第10章 幼馴染みと馬鹿騒ぎ
遅くなりました。
今回もまた誤字.脱字そして意味が伝わらない部分がありましたら報告して頂けると助かります。
「はあ~、気配で薄々分かったが、何でんな早い時間に家に来たんだ? 後、その未来君って言い方止めろ気色悪さと寒さが相まって鳥肌が止まらん」
「んな! 気色悪いって失礼にも程があるでしょ! 自分で言うのはどうかと思うけど見た目は、普通の女性よりかは少し綺麗な部類よ! そんな子に心配されて呼び掛けられたのだから喜びなさいよ!」
腕を擦りつつ言うと自分で恥ずかしくなったのか怒ってくる。全部無視しようと思ったが一つ気になる部分があり聞いてみた。
「ん? 今心配って言ってたが何でだ?」
「今の言葉を無視して気にするのがそれって……は~、もういいわ。心配って言ったのは今朝いつも通り素振――んッん、読書しようとした時に電話が鳴って出てみたら美咲さんが――未来がおかしくなって病院に連れていくから彩芽と彩希羅の事をお願い出来ないかな! って慌てた様子で言ってたもんだから未来が危ない状態なのかと思ったのよ」
「つまり、ちょっとの事で騒ぎだした、姉貴の慌てた声で俺が危ないと思って心配しながら来たって事か?」
「そうよ!」
途中わざとらしい咳払いをして言い換えた事をスルーして内容を聞き終えると頭を抱えて、簡潔に纏めた事を聞くが少し不機嫌な様子で肯定してくる。
「これは姉貴のせいだが俺のせいでもあるよな?」
今だ不機嫌な様子の麗奈をチラッと横目で見て、小声で呟き頭の中でどうするかと考えていると、不意に――クシュン! と聞こえ再度、麗奈を見ると恥ずかしさから顔をそらしていた。
内心、外だということを忘れていたのを、やべ! と思いつつ「あ、悪い取り敢えず入ってくれ!」と横にずれ……通れる様にすると最初は「もう帰るからいいわよ」等と遠慮したが「俺が寒いし、このまま帰すのは嫌だからさっさと入れ」と腕を多少強引に引っ張り入れ……ドアを閉めると呆れた表情をしながらも何処か嬉しそうに「あんたって、本当に勝手よね」と言ってくるが、俺はその表情に気付かないまま、近くに掛けてある来客様のハンガーを取り渡す。
「……ハ~、悪いな騒がせて悪かったな」
「別に、気にしなくていいわ、です。美咲さんがあんたの事で周りが見えなくなるのは、知っていたはずなのを失念していたせいでもある、もん。だからお互いに悪いって事でいいわ――です」
変な言葉使いをしながらコートを脱ごうとボタンを外すと、押し込められてた姉貴程ではないが大きな胸が少し弾んで現れコートを脱ぐと、程よく引き締まっているが柔らかそうなストッキングに包まれた脚が現れ、男なら誰でも凝視してしまいそうなエロさがそこにあるが、そこに意識が向かうより、さっきから使ってる変な言葉使いにあの駄神のムカつく顔が思い浮かんでしまいムカついて怒鳴る。
「お前も、変な言葉使いするな! ……あの駄神の言い方が流行ってでもいるのかよ、ハ~」
「別にいいでしょ! 後、後半何を言ってるのか聞こえないわよ! まさかと思うけど何か失礼な事を言ってるんじゃないでしょうね!」
「ハハハ、そのまさかだ! 丁寧に喋ろうとする麗奈がすっごく怖い上に馬鹿っぽさが際立つ!」
顔を真っ赤にキレて問い詰めてくるが、馬鹿正直にアイツの事を言うわけにはいかない。と思い別に思っていた感想を笑顔で堂々と言った瞬間――――
――――バシッ! と何処から出したのか、普通より2,3㎝短めの木刀を降り下ろされ当たるのも嫌なので頭のギリギリで止めるが、本気で叩き付けるつもりだったのか止めた両手がビリビリする上に今だ押し込んでくる。
止められた事が更にムカついたのか怒気を含めた声で吠えてくる。
「何で止めるのよ! 潔く打たれなさいよ!」
「誰が馬鹿正直に喰らうか! アホなの、馬鹿なのそれとも頭がどうかしたの!」
「五月蝿い! いいから黙って受けなさいよ! そして忘れなさいよ!」
「ふざけんな! 忘れさせるだけなら本気で打ち込まなくてもすむだろうが! これ絶対に殺すつもりだろ!?」
「あんたならこの程度で死ぬことはないから安心して殺られなさい!」
「おい待てこら! 今のやられなさいぜってーに違う意味で言っただろ脳筋女!」
「殺す殺す殺す殺す目付きの悪いゾンビ殺す!!」
麗奈にとってのタブーに当たる言葉を言った途端――真っ赤なだけであった顔を般若も怯えそうな顔に変え目には狂気を滲ませ先程以上の力で押し込んでくる。
