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「不慣れた・慣れ」

作者: 長根兆半

小説

「不慣れた・慣れ」            長根兆半


「慣れていたはずだよ」と出雲妙子が、そう声に出してつぶやいた。

洗い物を片付けようと、台所に立った昼前だった。生まれたままの素肌に、胸当てエプロンだけを着け、やっぱり、夕べのうちにやっておけば、気になる事もなく、もっと朝寝が出来たかもしれなかった。

妙子は体の芯に残る軽い疲れを払うように、軽い伸びをした。

昨夜遅く、ホテルから帰って、ハンガリーに来て三度目の誕生日を一人で祝ったのだったが、この事で、そう思ったのでもなかった。

一人で祝う誕生日にも、器の洗い物にも、すでに慣れていた。

慣れたと思って居た別れ。それが慣れていなかったと、出雲妙子は思った。

アルバイト先のレストランで、三年前に知り合った日本人の板前、牡鹿翔太から、昨日の昼過ぎ、出がけに電話があった。

(もしもし、翔太です。出雲さん、誕生日おめでとう。確か、今日だったように覚えているんですけど。プレゼント、用意してたんですが、忙しくて、つい、ゴメン)

「はい、わぁ、ありがとう。お元気でしたか?」

(近いうちに、転勤があるんで、その事も話したいと思って、それで電話しました)

「え、て、転勤?」(その前にお会いできるといいかなと思っているんですが、私も忙しくて)

「・・・え、は、はい・・・」

(時間取れそうだったら、又電話しますから、食事でも、どうですか?)

「え、ええ」と妙子は簡単な会話だった。と思い出すと、ふと洗い物をしている手が止まった。

電話が来た、あの時から、気がブルーになっていた。

それも、彼が問題ではなく、別れ、と言う事にだった。

何か色々聞きたい事があった気がしたが、聞いてもどうなる事でもないと振り切ると、再び手を動かした。

妙子は洗い物を終え、手を拭くと、横の洗濯機を、ONにした。

居間に戻り、画像のないテレビを、ぼんやりと見つめ、自炊を始めてから、もう何年になるだろうか、高卒で、新入社員だった頃は、社会に出たと言う喜びだけで、よく女友達と出歩き、外食をしていたが、友達に彼氏が出来、いつの間にかそれぞれの生活が固まると、外食も億劫になっていた。

それが、二十歳あたりで、なんとなくお金を節約しだした気がした。

住んでいた所が銀座に近かった事もあって、休みの日には、よく銀ブラをし、デパートの一階の化粧品売り場から、最上階の食堂街まで、見るとも無く歩いて見たが、いつの間にか、二階の下着売り場で終わり、やがて一階すらも覗く事がなくなっていた。

下着や化粧品を買う楽しみは、見せる相手が居る時だけが楽しみで、見てくれる相手も居なくなると、スッピンの気楽さが勝っていった。

服装を変えると、違う自分になったように思った事が、生きる自信のなさのように感じ、あまり気を遣わなくなった気がする。

そんな冷めた事を言うと、女もお仕舞ね、などと言われたものだった。

気にすることもない、という、表現し難い自信があった。

マンションを買う頭金ぐらいは貯まったのだったが、どうしてもそうする気が起こらず、職場はかなり代えたわりに、安アパートから出る気はしなかった。

妙子は、そんな事を思い出し、胸でずれているエプロンを直すと、パソコンの

ゲームを始めた。気が入らないと言うのか、得点は上がらなかった。

自分の部屋に机を持っている人は、芯が真面目な人ね。と言う人が居て、果たして自分がそうなのかどうか知らないが、千葉の田舎から東京の築地に引っ越し、最初に買ったのが机と椅子だった。

