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神と人と妖魔の戦記録  作者: 邪な鬼
12/29

第11章 追想と親友登場

遅くなり申し訳ありません。

 自分の都合上により遅れてしまいました。

すみません


「それじゃあ、お姉ちゃん先に行くけど戸締まりをしっかりしてから来てね♪ それと、麗奈ちゃんは余り物騒なの振り回さないように」


「はい、大変申し訳ありませんでした」


 セーターの上から水色のコートを着ながら麗奈に注意すると、借りてきた猫の様に縮こまり落ち込んだ声色で謝罪した。


 あの後、暴走した麗奈が木刀で俺に斬りかかってきて避けたり受け止め、それを姉貴や今度は彩芽も止めに入り、落ち着いた麗奈が謝りながら片付けを手伝い等して時間がぎりぎりになって慌てて姉貴が着替えに向かう等バタバタした。


 姉貴は、その様子を満足そうに見て頷くと「行ってきます♪」と元気に言いそれに弟や妹が「いってらしゃい!」と返すのを見た後俺に視線を向けてくる。


「未来お願いだから今日はいつも以上に気を付けてね?」


「分かってる。約束した以上は守る。だから姉貴の方も気を付けろよ」


「……うん」


 そんなやり取りを見て彩芽と彩希羅は、またか~。と言いたげな目を向け麗奈はジト目で睨んでいる事に気付くが無視して姉貴が出ていく姿を見送った。


「さて、それじゃあ聞かせてもらいましょうか。次は一体! 何の! 面倒事に! 首を突っ込んでんのかしら! 潔く吐きなさい!」


「おいコラ、まるで俺がいつも面倒事に好き好んで巻き込まれてる様な言い方してんじゃねえよ。いちいち巻き込んで"くる"だけで、自分からはいってねえ!」


「ダウト! 目の前で何かあったらすぐに向かっていってる癖に嘘言ってんじゃないわよ!」


 某アニメの主人公が犯人を断定する仕草で指を突き付け、ご丁寧に眼鏡を取り……睨み付けてくる。


「人を指差してんじゃねえ! 嘘は言ってねえだろ! そいつ等が目の前に来てクソみたいな事やってるから仕方なく排除してるだけだろ!」


「それを首を突っ込むて言ってんの! 私が知ってるだけで三回もあったからね! しかもその内一つは、頼まれた訳でも目の前でやられてた訳でもないのに助けてたでしょ! どーせ私が知らない所でもそんなふうに助けてるんでしょうよ! そんなんだから町内のおばさん達から『ひねくれ聖人』何て噂されるのよ!」


「ちょっと待って! 今聞き捨てならない事言ったぞ!? 誰が聖人だ! 俺は、対価がしっかりあるからこそやってんだよ!」


「だからひねくれがちゃんと付いてるでしょ! 対価を求めても少ししか貰わないで助けるからって理由のようよ! というより私が知らない所でもやっているんだからいい加減認めなさいよこのお人好し!」


「誰が認めるかー!!」


 不毛な言い争いを続けていると、彩芽達はお互いにみあい肩を竦めると気付かれない様にソッと居間に戻っていった。


 五分後、俺と麗奈はお互い息をきらしていた。


「はー、はー、いい加減、何の事を言ってたのか、教え、なさいよ」


「はー、はー、お、前もしつこいな。ふー、悪いが教える事何てない。これは俺と姉貴だけの約束事なんだよ」


 俺の雰囲気から折れない事がようやく分かったのか、ため息を一つし息を整える。


「あんたが折れないのは分かったわよ。でもこれだけは約束して――――もし危なくなったら私……か美咲さん頼ること! いい」


「……それ以上妥協する気もねえだろうしな……分かった。俺だけじゃどうしようもねぇ時は、麗奈か姉貴に相談する。それでいいのか?」


「……ええ、それでもういいわよ。ハ~」


「ため息をつきたいのはこっちのほうだ」


 その言葉に睨み付けてくるが無視して居間に向かった。


「それで、あんたは時間までどうするの?」


「取り敢えず義父さんと義母さんに線香やって準備の方をするつもりだが、お前はどうすんだ? 流石に今から帰ったら合流は遅れるが」


「それなら問題ないわよ。ここに来るときに必要な物は持ってきたしね」


 振り返って聞いてみると、長い付き合いだからか質問の意味を読み取って返してきた。それが少しおかしく苦笑して「そうか」と返し居間に入って見渡すと居らず、首を傾げてると脱衣場から音が聞こえ、向かうと朝食前に回していたのか乾燥機に移していた。


