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神と人と妖魔の戦記録  作者: 邪な鬼
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第7章 不安と関係

遅くなりました。

 今回は少し長くなってしまってます。短く纏めたかったのですが文章力がない為出来ませんでした。

 読んでくださればありがたいです。

「……」


「……ハハ、私どこか可笑しいのかな。ここ最近ね、今言ったものに近い夢を見てたの。最初は未来が離れて行っちゃう夢……それが日を追う毎に悪い方にいくの? 二,三日したらこれは"いつものアレ"かな? って、そう思って未来に

気づかれない様に構って貰ってたの? まあ、気づかれてたみたいだけどね」


 話を聴いている内に、姉貴の考え通り"能力の暴走"ではないかと考えていると、話をふられ……思考を中断し暗い顔をしている姉貴をなごませようと思った。


「俺は姉貴の事は、知ってるよ。何でも、全部な?」


「……未来が言うと怖いね」


「どう言う意味だこら!」


 ヤンデレが言いそうな台詞を思い付き言ってみると、真顔で返された事にイラッとし、問い詰めるが笑って礼を言い続きを話し始める。


「フフ、ありがとう。とりあえずそれからずっと見てたけど、まったくと言いきれる程、何もなかった……でも夢の内容は変わらない。そして今日もまた見ると同時に確信した今日で最後だ、てね? 夢が終わる頃もう一つ確信した……それが――未来が本当にいなくなる。それで起きた後すぐに未来の部屋に来たんだけど、未来が普通に眠ってる姿を見て安心したけど、もし自分の部屋に戻ってる時に何かがあったら、て思ったら怖くてそれで起こしたの」


「……」


 全部聞いた所で、最初に考えていた通り能力の暴走だと確信した。姉貴には、幾つかの能力があるのだが、そのなかには姉貴自身でも制御が出来ない能力がある。その内の一つ"運命予知"と言ってる能力が姉貴が見てる夢の原因だと予想し、内心……頭を抱えたくなった。


(はぁ~、どうしたものか。……これは、今まで何度か暴走した事もあったが、"他の暴走能力"と違って発動条件が分からないに加え……未来予知と違って一度発動すれば()()()()()()()()()()()()()()()確実に当たる。それは姉貴も分かってるからこそ俺の心配をしてるんだろうが……どう誤魔化すべきだ?)


 この運命予知と言ってる能力は、暴走した際の状況がバラバラで俺自身もこの時は、把握しきれておらず分かっていた部分が少なかった。


 この時の俺や姉貴が知っていた事が、

 一. 未来予知または、他の予知に近い能力の上位に位置する能力

 二. 能力で見えた未来は、ある一つの行動を変えない限り、他の何処を変えようと……見えた未来に確実に行きつく

 三. この能力は、日牝神家の人間に受け継がれている――初代が神から頂いた能力

 この三つが、今の時点で把握出来ている事だった。


 俺が、不自然にならない嘘を考えて黙っていると不安になったのか。いつもならあり得ない程……弱々しい声で聞いてくる。


「……未来、お姉ちゃんに何か隠してないよね? ……未来はお姉ちゃんを……いや、お姉ちゃん"達"を置いて……いなくならないよね。……いっちゃ嫌だよ」


 泣き出しそうになりながら、絶対に離さないと言う様に絡めていた指に力を入れてくる。


 そんな姉貴の姿を見て内心あった焦りが消え、むしろこれから吐く嘘に罪悪感を感じてしまうが、残っていた"不安"の感情もなくなり、ただ俺の分まで生き続けて欲しいと思い声を発する。


「……姉貴、確かに隠し事がある。だが心配するな。……俺は、何があっても姉貴や……彩芽と彩希羅の側を離れたりしない。俺は、まぁその~アレだ、姉貴達の事が……好き、だからよ」