その机に頬杖をついて溜息をつくと、自分の座る場所がはっきりしている事に、安心が沸いた。

机があれば書棚も欲しくなり、次は書籍が溜まっていった。

普通は本が先で、棚は後になるらしいから、変わっているといわれてしまう原因かもしれないと、妙子は思った。金があるから、何が出来るか考える、ではなく。

なぜ金が欲しいかを考えて貯める、妙子は金より先に目的が欲しかった。

目的もなく貯まった金を見ても、返って虚しくなる事が多かった。

外出にさえ、目的がないと自分の中で、一人遊びをするようになっていた。

過去と現在と未来を、まるで知恵の輪をいじるように、綾取りをするように、性格から来る癖なのか、身に付いた習癖なのか、区別は付かなかった。

部屋の壁に張った世界地図を見ているだけで、夢が膨らんでいく心地は、どう説明したらいいのか分らない程の喜びさえ、持てた。

立て掛けてあった、丸い手鏡の中の自分、やや吊った切れ長の目を見、その瞳を観察した。くすんだ感じはしない。白目の艶もいい。乳色に濁っても居ない。

目は心の窓と学校で習ったが、澄んだ目の色に、妙子は満足だった。

目尻にも、刻まれたような小皺はなかった。

いつか聞いた、自分の知らない年代の女優となれば、どう見ても六十前後のはずだと思って、もう一度、パソコンの前に戻り、彼女の写真を検索してみた。

親方の言ったサユリストという言葉が生まれるほど、あまりにも若く、綺麗な人に見えた。妙子は、女として、何時までも、こう在りたいと思った。

ふいに温泉卵が食いたくなり、キッチンへ行き、電気釜のプラグを刺し、保温のままに水だけを張り、その中に生卵を、姉・自分・妹の分と数えての三コに気が付き、やっぱり御人好しなんだろうか、と思った。

人が良いという事と、御人好しは違うといったのは、誰だったか、どう違うのかと考えたが、分からなかった。

父が五十の時、紙容器を作る中小企業から勝浦で独立し、自分が中学を終えると同時に、厭だった転校は無くなったが、学校との縁もなくなりかけていた。

姉が二十七になり、見合いの話に花咲く頃、二十三歳の妹はちゃっかりと、二人で結婚式を挙げちゃいましたなんて言って、籍も入れ、一足早くサラリーマンの奥さんに納まってしまった。

両親は、これといった異議も苦情も無く、それを認めていた。

間もなく姉が婿養子を迎え、父が六十五歳になると、資産の全てを姉に渡し、そのおこぼれが妙子に来た。

その時が一つの区切りになり、三十歳で妙子は日本を離れた。

心配される事が煩わしいと思っていたが、イザ心配される言葉もなくなると、やはり寂しさが募ったものだった。

それを引きずって、何年になるだろうか、同棲生活をした男も何人か居たが、いつか、皆消えて居た。

台所に立ったまま、捨てられる前に、自分は男を捨てていた事に、慣れていたはずだよ、と思ったのは、洗い物や男の事、そんな事ではなかった。

失いたくないと思っていたものが、突然消える。

ボンちゃんはなぜあの時、私を避けたんだろう?

会って聞きたいが、今、何処に居るのかさえ判らなかった。

温泉卵が四五十分で出来るまで、妙子は部屋の空気を入れ替えようと、窓辺に立ったが、その前にまず下着くらいは着けようと、黒のショーツを手にしたが白にした。

目に付いた紫のブラを除け、それも白にした。

薄いベージュの軽いワンピースを着ると、窓に掛けたレースのカーテンを分け、大きく裏窓を開けた。

初夏の太陽に輝く、眩い草原の緑と、すがすがしい空気が柔らかく入ってきて、レースのカーテンを揺らした。

五階のワンルーム・マンションの裏に広がる、草原を眺めていると、一匹の白い山羊を連れ、半ズボンにランニングシャツの少年の姿が見えた。

澄んだ大空に、一刷けの雲が浮かんでいる。

燃える様な黄金色の向日葵畑が、地平線と空を区切り、草原は向日葵の根元へ、のめり込む様に広がっている。

そろそろ温泉卵が出来る頃かと、キッチンに行こうとして、あの、ウサギを飼っていた彼、ボンちゃんを又思い出した。

何かにつけて引っかかるあの時、どうして彼は無愛想だったのか、冷たくされた、というのとも違う。その謎さえ解ければ、無理に押し切れる何かが、解る気がした。小学四年の時、確か宮城県の片田舎だった記憶がある。

山と森と小川と田圃、菜の花夕暮れセミ時雨、野いちご山吹沢の蟹、あの頃、私は天使だったと、妙子はささやかな興奮を覚えた。

父の転勤した村の学校のクラスに、家が隣の男性が一人いた。

彼はウサギを飼っていた。

間もなく仲良しになったれい子と二人で、彼の家に遊びに行くようになり、照れたように語る彼の話題は、いつもウサギだった。

ウサギに、嫉妬したことさえ覚えている。

彼のウサギ小屋は、唐竹で出来ていた。

竹の太さは一升瓶の口くらいで、長さ五十センチ位の竹の、上から三センチ位のところに穴を開け、そこに針金を通し、並んだ竹を一本おきに向こうにやると、左右の指を組んだように広がった。

