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悪役令嬢が○○になってはいけませんの?  作者: 叶奏
三章 集落の代表者
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41.思考放棄を決意して……

 大変遅くなってしまい、申し訳ありませんでした。


 また、前話の一人称を部分を三人称に書き直しました。

 三人称で今まで来たため(間章は除く)、やはり三人称で統一すべきであると考えたからです。

 それにともない、内容も少し変えました。


 色々とご迷惑お掛けしまい、ごめんなさい。


(間が空いてしまったため)

【今までのあらすじ】

 婚約破棄され、海を越えた土地に棄てられたウルティナ。だがそれは彼女が仕掛けた計画の一環で、人形のフィーディーと共に計画を進める。

 途中、集落から『罪人』として追い出されたセクリアと[紅の契約]を結びウルティナ・コロン=ルーフスとセクリア・コロン=ルーフスとなった二人。

 洞窟の守護者に修行をつけてもらい、山を越えた先の集落へ向かった。

 そして翌日から開催される[統一最強決定戦(ディナトティシム)]になんとか参加できた彼女たちは、集落別大会の予選を通過したのだった。



 翌日。

 二人は集落中心にあるコロシアムの決闘場の脇で待機していた。


 ここは昨日[統一最強決定戦(ディナトティシム)]の集落別大会、予選のバトルロワイヤルが開かれた場所で。

 今日から、集落別大会本戦のトーナメント戦が執り行われる場所でもある。


 本戦は計三回戦から成り立っている。予選を勝ち残った八組がランダムに振り分けられたトーナメントで戦い、一番強い一組を決めるのだ。

 一番強い一組、つまり集落別大会の優勝者は、南地区大会に出ることとなる。


 ウルティナが目指しているのは、南地区大会を勝ち抜いたさらに先の[統一最強決定戦(ディナトティシム)]の優勝。

 彼女の欲しいものは、こちらの土地での最強最大の地位の上に存在しているのだ。

 力が全てのこちらの土地だからこその、地位の手に入れ方でもある。


「セクリア、準備はよろしくて?」


 ウルティナから尋ねられたセクリアは、小さく頷いて答えた。いや、声に出して答えることができなかったというべきだろうか。


 セクリアの視線の先には、一組の男女。

 一回戦の対戦相手。

 現・集落長の娘と、


 ――セクリアの因縁の少年だ。


「本当に、準備はよろしいんですのね?」


 重ねられたウルティナからの問いに、今度はなんとか声を絞り出して()える。


「…………ん、……だいじょ…………ぶ……」


 上の空。

 唇をわなわなと震わせ、細切れに息を()らし、たった一点を凝視していた。先ほどの応答も、微かな息で吐き出すような言葉であった。


 頭の中は真っ白。

 思考放棄を決意した彼だが、そもそも考えることすらできない。


 いや、疑問を感じては、いる。

 なぜかの少年とここで鉢合わせになったのか。

 なぜかの少年の隣に集落長の娘がいるのか。

 なぜかの少年はこちらを見ているのか。


 ……分からないことだらけだ。


 ぐるぐるぐると問いだけが頭の中を回って、廻って。

 考えることすらできない。



 …………ならばいいじゃないか、と。

 セクリアの心のどこかが(ささや)いた。


 考えずいるならば、それでいい。

 疑問もなにもかもを、ただ流れるままに流して。

 答えを出さなくとも、疑問のまま放っておいておけば。

 体の動きが止まってしまうこともない。


 なぁんだ、と彼は心で嗤う。

 やっぱり、考えなければいいだけの話じゃないか。


【……いい、よ……、ウルティナ】


 準備はできた。

 目の前のことは全部全部、無視して進もう。

 なんにも考えなければ、止まることだってないんだ。


【……勝とう、……この、戦い……】


 ウルティナに念話で伝える。

 フィーディーは、ウルティナのポシェットの中で眠っている。


【……えぇ、参りましょう】


 念話で返答。

 聞いてセクリアは、[紅魔之細剣(グラディウス)]の柄に手をかけた。

 自分だけの武器に、触れた。


「ただいまより[統一最強決定戦(ディナトティシム)]集落別大会本戦第一回戦、三戦目を開始しますっ」


 魔道具で大きく、審判の声が辺りに響き渡る。


「まずは、現・集落長の娘にして双髪(ふたがみ)の少女、メディミィ・クルテリーア選手! と、その相棒、リーウィー・プラエティウム選手ですっ!」


 ワッと歓声を背負って、一組の男女が決闘場に現れた。