なら放して逃げればいいだろ? と端から見た奴は言うかも知れないが、麗奈と付き合いが長い奴なら絶対に放したら即座に殺られると分かる。……その為、俺も逃げたいが逃げ出せず段々と押し込まれる木刀と般若も怯える顔で「殺す殺す!」とブツブツ同じ言葉を言ってる麗奈に、冷や汗を流しながらこの場を切り抜ける方法を思考する。
そして閃いた方法はあるが、(あ、どっちにしても殺されるじゃねえか)と力が抜けた瞬間――――
「ギャアァアアアアー!!」
――――悲鳴と撲殺される音がこだました。
その後、悲鳴を聞き付けた姉貴が胸ぐらを掴み上げボコボコにしている麗奈を慌てて羽交い締めにし「落ち着いて~!」と、何とかなだめさせ……短い時間気絶した俺が目を覚まし姉貴と麗奈の順に見て、姉貴にまた飛び付こうとして今度は叩かれて壁に叩き付けられ「ごめんなさい!」と慌てる姉貴と叩き付けられた姿を可愛らしい笑顔で「ざまぁーみなさい」と言って笑う麗奈というカオスな状況になっていると彩芽が来て「まだ早い時間帯から騒がないでって言ったでしょ!!」と三人揃って説教された。
説教も彩希羅の「早く喰わねえと冷めるぞ~」と間延びした声でハッ! とし「お説教は、お仕舞い! お姉ちゃん達も戻るよ」と早口に言い戻っていった。
残された俺達三人も立ち上がり向かおうとするが麗奈は「それじゃあ私は帰るわね」と言い帰ろうとしたので、襟首を掴むと「グエ!」と蛙の様な声をあげギロッと俺を睨んでくる。
「ちょっと、いきなり何すんのよ! 乙女が上げたらいけない声を出しちゃったじゃないの!」
「あー、ハイハイ悪かった悪かった。それより何帰ろうとしてんだお前は」
「ほんっとうに、ムカつくわね! 別に帰ろうとして何が悪いのよ! 私の用はさっき説明したでしょ! それが済んだのだから帰ろうとするのは当然!」
適当に謝ったからか、怒りで声を荒げながら脛を何度も蹴ってくる。本人は軽くやってるつもりなのだろうが、麗奈自身鍛えているせいで見た目以上に痛く……さすがにそろそろ終わりにさせようとする。
「理由は、分かったからそろそろ蹴るのやめやがれ! お前が思っている以上にこっちは痛いんだよ!」
「ふん! あんたがこれ位で痛がる筈がないでしょ! もうちょっとましな嘘を言いなさいよ!」
「勝手に決めつけんな! こっちはマジで痛いんだよそれ位分かれ貧相娘!」
「誰が貧相よ! よく見なさいよこの巨乳をこれを見ても貧相だとでも言うのゾンビ!」
「人をゾンビ扱いしてんじゃねえよ! 俺が貧相って言ったのは体じゃなく脳が貧相だっていってんだよ! すぐ体に持っていこうとしてんじゃねえよこのエロ痴女!」
「アンタも人を痴女扱いしてんじゃないこの根暗オタク!」
「は~い、そこまで……それ以上お姉ちゃんの前でイチャつかないの」
「「誰がこんな奴――――ッ!?」」
お互いに子供の様な言い合いをして睨み合っていると姉貴が仲裁に入ってくるがイチャつき発言に異議を唱えようと姉貴の方を見た瞬間――――二人揃って息を呑んだ。
いつも通りの笑顔な筈なのだが、何とも言葉にしにくい圧があり、それに加え一番の原因は――――目が全くと言っていい程に笑っておらず、もしこれ以上お姉ちゃんの前でイチャつかれたらどうなるかわからないよ? と言外に物語っていた。
俺は、朝の事を思い出しガチガチに固まり横では麗奈が顔を青ざめさせ小刻みに震えていると姉貴が話しだす。
「分かってくれて良かった~♪ も~うこれ以上イチャついたら駄目よ♪ もしされたら~――お姉ちゃんどうなるか分からないからね?♪」
「「肝に命じます!! 大変申し訳ありませんでした!!」」
いつも通りの喋りなのに圧力の様な気迫は収まっておらず、再度たしなめる様な事を言うと目の光を消して警告をされた。
俺達二人は揃って、社畜の人もビックリの見事な礼をして謝罪した。
礼をした体勢のままいると圧力の様なものが消え、恐る恐る顔をあげ見てみると目に光も戻っていた。
「フフ♪ そんな大袈裟に謝らなくて良いのにどうしたの? それじゃあ~お姉ちゃんは先に戻ってるね♪ あ! 麗奈ちゃん私のせいで迷惑かけちゃったからご飯食べていってね♪」
「ひゃい! お心遣い感謝しましゅ!」
