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神と人と妖魔の戦記録  作者: 邪な鬼
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第6話 姉貴とまだ続く災難

投稿遅れました。

 今回は少し長めです。

 また所々変になってるか、意味が分からない部分がありましたら教えて下さい。


「ぇ!? い、今……未来が姉ちゃんて言った。どうしたの、中学にあがってから姉貴て呼び方に変えてたのに、何かあったの!? ……熱ないみたいだけど、何処か具合が悪いの。病院は……近くは閉まってるし――」


 目を覚ますと、目の前に姉貴の顔があり頭が寝惚けてるせいか懐かしい呼び方をしてしまった。


 そのせいか、さっきの甘えた態度が消え……驚いた声をあげ体を起こし、困惑に眉をひそめ心配そうに声を掛けてくる。


 俺は、その間に上半身だけ起こし……まだ頭が寝てる状態のまま、ボーと姉貴を眺め……聞いていると――姉貴が頭をくっ付けてくる。その感触と仄かな石鹸やシャンプーの匂いで段々意識がはっきりしてきた事で、姉貴が何か言って何処かに電話し始めるが頭に入らず、先程までの事を思い出してきた。


「――なら、少しの間妹達の事お願いします。では……未来、すぐ病院に行く――て、顔が真っ青よ!」


「姉……貴?」


「ぁ、呼び方が――いやいや、今はおいといて! そうよお姉ちゃんよ……それより早くびょ――」


 全部思い出し、後もう少し遅ければ確実に殺されてた事を考えゾッとし、青ざめていると不意に肩を揺らされ……話し掛けてきた姉貴の声を聞き――あの時の鈴の音の様なアニメ声が重なり確認の様に呼んだ。


 寂しそうな声色で残念がるが、頭を振って切り替え病院に行く様……急がせようとするが、話の途中で俺は――我慢出来ず飛び掛かった。


「ウォオオオオオ姉貴ー!」


「キャアアアアーー!!」


「グフッ! ……ガッ!?」


 姉貴が驚き悲鳴をあげた瞬間――バク転の様に身体を後ろに倒し飛び掛かっていた俺の、無防備な腹を膝で蹴りあげた。


 蹴りあげられた痛みに中の息を全部吐いた所で、自分が何をしようとしたのか後悔すると、滞空している何秒にも満たない内に、今度は腕を軸にし足が横から迫って来る、カポエラの要領でくり出されてきたこれは――受ければ不味いと悟り……腕でギリギリ守るが吹き飛ばされ、家に響く程の音をたてて本棚にぶつかる。


「……ッ! ガッ、ハーハー!?」


(助かったと、安堵し過ぎた! 夢で死にかけた次は現実で死にかけるって何だよ! いや、いきなり飛び掛かった俺が悪いんだが! だとしても姉貴の奴、今の手加減する事自体忘れてたよな!?)


「い、いきなり何しようとするのよ! 義理とは、いってもお姉ちゃんよ! ムラムラしたとしても襲ったら駄目でしょ!! ……あっ、でもこのまま他の人を襲うよりかはお姉ちゃんが――」


 視界がチカチカと点滅しながらも身体を起こした途端――最初に喰らった場所が痛みだした。気絶したくとも出来ない痛みを感じつつ頭で愚痴って顔を歪めていると、姉貴が涙目で自分自身を抱きしめながら、あり得ない妄言を言ってくる。


「誰が襲うかッ!? いくらムラムラしたとしても怪力ゴリラの姉貴を襲う訳ねえだろ! つか最後何て言った背筋が冷えた、イッ!?」


 姉貴もかよ! と思っていると、最後何かを呟いた途端――涙目から一転して獲物を前にした獣の様にし、見てくるのが分かった瞬間……背筋に寒気が走り……叫んで言葉を遮ったが、そのせいでさっき以上の痛みが走りうずくまった。


「ハッ、ご、ごめん未来!? すぐ"治療"するからお腹見せて!」


 怒声で妄想から帰ってきた姉貴は、慌てて駆け寄り散らばった本を避けると、そこに座り込み俺の意見を聞く前に一瞬で仰向けにし服を捲し上げた。


「あらやだ! いい身体って、それは後で見ればいいからまずは治療! ……調べるから少し触れるわ……内臓の機能低下、骨にはひびがあるだけ。……よしこれならすぐに治るね! それじゃ掛けるよ」