「……本当、本当にいなくなったりしない? ずっと一緒にいてくれる」


「これをしながら言ってるんだけど? それでも信用出来ないか? 自分で言うのも馬鹿みたいだが、これで約束した時は、絶対に守ってきたぞ。まぁ~今回のは、トイレや風呂もしくは授業中は除外して欲しいけどな」


 内に溜めた不安を全部吐き出す様に尋ね、更に力強く握ってくるが、俺はいつも通りの態度で指切りをしている手を動かし安心させようと見せる。


「……うん、分かった。確かに未来が、指切りした時の約束は、絶対に守ってくれたもんね……信じるよ。でも、トイレ以外は一緒がいいな♪」


 少しの間、俺の顔と繋がってる手の順に見て、安堵する様に息を吐くとぎこちないがいつもの笑顔を向けてきた。


「信じてくれてありがとう♪ 最後の方に関しては、寝言は寝て言ってね♪」


 俺は内心、嘘を吐いた罪悪感と姉貴の不安が薄れた事に対する安心感が入り交じり……複雑な気分になるが、今は残りの時間を楽しくすごそうと決心を新たにする。


「ふぁ~、安心したら眠たくなちゃった。未来、少し一緒に寝よ?」


 小さくあくびをし目を擦ると、指を離さないまま寝返りをうち……布団に隠れてた体の半分をだすと、わざとらしく繋いでる手に顔を寄せ……上目使いの谷間見せという、実にあざとくほとんどの男性なら襲い掛かる様な……イラッとくる体勢と言葉に、よし、説教だ♪ と楽しく思う。


「あれ~、確か寝言は寝て言えと言ったはずなんだがな~? それとも年中頭がお休み状態なのかな~? なら起こす為にまた掴もうか「ごめんなさい。調子に乗りました!」なら、自分の部屋で眠らんかい!」


 笑顔のまま空いた手の指を一本一本鳴らすと、面白い位に急いで指を離し土下座をする。


 離れる際に少し残念に思ったが、顔にださずキレてる様にしながら、真面目に思った事を言う。


 だがいつもなら……ここまで悪のりした所で戻る筈が、腕にすがり付いて、でていくどころか離さない……いや離れられない様にガッチリとホールドしてきた。


「ハッ!? ちょ、ちょっと待て! 姉貴いきなり何すんだ! いつもあそこまで言えば戻――って外れねえ!? まじで離れろ!」


 警戒していなかった事が裏目に出てしまい、完全に捕まってる腕から離す事が出来ず、それでも離そうとしていると、首を横に振り……動く事が出来ない様に、体全体を押し付けてくる。その様子は、木にしがみつくコアラの姿に見える。


「嫌、ここ最近ずっと警戒していたせいで弟分が足りないの!? 補充するまでは離れないー!」


「足りないって何だよ!? つーか、ここ最近は寧ろ鬱陶しい位にベタベタしてただろうが! ――って、ちょっとまて、何だその子供がむくれた時のッ!? な、――ンブ!?」


 ベッドから引きずり落とそうと思った時には、全身をくっ付けてきたせいで動く事が出来ずにいた。いや正確には動かす事は出来る――だが、腕を完全に抱え込まれているせいで、少しでも動かせば……色々な部分に当たってしまいそうで、動かす事を避け……せめて倒れて乗しかかってしまわない様に、体勢を維持するのが精一杯だった。


 それが気に入らなかったのか、はたまた今の返答が気に入らなかったのか分からないが、頬を膨らませ不満を訴えた途端――フミ~! と気が抜ける声をあげたかと思えば、抱き付いてる腕を肩が外れる程ではないにしろ常人以上の力で引っ張り体勢を崩させた。


