15.契約の内容を決めて……
今回、話の区切りの関係上短くなっております。
それから。
二人は契約の内容について話し合った。
時折フィーディーが助言をしながら。
結果。
以下のような内容を条項とし、契約を結ぶこととなった。
一.必要最低限以上の嘘はつかない
二.言いたいことはきちんと言う
三.互いを犠牲にしない
四.重要と判断した情報は共有する
五.互いを信じる
六.以上をもって絶対順守の条項とする
「……で、よろしいですわね?」
黒鉛の棒指し示しながら、ウルティナはセクリアに最終的な確認をとる。
「……う、ん。……だい、じょーぶ……」
これにセクリアはうなずき返した。
「契約の名前も、こちらで構いませんの?」
「いい。……それで、いい。……俺、と、ウルティナ、の、目の…色、から……とった、だろ…う?」
セクリアの目の色は、深い紅の色を宿していた。
また今でこそ汚れてくすんでしまっているが、本来ならばとても美しいであろう純白色の髪は腰上くらいまでの長さがある。
「こちらも、よろしくて?」
「……うん」
「では、契約を結んでしまいましょう。いつまでも動かないでいますと、魔物の標的になってしまいますわ。
フィーディー、契約を締結している間の守りをお願いしますわ」
「オッケー、わかったよ」
フィーディーはピシッと敬礼する。
「それでは」
「……う、ん。やろう」
☆☆☆
鬱蒼と繁る森の中。
その中でも他と比べれば開けた場所で、一人の少女と一人の少年は向き合っていた。
かたや、左右赤と黒という奇抜な色の髪の毛を上の方で結いツインテールにしている、瞳が紅色の十七歳。
かたや、雪のような白さを誇る腰上までのびた髪の毛を今は雑に頭の下の方でくくっている、同じく瞳が紅色の十七歳。
互いに向き合い、両手を重ねて、額をこつんと合わせる。
[魂間契約]のやり方は、双方ともに知識としてはすでに知り得ていた。
互いの魔力をそれぞれに流し込み、そして受け入れる。
魔力の相性というものもありはするが、よほど悪くなければこの契約を結ぶのに支障はきたさないし、事前に相性のチェックは済ましており、契約が結べることはわかっていた。
そうして、同時に告げる。
「「《これより我ら魂による契約の儀式を執り行う》」」
カッ、と。
二人は赤よりも濃い深紅の光に包まれた。
それは[魂間契約]の締結が始まった証。
「「《締結する条項はこれより述べる六つ》」」
「《一つ。必要最低限以上の嘘はつかない》」
――相手を思いやる『嘘』があるかもしれないから。
――必要以上の『嘘』は互いの身を滅ぼしかねないから。
「《二つ。言いたいことはきちんと言う》」
――気を使ってばかりいても疲れてしまうから。ただし『気を遣う』ことはオッケー。
――互いのことを知らずに生きてもむしろ危険しかないから。
「《三つ。互いを犠牲にしない》」
――どちらか一方が死んでしまったら、片方も同じ運命をたどってしまうから。
――自分の身を軽視しても、この契約において利点は一つもないから。
「《四つ。重要と判断した情報は共有する》」
――情報は互いに知っていても損はないから。
「《五つ。互いを信じる》」
――お互い一緒に生きていくならば、疑心暗鬼な心は百害あって一利なしであるから。
「《六つ。以上をもって絶対順守の条項とする》」
――全てを契約の強制力をもって執行する。
――違反は不可能。
「「《以上六つの条項より、我らが魂を結び、契約となす》」」
「《私、ウルティナは》」
「《俺、セクリアは》」
「「《この六つの条項による契約に肯定し、かくして我らは契約に調印する》」」
一際強く、紅色に光り輝く。
「「《もって[紅の契約]を締結する》」」
光が二人を囲うようにして複雑な模様を描き出す。
そして。
「「《今この瞬間より、我らは契約の名に基づき『紅色』の姓を名乗る》」」
ウルティナと
セクリアは、
ウルティナ・コロン=ルーフスと
セクリア・コロン=ルーフスになった。
[魂間契約]、否、[紅の契約]の強い結びつきを示すがごとく、
よりいっそう、深紅の光は強く鮮やかに煌めく。
煌めいて、二人に絡みつくように周りを一回転した後、光は少女と少年に吸い込まれていった。
木々の間から。
新たな姓を得た二人を、昇りつつある朝日が照らし出していた。
これにて、一章が終了いたしました。
ここまでお付き合いくださった方々、本当にありがとうございます!
今後ともよろしくお願いいたします。
ちなみに、[紅の契約]でウルティナとセクリアが結婚をしたわけではありません。姓は同じになりましたが、魂が繋がったための関係となり、区切りをつけるためとお考えいただけると幸いでございます。




