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一つの
―――――――――彼女は、僕の世界の中心だった。
広大な砂漠を笑顔で歩き続けた彼女は、ずっとずっと、苦しんでいた。なのに僕は、それに気付かなかった。もっと早く気付けばよかったと、今でも思っている。
辛さを隠して、毎日を楽しそうに過ごす彼女に僕は救われてしまった。だから僕は、それに気付かなかった。教えてくれればよかったのにと、今でも思っている。
でもそれは、僕にはどうしようもなかったことだったんだ。
だから、せめて最期に願った。
―――――――――頭を撫でてもいいですか?