「なんだ、お前ら洗濯してあったのか?」


「ん、兄貴愛人との漫才は終わ――いって!?」


 丁度彩希羅の後ろにいた彩芽が、ふざけた発言をした瞬間、後ろ頭をぶん殴った。


「失礼な事言ってんじゃないわよ! 馬鹿彩希!」


「だからって叩か――ヒッ!?」


「彩希羅君~、言っていい事と悪い事があるって学ばなかったのかな~♪」


 頭を擦りながら顔を上げ、彩芽を見ようとするが彩希羅の近くに寄った麗奈を見た瞬間――短い悲鳴をあげ固まった彩希羅に明るいが何処か冷たさを感じさせる声色で話かけると震えながら謝罪し始めた。

 

「ごご、ごめんなさいごめんなさい! もう言いません。ごめんなさい」


「フフ、そんなに謝らなくても大丈夫よもう怒ってないから♪ ……でも――次はないよ♪」


 笑いながら怒ってないと言うが、付き合いが長い俺には顔が見えなくとも今だキレてるのが分かり(女って何でキレるとここまで恐く感じんだろうな?)と考えていると彩希羅の耳元に顔を近付け何かを言った瞬間――彩希羅が顔を青ざめさせ倒れた。


 俺達は揃ってざまあみろ。と思い笑うと洗濯を彩芽達に任せ気絶した彩希羅を背負い居間に寝かせた後、俺は仏壇を置いてる部屋に向かった。


 襖を開けた途端――部屋に溜まっていた線香の匂いが鼻をつくが慣れているもので仏壇前に座り手を合わせる。


 いつもなら感傷的にはならないが、今日が最後だと知ってる俺は、目を閉じながら死に際を思い出す。


 崖で燃える車その近くで血に濡れ倒れ伏す義父さんと義母さん泣き声を上げる二人の赤ん坊を守るように大事に抱き抱え、そこに急いで近付く俺に反応する義母さん。だが、義父さんは既に死んでおり反応がなかった。


 義母さんは、側に来た俺に弱弱しい手で泣き続ける赤ん坊を渡して爆破と同時に俺に言った瞬間――義母さんも目を閉じ二度と目を覚ます事はなかった。


(……義父さん、義母さんおはよう。今日も姉貴や彩芽と彩希羅も元気でいるよ。……今日は謝らなくちゃいけない事があるんだ。実は俺どうやら今日で死ぬみたいなんだ。……ごめんなさい。貴方方の子供達を最後まで守れず本当に申し訳ありません。そして何より――()()()()()すみません)


 今だ鮮明に覚えている。あの場に俺が着いた瞬間――血にまみれた短剣を握り俺の方を向き舌を打ち消えた男の姿を、その後の警察や俺の個人的な"ある者達"の情報から――()()()()()()()が、関与している事が分かった。


