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うさぎに騙され異世界へ  作者: 桜田 律 
2章 異世界生活スタート
6/46

1 うさぎが進化しました

第二章 異世界で

「ん」

ゆっくりと脳が覚醒する。覚醒しながらいつもと何かが違うと焦りにも似た感情に一気に目が覚めた。

「ここ、どこ」

一瞬ここがどこなのか全く分からず、じんわりと流れる汗が余計に不安感をました。

「やっと起きた」

声がした場所に目を向けると、うさぎが立って鍋を持っていた。

「うさぎが鍋持って立ってる!」

「え、今更だろ!」


自分がどこに来たのか、理解した。

「そうよね。今更だよね」

「起きたなら、早く食べろ」

どうやら昼過ぎにやってきてすぐに魔力切れを起こし、6時間も寝入っていたらしい。

ベッドから起きてすぐのテーブルに用意されたのは、野菜がたっぷり入ったスープだった。

「これ、うさぎが作ったの?」

「他に誰が?」

「実は凄いハイスペックなうさぎだったんだね」

「冷めるだろ」

どうやら照れているのを誤魔化したいらしい。

「では、いただきます」


「おいしい…」

スープの素を使った味ではなく、本来の野菜の甘みを活かした優しい味。薄くもなく、濃くも無い身体に必要な栄養素を詰め込んだ不思議なスープで身体に染みわたるようだった。

何か話をと思っているけれど、いつもと違う環境に、向き合う人が違う。身体も本調子じゃないこともあって、終始無言だった。

「ご馳走様でした」


本当に、異世界に来たんだね-。

食べて活力がみなぎったのか、色々と前向きに思えてきた。

そういえば、タマゴ。

あ、あった。


初め見たときよりも大きくなっている気がするのは、魔力(ご飯)を食べたから?

それにしても大きいけど、今更だけどなんのタマゴなんだろう。突然肉食獣だったりしないよね?私狩りできないよ。ほ乳類でも乳はいるよね。

あれ?貰ったのは良いけど、育てられない?

「ねーうさぎー。この子なんのタマゴ?」

「さあー。普通のタマゴじゃないのは確かだな」

「…だよね。とりあえず、荷物の整理は明日の朝からにして、お風呂入りたい。土魔法で浴槽作れるかな?」


綾子のレベルが上がれば小屋も一緒に成長すると言われていたから、先にはお風呂も部屋数も増えると思うが、今日のお風呂が大事!

ものは試し。小屋の中では完全にムリだから外しかないよね。明日からは明日考えるとして今日のために。


「えいっ!」

作れた…。のはいいけど、でこぼこだ。イメージでは家の湯船だったんだけどね。

まあ、上出来上出来。

ここに水を注いで、火魔法のヒートでお湯にする。

これに持ってきた100均の桶と簀子を出して、簡易風呂の出来上がり!

本当は持ってきたシャンプーやトリートメントを使いたいけど、排水まで今日は考えられないから、全身洗えるというオーガニック石鹸だけにしておこう。

100均のかごに脱いだものと着替えを入れて。


気持ちいい-。

こうやってゆっくりと夕闇を見ながらお風呂入るとか、どれぐらいだろうか。生き急いできたわけじゃないけど、立ち止まる勇気はなかったように思う。

ちょっと?生意気なうさぎと、???のタマゴでも異世界生活一日目。

魔力吸われて眠って、お風呂は行って終わった-。


明日から、ガンバロー!


あ、陽が落ちるの早い。

まずい、真っ暗になる。小屋の中の明かりってどうなってるんだけ。

今更だけどこの小屋に魔物とか突進してこないよね?

周りの探索してなかったよ。

急いで着替えて、小屋に入っていった。


「うさぎー、うさぎー。この場所安全?」


「今更だな。この家には結界を張っている。だから悪意を持ったモノは入って来られない」

「あ、うさぎは結界と探索と戦えるって聞いたけど、どれぐらい?」

「…綾子ぐらいは簡単に」

「げっ、まじで。そんなに強いんだ。今更だけど、なんていう種族?」

「俺は魔物だったからな。一角うさぎってやつさ。冒険者に襲われ角失って、死ぬ直前に管理者に拾われて働くことになった。だから種族はわからない」

「ハードな人生だったんだね。そういえば、今更だけどうさぎの名前何?」

「名はない」

「でも、うさぎだとこれから不便だし」

「別に…」

「じゃあ、タケルね。強くて逞しいっていう意味のある名前。俺様なうさぎにはピッタリでしょ?」

「タケル…」

うさぎが名を呟いた途端に、身体が光に包まれた。

 ピコン

《うさぎに名が付いたので、進化しました。》


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