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悪役令嬢が○○になってはいけませんの?  作者: 叶奏
三章 集落の代表者
40/73

34.罪人だと告白されて……

 今回少し短めです。

 また、今日の六時頃にもう一話投稿します。


※長さの単位について

 前回の初稿投稿時に忘れてしまったため、今回も載せます。


センチメートル(セーリア)=十ミリメートル(ミーリア)

メートル(メーリア)=百センチ(セーリア)

キロメートル(キーリア)=千メートル(メーリア)


 目を見開いたのは、ウルティナだ。

 フィーディーは驚きのあまり声を出すことができないようだ。


「……驚く、よ、ね。

 ……だか、ら……さ。……俺、を……置いて、いって……も、いい、よ……。

 集落……で、ウルティナ……目指す……の、に……悪影響、……ある、と……思う、か――」


「なんだ、そんなことですの」


「――、ら………………ぁ……?」


 ピシリとセクリアの身体が固まった。


「……え……?」


 喉から変な声が漏れている。


 そんな様子の彼を見て、ウルティナはふふっと手を口元にあて、笑い声をあげた。


「ごめんなさいね。突然でしたので、思わず驚いてしまいましたわ。『罪人』という言葉に」


「……へ……、ぁ…………で、でも……」


 セクリアの戸惑いを多分に含んだ言葉に、ウルティナは「だって」と返す。


「私も罪人、でしてよ」


 今度こそセクリアは言葉を失った。


「あなたの罪状は知りませんけれど、私は血の繋がった妹への殺人未遂で罪人に身を堕としましたの」


 瞳に鋭利な光を宿し、口元はクイッと上げて。

 ウルティナは少年の顎に手を添え、硬直した彼の耳にそっとささやく。


「家族に手を出した私を恐れてもよろしくってよ? なんなら今ここで殺してしまっても構いませんわ。こちらの土地は実力が全てなのでしょう? 私が負けたとして、文句を言うことなどできませんもの」


 笑い嘲るよう聞こえるように。


 ウルティナは笑う演技が大の得意であるのだから。


 見捨てられることに少しでも恐怖を抱き始めている自分がわからないから、そんな自分を覆い隠すために。


「…………………………でよ」


 自分を捨てる可能性はあるだろう、と。

 そう張り付けた嘲笑の下で考えていた彼女の耳にふと声が聞こえた。


 セクリアがなにか言うのかと思い、目線だけでも合わせようかと身を退こうとしたときだった。


 パシンッ、と。

 鋭い音が響き渡る。


 あまりの突然さに、あまりの力強さに、ウルティナは自分の手が叩かれたと気づいたときには身体をのけ反らせていた。


 思わず演技の嘲笑でさえ解いてしまうほどに、驚いた。


「……ふざけ、ない、でよっ」


 叩かれた手首を今度は握られ、荒々しく引き寄せられる。


「恐い、もんか。

 あんたが、理由も、なしにっ、人を、傷つけない、って。俺は、知ってる。

 胸を、張って、いける、人、って。俺は、知ってるっ。


 殺人未遂、は、殺人と、違うん、だ。

 本当に、殺す、つもり、なら。あんたは、きっと、殺してる。

 でも、違った。


 なら、それは。


 あんたに、とって、理由が、あったから。やった、こと。


 俺は、そう。言い切れる。


 だって、見てきた、から。

 あんたが、どれだけ、立派に。

 尊く、生きようと、している、のかを。


 だから。

 もう、二度と。

 殺して、なんて。

 言わない、でっ。


 あんたが、俺の、居場所、なんだ。

 ……もう、二度と。

 俺から、居場所を。



 奪わない、で」


 そう、セクリアは言い切った。


 勢いよく弾丸のごとく、想いを言葉にのせた。


 荒い息を整えて、感情が高ぶっていたせいで細かくあわせられていなかった視点をウルティナにあわせる。


 あわせて気づいたようだ。


「……あ、あれ、……ウルティナ……?」


 目の前の少女が静かに頬に涙を伝わせていたことに。


「……ご、ごめん……強く、言い……過ぎ、ちゃっ……た、か、な……。

 そ、の……集落、近、くて……情緒、が……不安定、で……」


 先ほどまでの威勢はどこにいったのか、突然オロオロしだしたセクリアの様子に、ウルティナのキュッと一文字に結んでいた口がふと微笑みにほどけた。


「いえ。こちらこそ、ごめんなさい。あなたを傷つけてしまうようなことを言ってしまって」


 唇の先で紡ぐウルティナは、握られていない方の手でそっと涙をぬぐう。


「私もあなたを置いていきなどしませんわ、セクリア。あなたが死んでしまったら、私も死んでしまうのよ?

 あなたとて[紅の契約]を生半可な気持ちで結んだわけではないでしょう?」


 ふふっ、と彼女は笑う。


「ならば、勝手な憶測で私を決めつけないでくださいな。私とて[紅の契約]を結ぶと決意するだけの突飛さは兼ね備えているのだから。

 昼にも言ったでしょう。

 この先も共に歩んでいこうと。

 まさか、そこで重ねたあなたの手は嘘をおっしゃっておりまして?」


 ウルティナの言葉に、セクリアはブンブンと首を横に振った。


「私も今さらあなたを手放すつもりはないの。私の目的を叶えるのにもはや必要不可欠といっても過言ではありませんのよ。

 だからあなたが嫌と言っても、私は引きずってでも連れていきますわ。よろしくて?」


 口先だけがよくもまあこんなにも器用に動くものだと自分でも感心しながら、ウルティナは口を開き続けた。


「……ついてく、よ。……ウルティナ、に……嫌、と……言われて、も……。

 俺の、居場所は、ここ、……だから」


 いつもと変わらぬトーンで、しかしそこに情熱さを織り混ぜた声でセクリアは言った。


「そう、言っていただけると……本当に嬉しいですわ。

 それと、空気を壊してしまうようで申し訳ないのですが。そろそろ手、離してくださいませんこと?」


「へっ……あ、……ごめん……」


 セクリア少年はすぐに離してくれた。

 次話投稿時に試験的にタイトルを『悪役令嬢、成り上がる。~前世の恨みを今ここで~』に変更します。

 また戻すかもしれませんが、よろしくお願いします。

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