 頬を赤らめながら俺の腹を凝視してたが、不穏な事を言い……頬を叩くと真面目な顔になり青くなってる場所に触れ始めた。


 ひんやりとした感覚と、少しのくすぐったさを感じている間に、終わった様で先程までの無邪気な笑顔に戻っていた。


日牝神 美咲(ひめがみ みさき)が願う。……彼の者を癒し、あるべき形に戻す碧の力……手に宿れ』


 掛け声と共に手を組み周囲に反響する声で自身の名を口にした瞬間――姉貴の紅い髪が仄かに発光し、次の口上で姉貴の全身が薄い碧の光に包まれると組んでた手に集まりだす。


 全て集まり終え傷に触れられた瞬間――温かい何かが流れ込み、痛みが少しずつだが引いていく。


 五分程で痛みは、完全に消え……姉貴に集まってた光も空気に解ける様に霧散すると、満足そうに掻いてもいない汗を拭う仕草を見て笑い――頭を掴む。


「へ? ……あ、あれ~、何で頭を掴むの、あ、痛い? イタタタ! ちょ、力強す――イダダダ!?」


 いきなり頭を掴まれた事で間抜けな声をだすが、すぐにヒキ吊った笑みを浮かべ……冷や汗を流して理由を聞いてくるものだから、力を段階的に強める事で返答すると、痛みに悲鳴をあげ離させようとするが離れないよう……笑顔のまま力を込め更に悲鳴をあげるはめになった。


「何やりきった感で終わらせてるのかな~? さっきのあれ手加減するの忘れてたよね~? 確実に殺しに掛かってたよね~姉ちゃん?」


 笑顔を崩さず、穏やかにあの頃の口調で聞き最後に呼ばれ方が昔の方が嬉しがってたな? と思い……戻して呼んでみることにした。


「待って、今姉ちゃん呼びされても嬉しくないどころか怖いから! それに咄嗟の事で体が勝手に動いてたの!? だからわざとではないから!? お願いだからそろそろ離しイダダダ、イヒ!?」


 俺が本気でキれてる事を悟り、冷や汗を流し必死の弁解を試みるが、結果虚しく力を込められ続け痛みに話す事が出来ず……変わりに悶え変な声をだす。


 その声を聞き、やべ! と焦るが、まだ怒りの方が勝っていた事で、表情にでず笑ったまま少し力を弱め頃合いだな。と怒りを吐き出す瞬間だけ一気に力を入れる事にした。


「うん、確かに俺が急に飛び掛かったのが悪いよ? でもね~。……力加減間違えるなってあれほど言っただろうがぁ!!」


「イダダダダ、ごめんなさい! ごめんなさぁぁい!!」


 絶叫の様な謝罪がでた所で離すとすすり泣き女の子座りで崩れ落ちた。


 立ち上がりその様子を冷めた目で見下ろすが、端から見たら嫌がってる美女を襲った後に見える構図だな。と思いながら、近くに在る手頃な木棚に座り……嘘泣きが収まるのを待った。


 姉貴の泣きには、段階が四つある。


 一つが、今やってるすすり泣き顔を隠しチラチラと見てくる鬱陶しい行動――これは、構ってほしい時か今の様に親しい奴に怒られた時に許される為の冗談での……泣き? って言えるのか?


 そう考えながら見続けていると、流石に駄目だと思ったのか嘘泣きをやめ正座しだすがその顔は羞恥でほんのり赤かった。


「恥ずかしいのならやるなよ姉貴」


「ウッ! だ、だってああいうふうにしとけば優しい未来なら許してくれると思ったもん!?」


「もん!? じゃねえよ! この期に及んでぶりっ子みたいな事言えば許してもらえると思ってんじゃねえよな!」


「ゆ、許してもらえなくても少しは甘くしてくれるかな~? と思――っていません。心より反省します! なので手の調子を見ないで下さい!」


 指同士をくっ付けたりして上目遣いで言うが話の途中で――音を鳴らして手を握り開くを繰り返すと、慌てて背筋を伸ばし意見を覆す。


 その様子を見てため息を一つ吐き真面目な声色で言う。


「姉貴、俺も別に蹴られた事や冗談にキレてる訳じゃないんだよ。俺がキレてるのは――咄嗟の事とはいえ手加減を忘れた。この一点だけだ。あれは俺だったから死なずにすんだだけで、普通の奴なら最初で死んでるぞ」


(実際問題これは、事実だ。姉貴の暗い顔は見たくないが……これだけは今言っとかないと駄目だ。あの夢が俺の妄想でなければ確実に今日……死ぬ)


「……これだけは、本当に気をつけてくれ―――()()()()()()()()()ないんだからよ」


「ッ!? ……ごめん」

 

 その言葉以降……俯き黙り込む姿に言い過ぎたなと思い、話題を変える事にする。


「それにしても、ただでさえ姉貴は彼氏いない=年齢のままなのに、こんな馬鹿力の持ち主だと更に嫁の貰い手がいなくなるな!」


「……ふえ?」


 いきなり話が変わったからか、呆けた声をだし見てくる姉貴に、意地の悪い顔を向け話を続ける。


「いや~、だってそうだろ? 唯でさえ親しくなった男女関係なく、性格のボロがでて引かれて離れていくのにこんな馬鹿力を見せられた日には確実に彼氏は出来ない! 断言しよう姉貴、貴方は一生彼氏は出来ないと!!」


「ぃ……ん」


「え~、何言ってるのか聞こえないから分かんにゃいにゃ~? それとも言い返す事が出来ない程あってるのかに~ゃ~?」


 俯き肩を震わせ、消え入りそうな声で、呟いてる姿を見続けて……後少しか? と思い煽る様に聞き返すと立ち上がり、涙目で見てくる。


「いたもん! 彼氏の一人や二人いた事あるもんただ素を見せて付き合おうとしたら違う彼女を作って逃げられただけだもん!」


(いや、なおの事駄目だろ?)