それが、屋根にも囲いにも床にもなっていた。

れい子と、どこからそんな考えが湧いたのかと聞くと、兄の作る小鳥の籠からヒントを得たと、彼は言っていた。

その時だった、彼は変な事を言っていた。

「ウサギが大きくなると、何になるか知ってる?」

「え、なにになるの?」

「山羊で、羊になり、最後は牛になるんだ」

と、真面目な顔で言っていた。

「その前は何?」と私は真面目に聞いた。すると、

「その前は、モルモット、前がねずみ、その前はハムスター」

「じゃ、その前は?」と私は大真面目に聞いてしまった。

「はは、その前・・・芋虫」

私がれい子の顔を見て、二人で大きな声で笑ってしまったのだった。

彼の弟が、ボンちゃんと呼ぶのを真似て、自分達もそう呼んでいた。

夏休みになって、いつものように遊びに行くと、彼の母親から、彼は病気で寝ていると言われ、お見舞いをしたいというと、断られてしまった。

漆にかぶれ、かぶれが伝染するから、という事だった。それがどういう事なのか分からないままに、れい子と二人で家に帰ってきた。

れい子と別れた後になっても、気になって仕方ないので、私は一人で夕方、彼の家に行ってみた。

通りかかった近くの林から、妙にたくさんの油蝉が鳴いていたのが、今でも、耳に残っている。

庭先から見えるウサギ小屋は、静まりかえっていた。

それでも、竹製の小屋の様子から、無事にウサギは餌をもらっている。と言う事が分かり、こんにちは、と言ってみようかとも思ったが、止めて家に帰った。

朝の涼しいうちに勉強しようと言う、夏の子供学校にも、彼は来なかった。

夏休みの宿題などに追われ、四・五日が過ぎた頃、又彼の家に行ってみると、彼はウサギに餌をやっているところだった。

こんにちは。と声を掛けると、彼はまぶしそうに一瞬、振り向いてくれた。が、すぐ又ウサギに熱中していった。

竹の小屋は二つあり、片方の小屋に筵を掛け、中が見えなかったが、彼は、僅かな隙間から、中を見ていたのだった。

私が声を掛けても、彼は中を覗いているだけで、一言も言わなかった。

無視されているという苛立ちのまま、声も掛けず、林で鳴き止む事を忘れたような油蝉の音に包まれ、耳を押さえて走り抜けた。

彼に振られた、と言う気持ちが、悔しさに変わっていくのをしっかりと感じた。

あれ以来、学校で顔を見る事はあっても、なぜか彼も、わざと無視するような仕草で走り去ってしまうのだった。

小学校を卒業する頃、父の転勤で、ボンちゃんとはまったく違う町の中学校へ行き、それっきりになったのだが、雨戸の小さな節穴から射す光のように、思いでは残った。

高校を卒業する頃、次女三女は、技術を身に付け、自力で生きなさい。

が両親の言い分で、母の紹介する仕立て屋に入ったが、いやらしい先輩を嫌って辞め、それからが職を転々とする様になっていた。

仕方なく東京のレストランに入り、女板前を夢見た事もあった。

仲間や客から誘われ、楽しみにしていたのだったが、一夜を共にすると、以前よりなぜか皆、頻繁には誘わなくなっていた。

中には、俺とも付き合えよ。等と言って来た男も居た。

軽く見られていた事が悔しく、誘いに乗らなくなったが、突っ張る陰からいつも寂しさが顔を出していた。

何時まで経っても、臨時のウエイトレスではと、嫌気が注し、下心見え見えの男にも、くだらなささが注し、どこか外国に行って見たいと思った。

その頃には、三十が見えていた。

父のお蔭で、生活に困らないほどのお金もあり、物価が安く、治安のいい国をと探すと、ハンガリーがあった。

山羊を連れたランニングシャツの少年は、小さくなり、向日葵の畑へと消えた。

二〇〇四年当時、国際レートで言うと、物価はほぼ日本円の半額だった。

妙子は、持っている蓄えが、ここでは倍になる事が分かった。

ハンガリー滞在には、いくつかの条件があった。

観光で九十日、就労で約一年。観光では落ち着かないと思い、仕事先を探していると、なんと、日本レストランにあった。

ひと月ばかり、安いホテルに住んでいたが、思い切って家を買ってみようと思いついたのはその時だった。

その話を、日本レストランの板前、牡鹿翔太に言った。

彼に、家を買う話をすると、入り口のドアは必ず新しくする事など、色々と注意をしてくれた。家を買い、少しすると、お祝いをしたいと言われたが、手狭なので、案内はするけど、外で食事をと言うと、彼女も一緒でいいかと聞かれた。

綺麗な若い彼女と、彼は来た。

食事が終わって別れた時、なんとなく一人寝の寂しさからか、マルギット橋まで来て、ついマルギット島の公園に入り、椅子に掛けた。

そこから観るドナウ川の夜景は、昼と同じ町かと疑いたくなるほどに美しく、輝いていた。

真珠を散りばめたような夜景、両手一杯の真珠を小気味よく夜空に放り投げたら、もしかしたらというような夜景、橋のランプは、まるで真珠の首飾りに見えた。

その夜景に溶け込みそうになってしまった頃、紳士然とした男が寄って来て、パブへ行かないかと誘われ、十時では、当然寝るには早く、少し迷ったが、いや迷った振りをして、誘いに乗った。

