2 ステータスともふもふ抱き枕
タイトル変更
「おお-。うさぎじゃなくてタケル、でかくなったねー」
普通のうさぎの大きさから、カピバラぐらいになった。しかも毛は先ほどよりも輝いて見え自分の髪より艶やかだ。
なんか悔しいけど、かわいいは正義。
「か、わいい―――――ッ」
「しかも、なんて上等な毛並み。なにこのシルクのように滑らかで、高級タオルのように柔らかで、指通りも素晴らしく、抱き心地がいいとか、うちの子になるために生まれてきたようなものじゃない」
「や、やめんか。俺はぬいぐるみじゃない。離せ!」
「いいじゃないの、けちんぼう。減るもんじゃあるまいし」
「減るわ!俺のHPがガリガリと削られる」
綾子はそう言いながらも無下に振りほどかないタケルに嬉しくなった。
周りが暗くなり始めたことで見たこともない風景に、匂いの違う空気、風が運んでくる音は明らかに今まで住んでいるところとは違っていて、寂しくなっていたのだ。
耳をすませば虫が鳴くじゃなくて、獣の叫ぶ越えとか、落ち着かない。こんなところに独りぼっちで過ごすなんて、出来るはずがなかった。
「タケル、ありがとうね」
「お、おう」
「明日こそは荷物の整理して、必要なものを作っていかないと」
「タケルは探索と結界以外で何が出来るの?」
「ステータスで見れば良い」
「ん?タケルのも私ので見られるわけ?」
「いいから、みる!」
「はーい」
「ステータス」
【 名 前 】 アヤコ (25才)
【 種 族 】 人 族
【レ ベ ル】 2
【 職 業 】 ファーマー・テイマー
【 体 力 】 100
【 魔 力 】 150
【攻 撃 力】 30
【防 御 力】 100
【ス キ ル】 水魔法 2/5 土魔法 2/5 火魔法 2/5
生活魔法 2/5 テイム 2/5 錬金 1/5 鑑定 1/5
【 従 魔 】 タケル(キングラビット) タマゴ
【固有スキル】 ポイント獲得1.5倍 残りポイント 20P
【 加 護 】 管理者の加護(言語翻訳・頑健・即死回避)
「攻撃力、よわっ!」
「あ、若返ってる!」
「今気付いたのかよ」
「どうりで、ちょっとスリムだと思ったんだよね」
綾子は弛んでいたお腹を触りながら、嬉しそうな声を出した。
タケルはヤレヤレと大げさにポーズをとった。
一々大げさにしすぎだ。正直今でも一杯一杯だっつーの。
「それにしても見事に偏ってるな。まあ、武器を使って攻撃するスキルとってないから、当然そうなるわな」
「タケルのはどうやってみるのよ」
「俺の名前をクリックして見ろ」
うっすらと浮かぶ画面みたいなに、触れるって凄い。完全に今時についていけてない。ゲームだから出来るというイメージがあったから、実際に使えるのは不思議で仕方ない。今までの常識を捨てないと、何事もそれが邪魔をして出来ないことが増える可能性もあるってことよね。不思議な現象をファンタジーってことで全部片付けるしかない。
タケルの名前に触ると、タケルのステータスが出てきた。
【 名 前 】 タケル (1才)
【 種 族 】 キングラビット(新種)
【レ ベ ル】 35
【 体 力 】 300
【 魔 力 】 350
【攻 撃 力】 330
【防 御 力】 300
【ス キ ル】 結界 5/5 探索 4/5 風魔法 3/5 闇魔法 1/5
物理攻撃耐性 3/5 魔法攻撃耐性 2/5
【固有スキル】 身体強化
【 加 護 】 管理者の加護(言語翻訳)
タケルは思った以上にスーパーうさぎだったようだ。しかも1才とかなんだ?
1才に私は騙されたの?
なんてこった。それでも…。
「良かった-。明日からどうしようかと思ってた。今は電池があるから懐中電灯でなんとか明かりとれるけど、それ以外にも冷蔵庫ないし、トイレぼっとんだし、お肉ないし、狩り出来なきゃ、魔石も手に入らないとか、錬金持ってても意味ないことが今更気がついて、タマゴに念を掛けようかと思ってた。スーパーな子が生まれますようにって」
「やっと気がついたのか。農業は出来ても魔石などの材料もなければ、道具もない。スキル錬金だけあっても物が作れないことに、いつ気がつくかと思ってた」
「や、っぱりか!管理者にやられた。タケルでもわかってたなら、絶対に分かっていたはずなのに、教えてくれたっていいじゃないのよ!!乗せられた私がバカだった」
がっくり、と項垂れる私にタケルからの慰めが入った。
「どんまい」
「元凶はあんただけどね」
「まあ、今日は寝るか」
「じゃあ、今日はタケルが抱き枕ね」
何か言いたそうにしていたが、少しは悪いと思っているのか諦めたように頷いた。
よーし!抱き枕GET!!
「タマゴちゃんも、お休み」
バタバタな異世界生活一日目が、終わった。
ステータスって難しい。
次回は『デレうさぎタケルと子狼』