「いや、なおの事駄目だろ? それ所かそれ、彼氏がいた事にはならんぞ?」


「う、五月蝿い五月蝿い五月蝿い!? 別にいいじゃない! 何、彼氏が出来たら偉いの婚約出来たら勝ち組なの!? 別に私は、結婚出来なくてもいいもん! 結婚出来なくても幸せだもん! うぁあああぁぁん!! 未来だって彼女いないグゼに……ヒック、童貞で……ヒック、見た目だけ悪者の、童貞のくぜに……うぁあああぁぁん!」


「わざわざ童貞を二回言うな! あぁもう! 分かった謝る、謝るからだから泣き止めって!? ごめん俺が言い過ぎた!」


 思った事がポロリとでてしまうと、姉貴自身そう思ったのか無駄にデカイ胸を押さえ言い淀むと、流行ってるのかあの駄神の様にアニメキャラの口調を真似て言う。


 ただ姉貴の方がアニメ声のせいか、まだ此方の方が連想しやすかったが、体型はまだあの駄神の方が一部分近かったな~。などと考え見ていると一言事に涙を流し始め愚痴の様な事を言い終えた瞬間――子供の癇癪に近い泣き方で泣きだし……またへたりこむ。


 わりと本気で落ち込んだ時にしかしない泣き方の一つであり、やらかした! など思い、焦るが泣きながら言われた文句にキレそうになる所ギリギリで押し止め謝罪する。


 それから数分程で、ようやく泣き止んだ事に安堵し、散らかった物を直すか。と見回し、本と一緒に落ちてた時計が目につき、時間を確認すると驚いた事にまだ六時を少し過ぎたばかりの時間だった。


「は、嘘だろ!? まだ半も回ってねえぞ!? 外は……ってまだ暗い。アぁ~マジかよ! 今日ご近所に謝りまいだぞ? 年末だってのに初っぱなから謝罪回りかよ」


(ん? 待てよ……何で姉貴はこんな早く起こした? 確かに今日、年末の締めと言う事で……社の方で小規模の祭りや祝いの為の準備が必要って言ってたが、起きるにしても早すぎないか?)


「なあ? 姉貴、ってどこ行った!?」


 外の方に目を向ければまだ薄暗く騒いでた事に頭が痛くなり……フと、疑問に思い姉貴がいる場所に目を向けなおすが、いなくなっており……部屋を見回すと俺のベッドで寝転がってふてくされていた。


「姉貴」


「お姉ちゃんって言うまで口聞かない」


「子供か! ってそんなことより「酷い!?」やかましい! ……真面目な話、何でこんな時間に起こしたんだ? 確かに今日準備が必要とは言ってたがそれにしても早すぎないか?」


「それは……その、う~」


 漫才の様なやり取りをした後、聞いてみると――冗談抜きで聞いてきてる事を理解してくれた様で、頭まで覆っていた毛布を少し下げ俺の目を気まずげに見て……口ごもる。


「……姉貴、何か隠してるよな? 姉貴の場合、隠し事があった時……罪悪感からか口ごもっていつも以上に俺か……"彩芽(あやめ)"と"彩希羅(あきら)"のどちらかを異常と言える程構う。今みたいにな?」


「うッ!?」


「だから教えろ。姉貴が俺の心配をした様に、俺も姉貴が心配なんだ」


 ベッドの端に腰掛け、姉貴の癖を指摘すると自分でも薄々分かってたのか……言葉が詰まり恥ずかしさから、また毛布で覆い隠す。


 俺は、それに苦笑しつつ本心をそのまま言うと一瞬だけ体をビクッと跳ねさせる。


 多分、言われた事が恥ずかしかったんだろうと、俺自身も恥ずかしく思いながら考えた。


「……拒否権「ない」だよね」


 少しの間を置いて、聞いてきた事に答えると諦めの声色で返してくる。


 それでも怒られるとでも思ってるのか、答えようとしない様子を見て、姉貴に顔を向けるよう頼むとゆっくり顔をだしてきた。それを見計らって――


「別に些細な理由でも怒らねえよ。不安なら、恥ずかしいがほれ、これをすれば姉貴も信用できるからいいだろ?」


 小指を差し出すと、最初は驚くが赤くなりつつ理由を言うと、母性溢れる笑顔で小指を絡ませたままいってくる。


「これまでするって事は、本当なんだね。……分かった答えるね」


「気分を悪くさせるかもしれないから先に謝らせて、ごめんなさい。……実はね、今日寝てる時の夢で、未来がね……未来が私の所から消えて、いなくなって……二度と会えなくなる」

最後まで読んでくれてありがとうございます。


 誤字脱字等がありましたら報告をお願いします。


 次回は6月中に出します。

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