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ざっくりと説明。

本日2話目の更新です。


 夫、野崎拓人のざきたくと38歳。

 妻、野崎梨花のざきりか32歳。


 私たちは結婚して一年目になる「ラブラブな夫婦」だ。







 ライター業をなりわいとしている拓人さんは、在宅ワークをしている。小説を書いたり雑誌のコラムを書いたりする、とても素晴らしいお仕事だ。

 それに拓人さんは家事もしてくれる。

 炊事と掃除を担当している彼のご飯のおかげで、私の健康が保たれているといっても過言ではない。

 たまに作ってくれるお菓子は絶品。

 体重のメモリを気にしているのに、いつも食べ過ぎるから困ってしまう。敵は身内にあり、だ。


 私は某メーカーに勤める会社員で、商品の開発や企画をする部署に所属している。

 あまり外に出ない拓人さんのかわりに買い出しを担当している。重いものはネット通販で頼むから、細々したものだけど。あと一部の洗濯ね。

 いや、ほら、洗濯ってこだわりがあるでしょ? 下着とか手洗いしたり……もにょもにょ。


 とにかく。

 私たちはラブラブで、毎日を平和で楽しく過ごしていた。

 特別お金持ちとかじゃないけど、毎日が幸せで満ち足りていたんだ。


 それなのに……。







 ある日、拓人さんは異世界に召喚されたらしい。

 彼がよく読むライトノベルの主人公みたいに、異世界の女神様とかいう存在に会ったんだって。


「魔王から世界を救ってほしい」


 理不尽な要求に拓人さんは「YES」と答えるしかなかったんだって。

 そりゃそうだよね。私たちみたいなごく普通の一般人に対して「断れば多くの人の命が失われますよ」とか言って脅すとか、異世界の女神とかマジ鬼畜って感じだよね。

 本当に女神なのかしら? ちゃんと信仰とかされてる?

 ああ、されてるのね。へぇ、すごいね。(棒読み)


 さすがに一般人を「勇者」として異世界に送るからと、たくさんの能力を盛り盛りで授けられたそうだ。

 能力を盛るとか当たり前でしょ。ふざけんな女神……おっといけない、つい本音が。


 異世界に送られた拓人さんは、とにかく、ただただ、がむしゃらに頑張った。

 少なくとも十年はかかると言われた魔王討伐を、拓人さんは三年で終わらせたらしい。

 やだ。うちの夫ったら自分と関係ない世界のことなのにマジ優しい。マジ優秀。

 他の世界から人を呼んで魔王討伐させるような、どっかの鬼畜女神に見習ってほしいわ。マジで。


 お姫様やら貴族のご令嬢をはじめ、乳がホルスタインな聖女やクーデレ女騎士、さらにロリビッチな魔法使いなどなど……とにかく女性にモテて、モテて、モテまくって求婚されまくった拓人さん。


 でも、うちの拓人さん、彼女たちの求婚をすっぱり断ったんですって。

 私に会いたいから、この世界に急いで帰ってきたんですって。


「俺、りっちゃん以外の女性とどうこうなるとか、ありえないし。むしろ気持ち悪くて死ぬかと思った」


 んもー!! 奥さん、聞きました!?

 うちの夫!! もう!! 何の取り柄もない私を選んじゃうとか!! もう!!!!


 ……ハァハァ、荒ぶってしまいました。ハァハァ。(動悸、息切れ)


「りっちゃんは、存在しているだけで尊いから」


 ……!?!?(死因:夫萌え)







 荒唐無稽な話だと思うでしょ?

 私も最初はそう思ったのよ。

 だって三年だよ? 三年も居なくなるとか、ありえないでしょ?


 実際、拓人さんが留守にしてたの、ひと晩だったからね。

 私なんて、ぐーすか寝てただけだったし……。


「りっちゃんの睡眠時間を削るとか万死に値するから。ちゃんと寝てたならよかったよ」


 うん。好き。


 もちろん私は信じたよ。

 拓人さんが異世界に行ったって言うなら、それは真実なんだから。

 付き合いが長いからこそ分かる。

 大好きな拓人さんが嘘をつかないと知っているし、それに……。


「あの自称女神とかいう人が、お礼にスキルを3つくれたんだ。小さいやつだけど」


「何にしたの?」


「精霊魔法(小)と、回復魔法(小)……それと、肉体強化(小)」


「に、肉体……強化……?」


「こんな感じになっちゃった」


 ペロンと服をまくった拓人さんのお腹は、見事なシックスパックに割れていた。

 よく見れば他の部位もほどよく引き締まり、ムキムキになっているではないか。

 肉体強化の「小」ということで、ガチムチではなくソフトマッチョだ。表現するならば、外国の男性モデルさんのような体形という感じ。いわゆる細マッチョよりも肉が付いている感じ。


「昨日、一緒にお風呂に入った時は、お腹ポヨポヨだったのに……」


「嫌い?」


「ポヨポヨも好きだけど、割れてるのも好き。拓人ならなんでも好き。だから結婚して」


「りっちゃん!! 結婚しよう!!」


 まぁ、結婚してるんだけどね!(茶番)


 感極まって抱きしめられた私は、拓人さんの成長した筋肉をしっかりと、身をもって実感することができた。

 すごい。大胸筋はムチムチなんだけどほんのり柔らかく、力を入れた上腕二頭筋に頬をすり寄せれば拓人さんの体温が少し上がったのが分かった。……おや? 拓人さん風邪でもひいた?


 うん。肉体強化って、色々と、けしからんくらいの絶ゲホゲホ健康だったよ。


 肉体強化された拓人さんは、とにかくすごかったとここに記しておく。

 そして、この日が金曜日でよかったと、翌日ベッドの中で筋肉痛に苛まれながら思ったよ。

 まぁ、回復魔法(小)とやらで、すぐ動けるようになったけどね。

 そこからまたエンドレスな感じになっちゃったけどね。えへへ。







 長々と話しましたが、取りまとめますと。


 ひと晩の無断外泊をした夫は、異世界で三年ほど勇者をやっていたということです。




お読みいただき、ありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 2話で拓人さん呼びと拓人よびが混ざっててややこしい。
[良い点] 旦那さんの奥さんLOVEが尊い。尊すぎて壁をどんどん叩きたくなるのはなぜだろうか。
[一言] お疲れ様ですm(*_ _)m 読みました~(*^^*) 一晩で3年!(笑) ポッケのもふもふ精霊が 気になる気になる(≧∇≦)
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