 咄嗟の事に踏ん張りも出来ず、ベッドに倒れ込みかけた所を、いつも以上の素早い動きで無駄にデカイ胸に抱き抱えられる。


「それと、これとは別なの! 警戒する事に夢中で堪能出来なかったの! だから今しっかりと補充中、だから姉の権限で満足するまで大人しくしなさい!」


「ング、ッフ! ンン、ンー!」


 ふざけんな! と思い、早く離れようともがくが、抱え込まれた際に……硬直した瞬間を見逃さず、起き上がれない様……脚を挟み込まれた。


「エヘヘ、あ~満たされる。弟分が補充される~」


「ン、グ! ……ン…………」


 完全に胸の間に押さえ込まれ呼吸をしようにもあまり出来ず……した際には、フェロモンとでも言えばいいのか……ゆずとりんごの交ざった様な甘い香りがするせいで、息を止めているのだが無駄に動いた事もあり、息が苦しくなり意識が朦朧とし始め動く事を止めた。


「ん? どうしたの~? あ、分かった! 気持ち良すぎて、お姉ちゃんの胸で眠りたくなったのね! も~しょうがないな、お姉ちゃん大好き! って言ったら良いよ? ――あれ、未来どうしたの何時もなら罵るのに? ……え!? ちょっと大丈夫!? 未来、未来ー!!」


 姉貴は、動きが止まったのを最初は、諦めたと勘違いしていたが、いつも通りの戯れ言を言っても……何の反応もない事におかしいと頭の拘束だけ解き、俺の顔を見ると……目の焦点が合ってない事に気が付き、慌て呼び掛けてくるが返答する事より、ようやく呼吸が出来た事に安堵し意識を落とした。


 段々と意識が戻り始める中……頭の辺りに何か柔らかい物がある感覚と甘い香りがし、最初……何だ? と疑問に思うが、何故か懐かしく感じ目をあけると俺の部屋が映り、そのまま枕にしてる奴に視線を向けると――脚フェチがみれば鼻血を出しそうな程の綺麗な脚があった。


 そこで自分が膝枕をされていると理解し、おのずと上にのし掛かってる物も分かり、ため息が出た。


「あ、起きた?」


「ん? ああ、だから起き上がりたいんだが? その前に、さっきのがトラウマになってるから、のしかかってる物をどかしてくれ」


 覗き込む様に見てくる姉貴に伝えると思いのほか素直に退いてくれた。


 立ち上がり軽く伸ばし固まった体をほぐすと眠り足りないのかアクビが出る。


「ふぁ~、さて姉貴何か言うことがあるだろ?」


「うっ! ……そのごめんね? 調子に乗りすぎて」


「分かればOKだ。それじゃ、かたづけるから手伝ってくれ~、さすがに一人だと時間がかかるからな」


 怒鳴られると思ったのか、目をきつく閉じ待っている姿を見て、苦笑しめんどくさげに返答しながら散らばった本をまとめだす。


「……怒らないの?」

 

 怒鳴られるのを覚悟していたからか、俺の返答を聴くと、キョトンとした顔で尋ねてきた。


「ん? 何でだ?」


「え、だって調子に乗ってやり過ぎたから」


「あ~確かにやり過ぎたな。……だけどそうしたくなる程不安だったんだろ? なら心配してくれた事に感謝こそすれ、怒鳴るのは筋違いだ。付け加えれば、やり過ぎてしまう迄、姉貴に心配かけた俺が悪い。ごめんな」


「……んん、未来は謝らないで……寧ろそこまで溜め込んでたお姉ちゃんが悪いからね。……もっと早くに未来に話してれば良かったと今は反省してるの。ありがとう。それとごめんね」


