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悪役令嬢が○○になってはいけませんの?  作者: 叶奏
二章 洞窟の守護者
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18.話を戻そうとして……


「え? でもティナ、優しいし。こんなこと言っちゃうのはボクが悲しくなっちゃうけど、ティナだけでも戦えるじゃん」


 と思ったら、早速フィーディーが話の腰を折ってきた。


「…………フィーディー」


 ウルティナは話を遮ろうと声をあげるも、


「……一人、で、……戦え、る……?」


 セクリアが不思議そうに首を傾けてしまった。


「……ウルティナ、[勲章]……、後方、支援……、向、け。……武器、も……、持っ、て、ない……」


「……………………私自身が魔法を使えなくとも、魔力を操ることはできましてよ。

 魔力察知はもちろん、魔力で武器を作ったり、魔力をおもりの代わりにこめることで、攻撃力増加の真似事もできますわ」


「中級クラスなら、ティナ、一人で討伐できるんじゃないかな? まだ試したこと、ないけどね」


 仕方なしと説明を始めたウルティナに続き、フィーディーも言葉をつけたす。

 一人と一体の説明を聞いて、セクリアは、核が作れると聞いたときよりもさらに驚いた顔をした。


「…………それ、は……、その、操作、能力……は……、規格、外。……見たこ、と……ない……」


「あら。なにも、制限なしに使えるわけではありませんのよ」


「…………え……?」


「そりゃあ、そうですわよ。

 私の[勲章]は、本来、私自身が魔力を使わないものとなっておりますのよ。それなのに、無理やり私自身が魔力を使うのですもの」


「……たし、かに……そう、だけ、ど……」


「ええ、ですので、私が直接魔力を場合には代償を支払わなくてはならなくって」


 ここで一度、ウルティナは言葉を止めた。なにかを悩むように、頭を傾ける。


「…………ど、した、の……?」


「いえ、………………やはり、実感していただいた方がわかりやすいですわね」


「ティナ、なにかするつもりなの?」


 心を決めた様子の彼女を見て、フィーディーは問いかけた。


「なに、簡単な話ですわ。

 セクリア、魔力の量の変化をきちんと確認していてくださいまし」


「……ふぇ?」


 いきなりの言葉に呆けた声を出したセクリアだったが、一瞬後には目を大きく見張ることとなる。


「な……に……こ、れ…………」


 彼が感じたこと。



 それは、今までにないほどの、魔力の量の減少。



 それも、まばたきを一回する時間と同じくらいの、短期間で。



「わかっていただけたかしら」


 ウルティナは、言う。


「これが私の代償。[勲章]を所持する上での、対価」


 少年に向かってさしだされた手に握られた、一本のソレ。


 ウルティナが一瞬にして創り出した、魔力のみで構成された棍棒。




「私自身が直接魔力を使うとき。

 私は他の方と比べ、多くの魔力を消費してしまいますの」




 それが、代償。



「言い換えれば、燃費が非常に悪い、と言ったところでしてよ。私以外を通して魔力を使うときは普通の消費量で使えますのにね」


 不思議なものですわ……、とぼやくウルティナ。


 対してセクリアは、あまりの衝撃的な出来事に――つまりは突然、今までに味わったことのない量の自分の力が抜き取られたような感覚に――吐き気さえ覚えていた。

 彼がもともと持っていた量の魔力よりも多い量の魔力が抜き取られたのだ。力を失ったことによる虚脱感と、感じたことのない力の動きを感じた虚無感を同時に痛感したに違いない。


「ともかく、です」


 ウルティナは棍棒の魔力をできる限り自身に戻しながら言葉を紡ぐ。


「今私がいったように、もしも私が単騎で戦わなくてはならないような非常事態が起きたときに備え、できる限り魔力の消費を抑えていきたいのですわ」


「……っで、も……、俺、が、……使う、魔力、量……ウルティナ、と、比べ、て、……少ない」


「塵も積もれば山となる。たとえわずかな魔力の消費でも、使いすぎれば、それは多大なる量となりかねませんわよ」


「……………………」


 ウルティナの言葉に、セクリアはふいっと顔をそむけてしまう。


「えっと、……ですので、身勝手なお願いだとはわかっておりますけれど。できれば、セクリアにはあまり魔法を使わずに戦ってほしいのですわ。

 剣に関しては私、初心者ですのであまりわかりませんが、それでも先ほどの突きはすごいものであったと、そう思いましたの。普通なら、あそこまですらりと剣を沈めこませることなど、できないでしょう?」


「……で、も、……身体、強化……《その身に宿れ、横暴なる(ほむら)》、は……使、わ、ないと……無、理」


「さすがの私も、一つも魔法を使うなとは言いませんわよ。だいたい、魔法に頼りっきりな私は本来このようなことを言える立場ではございませんもの。そのため私が言えるのは、――」

「あ、ねぇ、ティナとセクリア。話してる途中で悪いんだけどさ。魔物が来たみたいだよ」

「――できる限り……え?」


「……まも、の……?」


 絶賛討論中の二人の間に割り込む感でそう告げてきたフィーディー。

 少女と少年はポカンとしている。


「うん、そうだね。魔物だよ。魔力の大きさ的に、あんまり強くはないと思うけどさ」


「…………[低級-Ⅰ]のポープルが三体ですわ」


 ザコのなかでもザコに部類される魔物だった。


「……俺、が、行く」


 セクリアが名乗りでる。


「そうですわね……、お願いしてもいいかしら。あなた一人の攻撃力というものはまだ、見ていませんし」


「……わか、った」


 ウルティナはうなずいた。

 それを受け、セクリアは腰のレイピアを抜き放つ。


 臨戦状態のセクリアに、ウルティナは一言。


「それから、できればセクリアが前にとっていた戦闘方法でお願いしますの」


「…………」


 セクリアは無言でだが肯定の意を示す。



 そして三体の魔物は、木々の間から姿を現した。

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