あれが事の始まりだった。

あの夜、ホテルで

「夜、爪を切ると、親の死に目に会えないわよ、妙子」

「親が夜、爪を切ったらどうなるの」と言い返し、母に叱られている夢を見た事まで、はっきりと覚えていた。

そして、いきなり目が覚めたが、ベッドの中に、男はもう居なかった。

慣れていたはずだったが、やはり寂しくなり、家に帰ろうと起き上がると、足元の毛布の上に、二万フォリン札が二枚、四万フォリントが置いてあった。

男は娼婦と思ったらしい。

おかしくなったが、情けなかった。

三年が過ぎて、グリーンカードの取得に成功したが、身の回りに、その喜びを語る人は居なくなっていた。

あれから間もなくのある日、バイト先の店から、変な噂がある。

と言うことでクビになってしまった。

悔しいとも、理不尽とも思ったが、身に覚えは無い、とは言えなかった。

牡鹿さんとは、あれから、何度か話が出来たが、それも三日に一度が一週間に一度になり、やがて思い出した時になっていた。

二〇〇七年十二月のシュンゲン条約成立以来、ハンガリー・フォリントの値上がりが目立って来ていた。

だから、日本円で持っていたお金が、使わなくとも減っていくことになる。

全てを処分し、日本へ帰ろうかとも思ったが、生活環境を思うと、やはりハンガリーが自分の性格には合っている様な気がした。

そんな思いで居た昨日の夕方、いきなり牡鹿さんから、ハンガリーを去るという電話で、慣れていたはずの別れに、まだ慣れては居なかった事を、思い知らされてしまった。

妙子は、イオウの匂いの無い温泉卵と、即席ラーメンを食べ終わると、久しぶりにハンガリーの温泉に行ってみようかなと、箸を置いて思案に耽った。

洗濯機の終了を知らせるチャイムが鳴り、それに混じって、電話が鳴った。

妙子は、洗濯物より先に電話をとった。

(もしもし、昨日はどうも、昨日の今日で、迷惑かと思うけど、晩飯、どう?)

「今日、ですか?」

名乗りもナシで確認もない、いきなりだった。

(・・・・・六時頃、ニガティで・・・)

「分かりました。じゃ」と妙子は、予定がなかったので、そう言った。

電話は、牡鹿翔太に限らず、いつもいきなりだった。

しかも時として、その電話が人生を変えることさえあった。

日本の親姉妹とのやり取りは、電話で済ましている事も有ってか、郵便受けには、税金の催促を始め、役所の請求書ばかりになり、日本からさえ、来ることはなくなっていた。そんな生活に気が付くと、誘いの電話さえ、うきうきと受け、何を着て行こうか、お化粧は変じゃないか、靴はどれ、口紅はどんな色がいいかなどと、思い巡らせる。

いつだったか、牡鹿さんが、女性の口と足は、くっついていると言っていたが、はじめ、女は口さがないと言ったと思っていた。

が、よく考えると、いやらしいことだった。

後で、そういう事だったのか、と聞くと、板前は食べるという、人生で最も楽しめることを失っているから、つい、あっちのほうに話が行ってしまうんだ。

と言っていた。

ふと妙子は、自分はずっと、筒のような中を歩いて来た気がした。

それが明るかったか、暗かったか判らないが、少なくとも暗黒ではない、どうしてそんな気がしたんだろう。

れい子に誘われて、体操部に入ったのは、ボンちゃんの居る学校へ転向してからだった。それまでも何かやっていた気がするが、小学校では、これといった決まった事をした記憶はなく、中学生になって体操部に入ったことだけは覚えていた。

団体競技より、個人競技に興味が湧き、何時も一人で練習していた。

学校に、体育の先生はいたが、体操の先生はいなく、バク転を教える事が出来る人は誰も居なかった。バク転が出来ないまま、群大会というのがあって、参加した。他の多くの中学校の生徒が集まり、互いに技を競うのだが、あの時、自分だけがバク転が出来ないと分かり、恥ずかしい思いをし、それが後輩への意地悪になって行き、意地悪をした後の寂寥感を抱え、腹立たしくさえなった。

どうにか、バク転が出来るようになったのは、高校に上がってからだった。

群大会で顔見知りになった他校生徒も、同じ高校だったから、彼女達に教えてもらった。

先生の力を借りず、自力で習得したという自信は、大きかった。

それが職人という思考に影響し、探し歩いている間に、気が付くとハンガリーだった。出雲妙子は、そんな気がした。

一人遊びに慣れ、何時しか多くの人と出会い、多くの人が去った。

牡鹿翔太と出会うまで、込み入った話を、誰としたか分らない程だった。

いつも表面だけ、口先だけの会話だったように思えた。

その後は、いつもの一人遊びに、引っ込んでいた。

夏はいつも、自分に、何かを起こすなと思った。

時計を見ると、四時になっていた。

夏は、軽装の分服装は、下着から気になった。

妙子は、スッピンに近い、無色の口紅とマニュキュワだけすると、ジーパンを膝上十センチで切った、自作のミニパンツに白のブラウス、そしてイヴサンローランの小物入れを持って外に出た。