 本を纏めていた手を止め、姉貴の言った事を肯定すると途端に落ち込んだ表情になる。


 それを見て持っていた本を傍らに置き、続きを話しながら近付くと正面にしゃがみこみ謝って頭をなでた。


 気持ち良さげに目を細め、穏やかな声で心の中にある少しの本音を話し姉貴も謝ってきた。

 お互い謝罪しあい見つめあってると、可笑しくなり揃って笑いだしていた。


「「……ふ、はははは!」」


「はぁ、お互いに謝りあってアホみたいだな」


「ハハ、本当にそうだね。……未来、あのね最後に一度だけ抱き締めていい? その後にかたづけるの手伝うから」


 ひとしきり笑い終わると姉貴は何処かスッキリした表情で恥ずかしげに尋ねてくる。


 いつもは、何も言わずに抱き付いてくる癖に、不安や恐怖がある時だけ妙な遠慮するなよ。と今日何度めか分からない苦笑をし一度大きく深呼吸すると笑顔で答える。


「ああ、ほらよいつでもどうぞ!」


 ――ガバッ! ……ドサッ、ゴッ


「ッイ!!? ンガァァ!?」


 返答が終わると迷わず飛び付いてくる。まさか飛び付いてくるとは思わず、抱き締め返しながら後ろに倒れるのは良かったが、さっきまで纏めていた本の角が倒れた俺の頭に入り転げ廻りたい衝動を押さえ呻いた。


「えっと? あの、大丈夫? また回復しようか?」


「い、や……大丈夫だから気にするな! 寧ろ今の方が痛み無視出来るから!」


 音が鳴る程にぶつけたせいか、心配そうな顔で起き上がろうとするが、自分で来いと言っといてそれはないだろ。と羞恥や意地で起き上がろうとする姉貴を力強く抱き締めた。


 起き上がり掛けていた姉貴を強引に戻すが、その時に赤くなってるであろう顔を見せたくなく胸板に押し付けた。


 姉貴としては予想外だったのか驚いた顔をし赤くなる。俺はそれに気付かず……顔を見られない様にするのと、痛む感覚を別の感覚で消す為、力を弱めないまま姉貴の頭に顔を埋めた。


 端からみる奴がいたら、完全に姉弟じゃなく付き合い初めのバカップルだろ! とツッコミが飛んできそうな構図となっていた。


 数分程で痛みは消えたが、今度はサラサラとした髪からするシャンプーの匂いや、抱き締めてる柔らかな背中や……当たっている胸の感触、そして止めと言いたげに伝わってくる早鐘の如く鳴る心臓の音のせいで、また赤くなり顔を見せられず固まってしまう。


 それから姉貴の方が時折もぞもぞと動く事で、納まりかけた熱が戻る等があり、また数分の間お互いに固まったままになる。


 流石にこれ以上はまずいと感じ声を掛けようと思った時に姉貴が口を開いた。


「み、未来その……そろそろ離れよ。も、もう大丈夫だ――ですから! そ、それに早くしないと片付ける時間もなくなるから」


「そ、そうだな! 悪い!」


「……ァ……」


 姉貴の言葉で急いで放し離れると俺に聴こえない位、小さく残念そうに呟く。


 お互いに赤い顔を見せたくなく背中を向けて片付け始めるが時折、姉貴が「エヘヘ♪」だの「もう、いいよね?」等と呟いてるが姉貴も赤くなって呟いてる事に気付かない位に考え事に没頭している俺は――


(馬鹿か俺は! 相手は姉だぞ!? 性格が子供の様でみためだけ、美人の残念姉だぞ! あ、いや確かに子供の様な性格だが、俺達が何かあった時には、慰めたり母親の様な母性を醸し出して……抱き締めてくれる様なギャップがあるぞ! それに、ごくたまに過激なスキンシップをしてくる癖に、俺自身がそれをしたら少女の様な反応でモジモジする可愛い面が――ってあれ考えれば考える程今までの姉貴が可愛く――――)


 ――確実にブッ壊れていた。


 そして姉貴は――


(やっぱり大好き! あ~でもだめ! 未来は弟よ! あ、でも義理の弟だし手を出してもセーフよね? 寧ろそこら辺にいる男性より性格もいいし何かあれば私達を助けてくれる子だし――あれ、よくよく考えたら寧ろ何で今まで手を出さなかったの私の馬鹿~!?)


 ――同じ様にブッ壊れていた。

最後までありがとうございます。


 今回もまた誤字、脱字もしくは意味が分からない部分がありましたら報告と感想をお願いします。


 次回は7月中にだします。

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