「そして対するは、三ヶ月(マンス)前に罪人となってこの集落を追い出されたセクリア・コロン=ルーフス選手と、その相棒、ウルティナ・コロン=ルーフス選手です」


 歓声はなかった。

 沈黙の中、二人は入場する。


 セクリアは[紅魔之細剣(グラディウス)]の柄に触れて、どことも映さぬ瞳のまま。

 前を向いているのにも関わらず、その瞳に因縁の少年、リーウィー・プラエティウムの姿はいなかった。


「両者、準備はよろしいでしょうか?」


 その声に、四者四様、武器を構える。


「それでは、鐘の音を合図に勝負を開始します。

 さんっ、にぃっ! いちッ!!」


 ――ッゴオオオオオオンッッ


 観客席で巻き上がる声の渦。

 セクリアたちにとってはアウェイでしかない、空気振動の壁。


 それをセクリアは、ものともせず。


 ただ一歩。

 前に踏み出した。


「《その身に宿れ、横暴なる(ほむら)》」


 呟き。

 瞬間、姿がブレる。

 風と共に、彼は駆け出した。


【少年の方を引き付けてくださいまし! セクリアが引き付けている間に、補助の少女を討ちますわっ】


 命じられる。

 なにも言わずにセクリアは従う。


 キンッ――と鋭い音が走った。

 刃と刃が交差したのだ。


「んくっ、」


 セクリアが差し止めにかかった少年は、小さく呻く。


「くっ、そ、セクリアっ」


「…………」


 なにも考えない。


 追撃。

 セクリアの瞳に動揺はなかった。

 因縁の相手に名前を呼ばれ、それでも心は動かない。


 なにも考えていないから。


「………………」


 ただただ突き続ける。

 攻撃し続ける。

 銀狼、あの洞窟の守護者から学んだ『既に身に付けた技術』だけを手にして。


【セクリア、深追いには気を付けてくださいましっ】


 ウルティナに言われ、それでようやく彼は攻撃の手を止めて一度下がった。

 言われるがままに、後ろへ。

 人形のように。


 ふと周りを見渡すと、少女メディミィ・クルテリーアの方はぐったりとした様子で地面に伏せていた。


「クソッ、いつの間に……っ!」


 少年リーウィーもそのことにようやく気付いたのか、舌打ちをして後ろに下がった。


 ほぼ音もなく相棒がやられていたのだ、気付かなくともおかしくはない。

 また彼には、セクリアに気を取られてしまうだけの理由を持っていたから、というのもあるのかもしれない。


 いずれにせよ、残りは一人。


【セクリア、動揺している内にケリをつけますわよ】

【……ん】


 虚ろに答えるや否や、セクリアは地面を蹴った。


「チッ――」


 少年リーウィーもやられてばかりではない。

 両刃の剣を振りかぶり。

 駆け寄るセクリアに、襲いかかる。


 ――そのときに。


「《狂詩曲(ラプソディー)第三番『(くさり)』》」


 [紅之指揮棒(ルーフス=リネア)]の先端が宙を描いた。


「なっ、」


 少年リーウィーの動きが止まる。

 否、止められる。


「――――っ」


 声にならない声。

 鎌鼬(かまいたち)のごとく、セクリアの細剣が敵の急所を穿(うが)った。


 それは一瞬のことで。

 ガハッ、と。

 吐き出された息と、それからリーウィーは力なく地面に倒れ込む。


 ――ッゴオオオオオオンッッ


 再びの鐘の声。

 勝負終わりの合図。


「なっ、なんと! 三戦目を勝ち残ったのは、セクリア選手の組ですッ!」


 審判が驚愕の声をあげ。

 観客が驚きと戸惑いと興奮とを織り混ぜた喝采を撒き散らす、その中で。


 最後のとどめをいれたセクリアは、ただぼんやりとした顔で因縁の彼を見つめる。



 ――やっぱり、考えなければ上手くいくんだ。



 セクリアは小さく、けれども確かに歪んだ()みを浮かべていた。



 今日で『悪○』投稿を始めてから一年が経過します。

 ここまで応援してくださり、ありがとうございます!


 (結構)前に活動報告にも書きましたが、現在まとまって執筆することが厳しい状態です。

(来年の三月か四月辺りになれば、大丈夫かとは思われますが……)


 故に、これからは今まで以上に不定期投稿となってしまいます。

 申し訳ございません。

 ですが、エタることはせずに書いていきますので、応援してくださるととても嬉しいです。


 以上、一周年記念には似つかわしくない内容となってしまいましたが、これからもどうぞよろしくお願いしますm(_ _)m

 

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