愛しの貴女へ
今回とても短めです。
幼い頃から周りからよく誉められていました。
それはもう、こちらが不気味に思うほどに。
最初の頃はとても嬉しかったことを覚えています。
ですが次第に世界は色を失い始めました。
何をやっても誉められる以外の反応はなく、何をやってもそれ以上に反応されない世界。
ええ、分かります。
誉められることしかない事がどれだけ幸せであることかは。類い稀である事かは。
そのことを踏まえた上で、どうか想像して欲しい。
何をやっても誉められる以外の反応を得れないという現象について。
もちろん自分にとって非常に良い出来で誉められる事は他人にも認められたと心が飛び上がるほどに嬉しいかもしれません。
では、自分にとって非常に悪い出来で誉められる事は?
人によって感想は異なるとは思いますが、少なくとも私は「本当に私自身を見て評価してくれているのだろうか」と疑問を抱きます。
特に私の場合、それが一度二度ではなく数十回数百回とありました。
ここまで来れば世界の色を失う理由も分かるでしょう。
私は世間から認められながら、しかし世間から認められていると感じることが出来なかったのです。
矛盾していますよね。
でもそれが、私の生きた世界でした。
前の私は格別やりたいと思うこともなく、世界はさらにモノクロへと染まり行きました。
……ですが、今は違います。
摩訶不思議としか呼べないような体験を経て今私は生きているのですが。
どうも今の私は『やりたい事』があるのです。
いえ、どちらかと言えば『叶えたい事』でしょうか。
その為に今は必死に生きています。
モノクロの世界から一度私を救い上げてくれた彼女にもう一度会うために。
今度こそ、本当の想いを伝えたい。
幸いにも『叶えたい事』への道筋はある程度立てられています。
そして今のところは順調です。
きっと彼女は輝ける。
それは事実ですが、固執しすぎた前の私は彼女の本当の姿を引き出す事が出来なかったのです。
しかしまだ私にはチャンスが残っているとのこと。
ならばもう一度会いたいと、その他に取りたいと心の底から思う方法はありません。
ですから待っていてください。
私に生まれて初めて輝きに触れさせてくれた貴女にきっとまた会いに行きます。
そして、輝かせてみせましょう。
愛しの貴女を、次こそは。
次話は二章までのまとめを上げます。
その後、三章に入っていく予定です。




