第17話 解放と天使?
遅くなり申し訳ありません!
4時に予約投稿するつもりだったのですが、ミスってしまい中途半端な時間になりました。
それから気絶中の佐間義を無理矢理起こし、礼を言いながらスフィアを返すと追い帰す様に大通にうながした。
その後、姉貴の"能力"を使ったお仕置きがあったが、そこは思い出そうとすると頭痛がしてしまう為……何があったか分からない。
気付いた時には神社の階段を上ろうとしており、付いたままの首輪を取ろうとしたが姉貴の笑みを見た瞬間―――全身が固まり震え出した事で(ああ逃げられないんだ)と悟り抵抗を止めた。
「それじゃ♪中に入って大事な準備を一緒にしようね♪」
そこまで追想し終えた所で神社の扉前につき今だ楽しそうにしている姉貴に引っ張られる形で後に続く。
「皆さまお待たせしてごめんなさい」
「あ、美咲さん。大丈夫ですよまだ時間には余裕……が……へ?」
「あらそんな心配しなくて大丈夫よ!それより美咲ちゃ……ん?」
姉貴が戻ってきたのを最初に確認した同じ年位の女性が笑顔で話しかけてくるが、後に続く様に入ってきた俺の姿を確認した途端……固まり、それとほぼ同時に儀式に使う小道具を持って……横の扉から入ってきた中年の女性が、笑って何かを聞こうとしたのか……姉貴の名前を言った所で若い女性と同じ様に固まる。
「そうですか?それを聞いて安心しました。ですがお待たせしてしまった事は事実なのでごめんなさい。それでは着付けの準備―――――」
だが姉貴はその反応に疑問を持たず可愛らしく小首を傾げた後、謝罪すると普通に話を進めようとするのを――――
「「「「「いやいや待って下さい!?」」」」」
――――話しかけ固まった女性や言葉を失っていた女性達が一斉に止めた。
ただ当の本人は、何故止められたのか?とでも言いたげに首を傾げた。
「いや、そんなどうしたんでしょみたいに首を傾げないで下さい明らかに変でしょ!?って何ですかその変な人を見る様な眼は!?」
「いやあのね美咲ちゃん……いろいろツッコミ所が多すぎるのだけど、まずその後ろに立ってる死んだ目の人は未来くんで間違いないわよね?」
女性が芸人顔負けのツッコミを入れていたが話が進まないと思ったのか、おばさんが女性を落ち着かせながら俺と姉貴を交互に見ながら、おそるおそるといった感じでたずねる。
「はいそうですよ♪私の大好きな未来で間違いないですよ♪」
「うん。それは分かってるから……それじゃ次の疑問なのだけど―――その未来くんの首に付いてる物は何?」
俺の腕に抱きつきながら明るい声で答える姉貴をスルーした後、この中の全員が一番疑問に思っている事を聞くが、姉貴の答えは――――
「え?首輪ですが?」
――――あって当然という反応であった。
ただ当然というべきか、それを聞いた全員からの――――
「はい、そこで待ちましょうか!?」
――――揃った静止の言葉がかかる。
「いや何故そんな当然とでもいうかのように答えているんですか!?普通大好きて言っている弟に首輪なんて着けないですよ!?」
ツッコミの冴えている女性が、世の中の正論で姉貴の行動がおかしいと言ってくれてる!俺はそれを感慨深く思いながら……目の前の人に心の中で声援を送っていると、奥の方にいた目の前の人と同じ位か少し歳上位の女性達が集まり、こそこそと話しているのを視界の端に捉える。
「確かにちょっと駄目だよね?」
「それともなにか理由でもあるのかな?」
「羨ましいです」
「「え"っ!?」」
二人は同情的なまなざしを向けツッコミ女性もとい女――――天使に賛同してくれる事に内心ああ、解放してもらえる。と期待しもう一人の発言は…………キカナカッタコトニスル。
そんな事を考えていると姉貴は、まるで駄目な子供を見る様な眼で見ながら首を傾げる。
「そうでしょうか?大好きだからこそ側に置いておく為に繋いでおくものですよ?」
「いやまずそれ犯罪!?仮にも人ですよ犬猫みたいに家から出ていく訳ではないのですから着けたらいけないものです!?」
「そんなの分かんないじゃないですか?私が未来を誘―――コホン、失礼……愛でる様に別の牝―――ンン、失礼……女の子が未来を誘って既成事実を作られて離れてしまうかもしれないじゃないですか。そうなったら羨ま―――後の祭りなんですよ」
姉貴は至極真面目な表情で反論するが、その言葉は完全なブラコン宣言であり……しかも本人は誤魔化せてると思っている様だが完全に弟をその対象と見ている発言をしており、おばさんは完全にお手上げと言わんばかりにため息をつく。
常識人の女性はその言葉を聞いてる途中から頭を抱え、終わる頃には下を向いて唸って考える様に黙り込み、その後ろではまた三人組の女性がこそこそと話し出す。
「あれ完全にアウトだよね?」
「あそこまで思えるなんてステキです!」