まだ恐いからか話を振られた麗奈の返事は三歳児の様に噛み噛みになっていてそれを見て笑いながら「もう、そんな緊張しなくていいのに~♪」等と言ってるが俺は内心で、何処をどう見たら緊張している様に捉えられるんだよ! と思うが言葉にださずにいると姉貴は「じゃあ先に行ってるね~」と言い居間に行った。
そうして姉貴が戻ったのを確認した瞬間――二人揃って脱力するが麗奈は、怖すぎたせいかその場に座り込み「怖かった~」といつもの麗奈からは想像出来ない程弱々しい声をあげた。
それを見て不覚にも可愛いな。と思ってしまい「南無三!」と意味の分からない言葉を言い自身の頬を殴ると麗奈が慌てて「ちょ! いきなりどうしたの!?」と聞いてくるが「自分への戒めだから気にするな」と言い麗奈の色白の腕を掴んで立ち上がらせ居間に向かいつつ「早く行かねえと俺達の分が無くなっちまうぞ。それに早くしねえと――また姉貴がキレるぞ」そう声をかけ向かうと後ろから「ピッ!」と鳥の鳴き声の様なものが聞こえ、すぐに後ろをついてくる足音が聞こえた。
そのまま居間に入ると案の定とでも言えばいいのか半分近く減っており彩希羅は食い終わったのか皿を洗っており彩芽もちょうど食べ終わって片しに向かっていく。
「結構作った筈なんだがな~。まあいいか、麗奈これくらい残ってれば足りるか?」
「ええ、朝から動き続けたからか余りお腹すいてないし大丈夫よ」
「あ! やっと来たもう遅いよ~! お姉ちゃん一人で食べるの嫌だから早く座って食べよ~!」
律儀に待っていたのか頬を膨らませて抗議すると横の椅子を軽く叩きアピールする姿を見て「へいへい」や「あ、はい!」等各々返事をし座って食べ始めた。
食べ始めてから少しして彩芽達が戻り、話し始めたりテレビを見ていると時間が7時に差し掛かった事を報せてくる。
『テレビを見ている主婦やお仕事に行かれる方々おはようございます! 今日は佐々木 美千留がお送りしまします! 午前7時になりました。今日は12月31日! と言えばそう、年末です! 今年も今日で終わり何かやり残しが無い様にして年を越しましょう! では今日の天気です!』
今大人気の若手キャスターが営業スマイルで言った言葉で内心少し共感し物思いにふけようとした途端、姉貴が話し掛けてくる。
「未来、今日やっぱりお昼か夕方には雨になる様なの……だから少し準備の為やっぱり早めに行くね?」
「ん? ……ゴク……ゴク、ふー分かった。んじゃ俺等は予定通り最初辺りは、コイツらと廻るわ」
「うん♪ それじゃあ昼から合流ね!」
「美咲さんの方はやっぱり準備の方で遅くなりそうですか?」
「うん、どうしても雨で変わる部分があるから打ち合わせで時間取られちゃうの」
「そうですか……でもお昼は一緒に廻れるんですよね?」
「それだけは絶対に廻れる様にするから安心していいよ♪」
「はい! あ、それとご飯ありがとうございます。とても美味しかったです」
「アハハ、麗奈お姉さん今日のは、殆どお兄ちゃんが作ったんだよ!」
横から彩芽が笑いながらそう言った瞬間――麗奈が笑顔で固まり錆びついた様な動きで俺の方を見てくる。
「ウソデショ」
「俺が料理出来たら悪いのかよ?」
「ウァアアアアアン!」
少しキレて返すと台に顔をのせ大声で泣き出し始めた。その反応に全員が驚いて麗奈を見ると喚きだし始めた。
「嘘! 嘘よ! こんな目付きが悪いオタクが料理出来る何て嘘よ! 絶対に変な薬を入れたのよ! 私に入れるなとか偉そうに言ってた調味料でも入れたんだー!」
「お前ふざけんな! 俺がコイツらが食う飯にんなくそみたいなもん入れる訳がねえだろうが!! つーか自分が料理作れないからってふざけた事ほざいてんじゃねえよ! 誰がお前みたいな薬品と調味料を同じに考えてるアホの真似事するかよ! いい加減な事言ってんじゃねえよこの剣馬鹿料理オンチがー!!」
麗奈が家事や料理が一切出来ないのを知っていた俺は少し文句は言われても聞き流そうと思ったが流石に毒でも盛ったかの様に言われた事に我慢ならず言い返すと泣きながら俺の胸ぐらを掴み揺らし始める。
「ウァアア! 今言ったらいけない事言ったー! 私も気にしてるんだもん! 真面目にやってるもん! それなのに周りが理解してくれないだけで食べられるもん!」
「あんな毒物が食えるかー!!」
最後までの読んで下さりありがとうございます。
この作品に関する返信等は出来ないのですが感想を頂けると助かります。
次回は8月中に出します。