裏から見える草原とは裏腹に、表の広い通りは、相変わらず、どこかゴミゴミしていたが、湿気のない陽射しだけは気持ちが良い。

バスに乗り、ニガティーに着いたのは、約束には少し早い時刻だった。

ここにある西駅と、並ぶように建っているウエストエンド・ショッピング街は、ブダペストの中でも、一番大きい。

妙子はその中に入って、時間を潰す事にした。

ハンガリーの女性用服飾品店は、女性のセクシャルを、これでもかと、アピールするかのように、どの店も陳列していた。

ショッピング街を往復し、入り口の外でタバコを吸っている牡鹿翔太を見つけた。彼がタバコを、ドア脇の灰皿に揉み消そうと振り向いて、妙子と目が会った。

「やあ、しばらく、ゴメンいきなりで」と牡鹿が軽く手を上げて言った。

「本と、お久しぶりね。お元気?」

「さて、何処へ行こうか、何でも食べれるよね」

「好き嫌いはないわよ、そんな事言ってたら、死んじゃうもの」

二人は笑って歩き出した。

「この先にね、ジャングルって店が有るけど、そこでもいい?」

「彼女、元気してる、今日は? 」

「来ない。初めから分っていた事だったから、あっさりしてるんだな、ここの子は、転勤の話が出て、言ったらさ、最近はもう来なくなったよ」

「そんなもんかしら。何年いたの、あすこに?」

「五年かな」

「何処へ行くの?」

「ロンドンに支店を出すんで、そこ」

「ロンドン、一度いって見たいわね。何時?」と妙子は言った。

「明後日。落ち着いた頃、電話するから、彼氏を連れて来なよ」

ジャングルは、西駅の正面大通りとワンブロック挟んだ、通りに面していた。

狭い入り口のすぐ下に、階段があり、パブが見えた。

パブに降り立ち、左へ行くと、そこがレストランになっていた。

ジャングル、というだけあって、プラスチックの蔦や花が所狭しと置いてある。

照明も、点いたり消えたりし、野獣の声もいきなり流れてきた。

店の名のごとく、ジャングルに迷い込んだ、という雰囲気を出している。

赤ワインを頼み、ワニのステーキを頼んだ。

「何度か来た事あるの、ここへは?」

「今日で二度目、ワニのステーキなんてあったんだ。本とかなあ」

妙子は小牛のステーキを頼んで、間もなく揃ったが、ワニは、何の肉か分らないハンバーグステーキだった。

「やっぱり。ま、こんなもんだろ」と牡鹿はそう言って食べだした。

「小牛でも硬いのよね・・・・・・アラ、そうでもない。美味しいわ」と言って妙子も食べはじめた。

「東京に居た頃、客に変な常連さんが居てね。ウサギのお産を見ていると、親ウサギは産んだ子を食い殺す、とか言って、筵を小屋に掛けて隙間から中を見ている時に、彼女が来たらしいんだ、照れくさかった事もあったが、漆にかぶれてみっともない顔だったんで、ドキドキしながら、ウサギを観察している振りをして、彼女を無視するような形になって、話も出来なかったらしい。それっきり、彼女が来なくなったって、言ってたよ。その彼女、同い年とか言っても、三十前でいい歳だから、もう結婚して名前も変わってるだろうなあって、えらく懐かしそうに言ってたよ」

聞いてて妙子は、内心どきりとした。

「変じゃないわよ、その人・・・。何て名前なの?」

「一緒の人が、タガヤ、タガヤって呼んでたが・・・あれ。何て名だったかな?」

「何処の人?」

「何処だろ、東北辺りじゃなかったかな」

「相手の子の名、何て言ってたのかしら」

「そこまでは言ってなかったよ」

「どうして、タガヤなの?」

「奴の親父が桶屋でさ、それで。連れの人が、弟はボンチャンって呼ぶが、どうしてボンちゃんなのか、そっちの方が分らない。なんて言ってたよ」

妙子は、この話を聞いて、あの夏のウサギ小屋の事を思い出し、話のつじつまが、しっかりと合った気がした。

あの頃、出雲妙子の家族は、宮城県の大貫と言う所にいたからである。

「その人、何やってるの?」

「あの頃、こっちへ来る前だから、67年前で、サラリーマンしていたのかな。その時、ん、いよいよ三十路だとか言いながら、高校生の彼女かなんか連れて来て、面白い進化論を言い出してさ。その子をからかっていたよ」