 だが、時間を見つけて調べてもここ十年近く手掛かりすら見付からず今日を迎えた。


 それが申し訳なく、そのうえ姉貴達を守れない事が悔しく、無意識の内に歯を食い縛っていた。


 そうしていると襖が開く音が聞こえ見ると麗奈が入ってきて隣に座る。


「……洗濯物も乾燥待ちで余裕が出来たから手を合わさせてもらうわよ?」


「……ああ、ありがとな」


 短い言葉を交わし二人揃って手を合わせ終わり居間に戻ると、時間まで話したり準備していると、俺の携帯に電話があり見ると姉貴からだった。


「もしもし、未来! 急で悪いけどお姉ちゃんの部屋の机にお守りが置かれてないか見て!」


「ちょっと待って!」


 階段を駆け上がり姉貴の部屋に入って机を見ると赤.碧,黄,白,翠,の五色の線が交じりあった黒のお守りが置かれていた。


「あったぞ」


「良かった! 未来お願いだけど少し早めに来て持ってきてもらってもいい?」


「ああ、大丈夫だ。彩芽達は麗奈に任せるからすぐに持っていく」


「え、でも――」


「姉貴が言いたい事は、分かってる。出る前に言った通り気をつけるから安心して待ってろよ。それに――此れがないとヤバイだろ?」


 そう言った途端、電話口から唸りとも息を飲むとも判別しづらい声が聞こえた後、少しの間をおき申し訳なさそうに頼んでくる。


「それじゃあ、着いた時にこっちからかけるから待ってろよ。いいか、絶対に待てよ。心配にはなったからって出るなよ! 入れ違いになったら元も子もないからな!」


「…………大丈夫だよ?」


「おいまて! 今の間は、なんだ! 本当に、ほんっとうに神社から出るなよ!」


「ウウウ、グスッ分かった~」


「泣く程!? 泣く程の決断なのか!? ……は~、俺は大丈夫だ。だからおとなしく待ってろ。これ以上は、らちがあかないから切るぞ」


 涙声で返事が聞こえた所で切ると、自分の部屋に行き……掛けてあった黒のコートを取り、降りて麗奈に彩芽達を頼むと「いいわよ。ただ祭りの出店、何か奢りなさいよ!」と了承してくれたが、何を奢らされるのか。とげんなりしながら玄関に向かうが、仏壇を置いてる部屋で足を止める。


(……もう戻ってこられないかもしれないんだよな? ……アイツ等も部屋にいるままだな。なら今言うべきだな)


「……()()()()()()()ありがとう。行ってきます」


 麗奈達が、いないのを確認すると、意を決して言った言葉には――感謝の思いをのせていたが、俺自身はどんな顔をしているのか分からなかったが、心は少しだけだが軽くなった事は感じとれた。


 あれから外に出て町を見るが、あまり思い入れもないせいか、見ていても感慨深い思いもなく、歩いていれば大半の連中は、俺を避けて通りすぎるか嫌悪感をだして通りすぎる。


 だが、近所のおばさん達や弟達が世話になってる人達から挨拶をされるが、その後「その髪染め直したらどうかい?」だの「あの大丈夫ですか? 体調が優れないんじゃないですか? そのちょっとアレになってるので?」だの「よう、未来! 今日はエロい姉さんはいないのか?」等とお節介な事を言ってくる。


 それに対して俺は「大丈夫です。この髪色が気に入ってるので」や「大丈夫です。少し寝不足なだけなので」と言い最後の奴は、試したかったCQCを叩き込んで眠らせ通り過ぎようと―― 

「待、て、このアホ、ゲホッゲホッ!」


 ――した途端、足首を掴まれた。


 そこでようやく足首を掴んできた奴を認識して悪いなと思いつつもイタズラ心がでてしまった。

 

「ん? まだ姉貴めあてのゲスがいると思ったらお前か――サナギ?」


佐間義(さまぎ)だ! 中村(なかむら ) 佐間義(さまぎ)! というより出会った当初に戻す位なら、最初から名前で呼べ!」


 叫ぶ様に抗議しながら立ち上がったそいつをよくよく観察する。


 黒髪にメッシュ? だっけか、を入れた髪をしており……今はキレているせいか目付きは悪いが顔は整っており、笑顔を向ければ女はすぐに惚れてしまうだろう顔立ちをしている。

 体型は無駄があまりない筋肉をつけていながらも細く……パッ、と見ただけだと普通より少しばかり細めの体型にしか見えない。

 端的に言えば、アイドルと俳優の良いとこ取りした友人が、今俺を恨みがましく睨んでくる。

 

ここまで読んでくださりありがとうございます。

 遅れる際には活動報告に載せてありますので確認して頂ければありがたいです。

 ブックマークをして下さってる方や読んでくださってる方々には、本当に申し訳ありません。


 次回の更新ですが、頑張って八月中には出すつもりでいます。

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