかに邪悪な化け物。



俺やばいもの解放しちゃったなぁ。取り敢えずあの触手を防ぐことに専念するしかない。おっと、あっぶね!ちっ、触手が2本に増えやがった。



俺は反射的に触手を斬り飛ばした。意外と脆いな。でも1本だけならなんとか捌ける。しかもあれどう考えても俺の耐久関係なしに攻撃を加えられそうだな。



「「ググググギギギャャャャャァァァァ」」


体の奥底から不快感が込み上げてくるような咆哮と共に触手の攻撃は苛烈さを増していった。わざわざあげた俺の耐久が意味をなさない相手がいるとは。



やはり慢心は人を鈍らせるな。そうだ、こんな時の為の魔法じゃないか!俺は走りながら触手を捌き、詠唱する。



「炎よ、燃え盛り球となれ!火球ファイアーボール!!」



ーーーーーーーーーー


【魔力制御Lv1】を獲得しました


ーーーーーーーーーー


今かよ!ってかこれ無かったってことは魔法の威力落ちてたんじゃね?


俺の左手から放たれた火球は化け物の7つある眼球に直撃した。何故避けない?あの速度なら避けれるはずだが?



それがダメだった。燃やされたはずの眼球がこちらを向いた。そして再度咆哮を上げると触手にドス黒いモヤを纏い、振り払った。




俺はさっきと同じように裁こうとした結果跳ね飛ばされ壁に激突した。生憎痛覚センサーは切ってあるので痛みはあまり感じないが、衝撃は感じる。



カハッと息を吐きながら、吹っ飛ばされた俺は即座に両手待ちに切り替えて敵を見据える。



「炎付与ォォ!」




俺は謎ノ剣の機能を叫ぶと剣が灼熱の炎に包まれた。何故か俺は熱くないので所有者はダメージを負わないのだろう。俺は続けざまに雷を付与する。



バチバチと青白い雷を迸らせながら燃え盛る剣を両手で持ち俺は化け物へと突撃する。先程化け物に火球を当てた時に核と思しきものを見つけたのだ。




俺は7つの眼球の下40センチあたりに全力の突きを放ち、



「明王化ァァァ!劫炎滅魔ァァァ!!!」



鋒から全ての魔を灼き払う仏の劫火を放ち化け物を内から燃やす。自身の耐久と筋力と精神を5倍にすることで仮に反撃されても少しは耐えられるだろう。



化け物は核と思しきモノを貫かれ灼熱の劫火に身を焼かれ灰となり消えていった。疲労から倒れた俺は優しい男がありがとうと言ったのを聞いた。



「っ!どこだ!」



辺りを見渡すと先程化け物がいたところに金髪で綺麗な金色の瞳をした優男がいかにも大魔導師といった雰囲気のロープを身に付け幽霊のように透けている体で浮かんでいた。



(ありがとう、僕をこの深淵の呪縛から解き放ってくれて)



頭の中に直接流れ込んでくる心地いい音だ。



(そして忠告だ。君は魔物だ、故に力を求めることがあるだろう。


だが決して、深淵にだけは近づいてはならない。


必ず僕のように深淵の闇に飲み込まれるだろう)



なるほど、死の間際に俺に教えてくれたのか。でも俺は大丈夫だ。なんたって



「俺には仲間がいる。友がいる。俺が闇に飲まれようと必ず止めてくれる友がいる。」



そういうと彼は優しい笑顔で笑った。



(そうか、君には仲間がいるのかい。


それなら安心だね。


それと、僕を呪縛から解き放ってくれたお礼にこれを授けよう。


じゃあ、さようならだ青年。


輪廻の先でまた会おう。)




「あぁ、またいつか会えるといいな。」



そうして優男は光の粒子となり消えていった。




《【世界ワールドクエスト】『深淵の大魔導師』を『アーサー』がクリアしました。》



《これにより新スキルが開放されました。》



インフォ?!これ全プレイヤーに聞こえてるやつじゃね?ピコンッ!次はメッセージか?



ーーーーーーーーーー


戦闘に勝利しました


種族レイスレベルが上昇しました。18SP獲得をしました

進化可能です


職業ジョブレベルが上昇しました。18SP獲得をしました

転職可能です


【頑強Lv1】は【頑強Lv2】に上昇しました


【偽装Lv1】は【偽装Lv2】に上昇しました


【鑑定Lv6】は【鑑定Lv7】に上昇しました


【火魔法Lv1】は【火魔法Lv2】に上昇しました


【剣術Lv1】は【剣術Lv6】に上昇しました


【明王化Lv1】は【明王化Lv2】に上昇しました


【劫炎滅魔Lv1】は【劫炎滅魔Lv2】に上昇しました


特殊条件を満たした為、称号タイトル:天地無双を獲得しました


特殊条件を満たした為、特殊能力ユニークスキル不落城塞ロード・オブ・キャッスルを獲得しました


称号タイトル:天地無双の獲得により能力スキル:【天断アマネダチLv1】【王威Lv1】を獲得しました


ーーーーーーーーーー



やっと終わったか。ピコンッ!まだあんの!?



ーーーーーーーーーー


世界ワールドクエスト】


クエスト名:深淵の大魔導師


参加条件

・教国の宝物殿の発見

深淵皇帝アビスロードとの戦闘


達成条件

深淵皇帝アビスロードに勝利すること

・大魔導師の関心を得ること


失敗条件

深淵皇帝アビスロードに敗北すること


達成報酬

・大魔導師ネルトールの魔導書グリモワール

・進化の宝玉5つ

・深淵のマント

・幻獣の卵


ーーーーーーーーーー



めっちゃ良さそうな報酬なんですけど。










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