「どんな?」

「寿司握ってる俺の前で、タガヤが彼女に、今握ってる白魚が大きくなるとナンになるか知ってるかい、って聞いてた」

「え、何かになるの?」

「白魚は白魚で、生まれて死ぬんだと思うんだが、奴は、白魚は大きくなって鰯になって、次が秋刀魚で、やがて鰹、そして鮪になるって言うんだ。で、高校生の彼女が、その次は何? って聞くと、鯨だって言うわけ、それでやっと、なんか変だと気が付いたらしいんだが、俺も一緒になって、ほんとだよって言うと、へぇーって感心してたよ」

「本と、変ね、でもなんか説得力見たいの、ある感じしない?」

「そうかなあ、店に来てすぐ、彼女トイレに行ったんだよ、その時何となく、奴にね、最近の若い子は、米を洗えって言うと、洗剤使うんだって言う話をしたわけ。タガヤ、何か一人で考えていたよ。そこへ彼女が来て、さて食べようって時になって話し出したんだよ。その子、信じた振りをしたのか、マジに思ったのか知らないけど、そうなんだ、なんて言い出しちゃったもんだから、米を洗剤で洗う事を納得した奴は、おかしいけど何処となく笑えなくなってたよ。冗談をマジに受け取られると、何となくやりにくいって、あるじゃない。嘘だったと言えば、お前馬鹿、になるし、素直に、ヤダァーとか言ってくれるかどうか分らないし、なんか変な話をしたなって、覚えてるんだ」

「でも、よく考えると、その進化論、なかなか面白いじゃない?」

「どうして?」

「うううん・・・。そう、例えばね。ここに三個の、十っこでも百っこでもいいけど、同じお花の種があるとして、この種は七日で芽を出し、十四日で花が咲くとするわよ。勿論お水も、太陽も、空気もまったく同じ条件の所に、毎日一つ、植えるのよ、最初に植えた種は、七日後に芽を出すでしょ。二番目に植えた種も、芽を出すわよね。でも最初に蒔いた種は十四日経っているから、花が咲くわけじゃない。こうして植えていくと、最後の種は土の中でも、二番目は芽を出し、一番目は花をつけているでしょ。つまりね、十四日後の同じ時間に、種と芽と花を同時に見る事が出来るという事になるわ。種から花まで成長の順序を、一目で見る事が出来ると思わない? この同じ日の同じ時刻を地球年齢に置き換えるわけね、するとどうしても、例えば、サルから人間が進化したって話がおかしくなるのよ」

「どうして? 第一、進化論なんて、今じゃ誰だって知ってるし、ああそうなんだって思ってるよ、NHKでもやってたし、学校でもそう教えていたじゃない」

「そうね、それが正しいとすると、やっぱりどっか無理が出るんじゃないかしら」

「どうして、いいじゃないのかなぁ」

「さっきの、お花の話、思い出して。ね、種と芽とお花が同時に見る事が出来るのよ。どうして、今、サルと人間の中間の動物が居ないの? ほらよく教科書やなんかに、四ッ足から、少しづつ二本で歩くようになったみたいに、絵があるじゃない。あの絵で、四ッ足のサルと二本足の人間は分かるけど、その中間の動物って居ないじゃない、今。ある日突然、何匹かのサルがいきなり人間になったわけ? それとも、サルから人間が生まれたわけ? 昆虫の変態だって、まさか、世の中のチョウが、ある日いっせいに同時に変態するわけじゃないと思うわ」

「言われて見れば、蛙もだなぁ。親蛙は親蛙で居ながら、周りに卵があったり、おたまじゃくしが居たりして、それも尻尾だけ、尻尾と足、尻尾が無くなっているものと、親から卵と言うか、卵から親までと言うか、とにかく一目で分るよなあ」