「貴女は次から喋らないでね?」
「少し共感出来ました」
「え"!?」
一人は完全にヤバイ人を見る眼で姉貴を見ており、姉貴に近い思考を持っていそうな女性は神を見た様な眼差しを向けつつ手を胸の前で組んで呟く。
それに対して同じ眼を向け、身を引きながら信者に釘をさすが、同じまともな部類に見えた女性が姉貴の発言に共感した事を呟くと驚愕の表情で今度はその人を見る。
俺はそれを虚ろな眼でながめていると「あんたら絶対におかしい!?」や「いやだって男の人ならあり得る事だし」や「大丈夫よ。貴女は間違ってないわ。男は、管理しなきゃ女をヤり捨てする野獣なんだから」等と言いあっている姿を見て、どんどん目が死んでいくなか思った。
(こうして信者なんて存在ができるんだな~)
そんな現実に絶望した様な感想を思い浮かべた後、頭を抱えだしていた女性のめげない説得が十分以上続き、ようやく姉貴が渋々とではあるが首輪を外す事を了承してくれた。
その事におばさんや後ろに固まっていた女性も笑顔でホッとし、最後まで説得を続けた女性はやりきった笑顔で額の汗を拭い……ヤバイ二人と姉貴は肩をおとして残念そうな雰囲気を醸し出す。
ガチャン!と重い音を鳴らして外れ落ちた首輪と鎖に、(ああ、自由ってやっぱり大事だな!)等と繋がれてない事(物理的)に感動していると、説得を続けていた女性が心配そうに近付き声をかけてくる。
「あの、未来くん?でよかったかな。首と精神は大丈夫?」
俺はその言葉でようやく気付き慌ててその質問に答える。
「えっ、あ、はい名前はあってます。首と精神もギリギリ大丈夫です。って普通に精神が大丈夫か聞きます?」
「いや、あれを見たら誰でも精神が心配になるからね!自分自身だと分からなかったでしょうけど完全に腐って死んでいましたから!ただ、まだ少し濁ってるので大丈夫なのかと思ったんですが?」
「ああ、それは元からそうなので問題な―――ありません」
「そうなの?でも大丈夫ならよかった。あ、後……言いにくいなら無理して敬語使わなくても大丈夫だからね」
そう言って安心した表情で笑いかけてきた顔に後光がさして見えた瞬間……思った。
(天使は……いや神は本当にいたんだ)
「あ、ああ分かった。えっと?」
思考が停止しそうになるのをギリギリで踏み止まり返答を返すが、その女性の名を言おうとした所で知らない事を思いだし言葉につまる。
そこで女性も名乗っていない事を思いだし、恥ずかしさからかほんのりと頬を染め、慌てて自己紹介を始める。
「あ、ごめんなさい!名乗るのを忘れてたわ。美咲さんと同じ大学に通っている"坂下 久留美"です。よろしくね!」
坂下さんは名乗り終わると握手を求めるように右手を差し出してくる。
「分かった。改めて緋牝神 未来だ。この度は助けてくれてありがとうございます」
それに名乗り返しながら、差し出された手を握り返し、外してもらった礼を言いつつ失礼にならない程に全体を見る。
綺麗な栗色の長髪に人なつっこそうな少し幼そうな印象を与える顔立ちをしているが、その幼そうな顔立ちからは想像が出来ない……女性らしい体つきをしている事が、巫女服のうえからでも分かる。
「別にいいよ。それより弟さんはまともな人でよかったよ。普通の男の人なら私の体ジロジロ見てくるけど、未来くんはそうしない様だから安心した!」
そう言ってまた笑顔を向けられ見惚れてしまいかけるが、次の瞬間――――ゾワッ、と背筋が凍る程の恐怖を感じ横にゆっくりと顔を向け―――後悔する。
人、二人分程の距離からこちらを……というよりは俺を―――光を消した瞳で笑顔を向ける姉貴が見ていた。
その笑顔に大量の冷や汗を流し小刻みに震え固まっていると、前から「ヒッ!?」と短い悲鳴が聞こえ……今だ握っていた手の震えから俺と同じ様に、姉貴の顔を見てしまった事が分かる。
収まらない寒気に、これ以上ここにいたらヤバイ!?と思い、急いで手を離し声を絞りだす。
「わ、悪い手を握り過ぎていたな!そ、それじゃあ準備もあるだろうしもうでていくな!?」
「へ!?あ、ううん!わ、分かったよ!?引き止めてごめんね。そ、それじゃね!?」
お互い慌ただしい挨拶を言い終わるや否や、速足で中から出ていこうと……戸に手をかけたと同時に後ろから、明るいが底冷えする姉貴の声が聞こえてきた。
「み・ら・い♪次は~、ないからね♪」
その言葉はどっちの意味なのだろうか。と冷えきった重い空気のなか一瞬考える。
「どっちも―――だよ♪分かった?」
考えを読まれた事に更に震え頷きで答えると急いで外にでた。
ここまで読んで下さりありがとうございます!
余談ですが誤字,脱字の報告がありました。本当にありがたかったです。
又ありましたら教えてもらえると助かります!
次回も11月中に出します。