「ね、でしょ」

「じゃさ、人間は、どっから来たわけ?」と牡鹿が、少し当惑気味に聞いた。

「大昔の昔、目に見えない虫が、宇宙の天候の化学反応で出来た。その時、人間になる精子や卵子も出来たんじゃないかなって思う」

「どこで?」

「海で、硫酸か塩酸を煮立てたような、灼熱の海で」

「ああ、聞いたことあるな、それ。ゾウリムシかアミーバか知らないが、その中でも生きている動物が居るって話。

石油を食う虫や、プラスチックを食う虫も居るって言うくらいだからなぁ」

「今、地球上には、三千万種の生物が居るって言われてるけど、これって、皆別々に誕生したんじゃないかしら。ただ大昔は環境が合わなかったから成長しなかっただけで、人間の精子と卵子も、何度か出来たけど、環境が悪かったのよ。何億万年か経って、やっと生きられる環境が出来、受精までは出来ても、成長するための環境はまだ悪かった。環境が合わないから、何時までも精子と卵子だけで生き続けていたんだと思うのね。そして受精卵までで終わる期間があり、胎児の期間で終わる時期があり、やっと幼児が成長できる環境の時期が来て、原始人間が育ったんじゃないかしらって思うの。生活環境が変化することで、顔や背格好が変化してきたんじゃないかって思うわ。進化論って言えばかっこいいけど、成長論よ発育論よ。そうね、棒グラフって知ってるでしょ。あれで、縦に成長、横に時間を取って、棒グラフを描くわけ、時間の最初は、そうね、百億年前とするわ。成長の最初は空気、この時の棒グラフは、限りなくゼロに近い一、次の棒グラフは、成長度は精子や卵子、時間は・・・そうね、七十億年前、この時は精子と卵子は育っても、受精卵は育たない環境、次は五十億年前、この時は、受精卵は育っても、細胞分裂できない時期、次が四十億年前、細胞分裂は出来ても、それがナンなのか分かる前まで成長するけど、それ以上には成長出来ない環境。こうして、棒グラフを限りなく一に近い時点から、現代まで立てていくわけよ。化石は、各棒グラフの頭だけなのよ。その頭だけを見ているから、まるで、サルが人間に進化したなんていうことになっていくんじゃないかしら。人間に当てはめて言ったけど、これはサルでも、ゴキブリでも、きっと同じ過程よ。」

「言われて見ると、そうだけど、今でも、自然の中で、人間が生まれているのかな?」

「昔のままの環境ならば考えられるけど、残念でした、環境がもう、違ってるのよ」

「どんなふうに?」

「固体それ自体が生産できる環境よ」

「・・・と言うことは、自然発生できる環境が、今はない・・・と言う事?」

「だと思うわよ・・・・じゃないと、天涯孤独な人が、ぼろぼろ現れてしまうもの」

「それもこまりもんだなぁ。環境にしたがって、都会の子と、山村の子の体格が違うのも、何となく分かるなあ。国によって、肌の色とか、髪の色が違うのも、何か分る気がするよ。そして、人間だけが、明日への知恵を生み出す脳細胞が出来ていった」

「カッコいいわね。そうよ。進化論なんて、たいそうな事言ってるけど、私、なんだか唯物的で心はどうすんのって聞きたいくらいよ」

「この先どうなんだろ?」

「そうね、きっと、排ガスに平気な人間が出て、真水より塩水、それよりも硫酸水で泳ぎたいなんていうのが出てくるんじゃないかしら」

「なんだ、又もとに戻っちゃうじゃないの」

こんな訳の分からない話を、出雲妙子は牡鹿翔太に話していながら、自分に言い聞かせている気がした。

きっといつか、人間の精子や卵子の化石がみつかるような気もした。

「いろんな化石が、確かロッキー山脈かどっかの山の上で見つけた。なんて話もあるじゃない。ずっと昔、宇宙の中で、どんな大気だったか、どんな水なのか知らないけど、その大気や水や光などで、化学反応をし、様々な物質が出来たんじゃないかしら。その物質が、くっついたり離れたりしているうちに、物質の環境が変わり、変わった環境が又物質を変えたんじゃないかしら。そうした相互作用が有った気がするわ・・・今も」

「ふーん、じゃさ、目に見えない性格、というか性質、それはどこから?」

「知らないわよ、見える事には何でも言えるけど、見えない事までとなると、化石を見つけてから、ああだこうだって話をするわけでしょ。まるで見ていたように」

出雲妙子の話に、牡鹿翔太は思考停止になった。

「忘れてた。誕生日おめでとう」と言って小さな箱をテーブルに置いた。

「え、ありがとう。覚えていてくれたなんて、嬉しい」と言って、妙子は小箱を開けた。

群青色に輝く、アゲハチョウのブローチだった。

「それで、何時発つの?」と妙子は言って、きっとナンパ掛けてくると思った。

「明後日、少ないけど、これから荷物をまとめないと、出ようか」

「長いの?」

「多分三か月くらいで戻ると思う」

「なんだ、転勤じゃなく、出張じゃない」

少ない街灯の暗い店の表に出ると、牡鹿翔太は妙子に、元気で頑張って、と言って背を向けた。

出雲妙子は、あっ一寸、と出かかった声を呑み、ナンパを期待した自分が恥ずかしくなり、案外彼、押しが弱いんだ、と思い、三か月後を楽しみにしている自分が、そこに有り、嬉しくなった。

出雲妙子がいくらか歩いていると、何処からか音楽が聞こえてきた。

大通りに面しているデパートの壁にある、大型テレビからだった。

出雲妙子は、どこかに送信局があって、ここに受信機というテレビがある。

このテレビと送信局の間には・・・・・・何もない、でも有る。

見えないだけ、どんなに送信機や受信機が発達しても、流れる音楽は同じじゃないか。古くなった機械は化石になるにしても、空中に流される電波は、新しい機械で又送受信される。

出雲妙子の性格と言う電波は、機械が新しくなっても変わらない。

それを機械が新しくなると、性格まで変わったと思うのは、錯覚だという気がした。機械操作で、エコーを掛けたり、音調を変化させる事は出来ても、本質はいささかも変化はしない。そう思った。

妙子はその昔、アミーバだったかも、ゾウリムシだったかもしれないと思いながらも、矢張り自分は、どこかに存在していた気がするのだった。

様々な物質は、万物の神によって創造されたかもしれないが、その神と云う性格は、何処から来たんだろう。

創造するというその力は何だろう、と妙子は思った。

神が万物を創って、何処からか、目に見えない性格が来て、アミーバという虫に、性質といわれる性格のようなものが出来たような気がした。

すると、妙子は、昔から出雲妙子であって、いや、名前は違っていたかもしれないが、この性格は昔からあったように思えた。

地球が否、宇宙が出来るもっと前から、私という性格は、在ったのではないか、だから、千葉で生まれた時から、何歳になっても変わらない性格がこうして感じる。決して生まれてからのもではない気がした。

と云う事は、死んでも変わらないのではないかしら。

出雲妙子は、そう思った。

生まれる前、今、死んでから・・・・・・。

この間に、変わらないのは、性格だけかも。

肉体はいつか滅びるにしても、性格は何時までも残って、どこかで、何の精子と卵子が結合するか知らないが、その機会に私という性格が役に立つのではないだろうか。

目に見える受精卵と目に見えない性格を、結びつけるのが神かも知れない。

だが、その力は、何だろう。

磁石だけでは、何の役にも立たないが、そこに鉄を持っていけばわかる、磁力を使うことで、磁石の存在が分る。

磁石を受精卵とし、鉄を性格として、それを結ぶ磁力が、神の力ということになるのだろうか。

妙子は、なるほどと思いかけて、その神は人間が創造したものではなかったか、人間が神を作っておいて、神が人間を作ったという理論は、矢張り矛盾でしかないと思った。

その人間以前のことであるだけに、どうしても矛盾が出てきた。

そして、つまり神と人間は同じだ。

とすると、幾分矛盾が溶けるように思えた。

神や人間を超えた宇宙の力があっていい気がしてきた。

その力を何と言えばいいのか分からないが、この力の存在を認めると、全てがスッキリする気がした。

この時、妙子は、自分の中のメス性ばかりが鼻について、イヤになり、だからなんなの、人間は昔から人間だったと分かったとして、それがなんなんだ。

解ったからって、現実の何も解決なんか、しないじゃない。

とは思いながら、何処となく、足元が明るくなった気も妙子はした。

それにしても、今別れて来た牡鹿翔太を思い出すと、どうにも、女を無視された気になった。

ボンチャンの時と、どこか似ているからだった。

そこに、スカーフで頬かむりをし、着膨れしたようなスカートを履いたジプシーの、いかにも哀れそうな、汚い女性が、物乞いに近づいてきた。

出雲妙子は、言葉が分らない振りをしてやり過ごし、フフっと夜風の中で、微笑んだ。


寂しさが表に出ると、人は寄って来ない。人は皆寂しいのだから、誰よりもまず、自分がウキウキしたい。さっき彼と話したようなことで、又一つ、一人遊びのオモチャが増えた気がし、一人でも楽しくなれるカギを見つけた気になった。ズッと昔、この地球のあちこちに、何人の人間が誕生したんだろう。

精子と卵子が、自然界の化学反応でできなくなる頃、人間は人間同士で、子孫を誕生させる事が出来た。

それは他の生物も同じだと、出雲妙子は思った。

すると今、目の前に居る多くの老若男女も、そうした子孫なんだ。

そう思うと、さっきのジプシーも、デスコの入り口に並んで猫背のパープリンに見える少年少女も、足を失っている叔父さんが、水量の違う沢山のグラスを並べ、それを叩いて音楽を演奏している姿にも、近づいて、そっと背中をさすってやりたくなった。

タバコのポイ捨ても可愛いものに見え、道のゴミになっている食べ終わったサンドイッチの包み紙さえ、綺麗に見えてくるから不思議だった。

妙子はまるで、手品の種明かしをされたように、あほらしくさえなってきた。

フフっと妙子は又頬笑むと、今は、財産家の男が寄って来る事を、老いて若いツバメを食べてみる夢は、夢ではなくなっていくような気がした。

ウサギのボンチャンに、無性に会いたくなった。 

 ――おわり――


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