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うさぎに騙され異世界へ  作者: 桜田 律 
第3章 冒険
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10.天狐 4

「そんなのハッタリだ。確かに見える物は切れるかもしれないが、見えてない物まで切れるわけがない!」

へえーそこに気付いたんだ。

でも出来なかったら力尽くでとると言うことも出来ることを今、知ったと思うんだけど?


さて、レベルは完全に私の方が上だから鑑定できるのだけど、鑑定レベルが1しかないから細かい明細が出てこないのよね。

アイテムボックスを持っているのは…誰だ?

こいつら全員持っていやがる。

あははっ…・…。

この神刀持ってると、ちょっとニヒルになりそうなんだけど。


うーん。これでここを刺したら本人刺しちゃうかな?

でも、死ななければ治癒できるし、いいよね。本人が出さないんだから。


「間違って皮膚とか内臓刺しちゃったらごめんね。いいよね?出さないあなたたちが悪いんだから」


「ルプス、しっかり押さえつけておいて。間違って心臓だけは刺しちゃうと流石に間に合わないから」

「あい、わかった」


「おい!」

「動かないでよ。即死だったら助けようがないからね」


「待て!待て!待って下さい!」

「なに!今忙しいんだから、黙って!!」

必死に人間刺さないように神刀を刺す角度を探していたのが、どうやら本気で怖かったみたいだ。

失礼しちゃう。いきなり本番になったんだから、仕方ないじゃない。


「ルプスなに…」

「我は何も言ってない」

そう?

目が冒険者に向けて嫌悪から憐みに変わってるのは気のせいってこと?

ちょっと!天狐様?

なんであなたまでそんな顔をしてるのですか!

あなたが神刀渡したのですよね?

解せん。


居た堪れないこの空気を変える為に、綾子は咳払い一つすると話を進めた。

「で?何を盗ったの」

強気で喚いてた男が一つの鍵を取り出した。

「これは?鍵?」

「そうだ。この世で何物にも代えがたい宝が眠っている扉の鍵だ。その扉を開けるのに、白狐の導きがいると言われている」

へえ、そんなのがあったんだ。だからといって傷つけて奪うほどの物でもない。何がしたかったのか。

「あんたは宝が欲しくないのか」

「不確かなものを手に入れるために、誰かを傷つけたいとは思わない。出来れば農業でもしてのんびり家で籠りたいぐらい」

その後男たちは黙ってしまった。

天狐に鍵を差し出すと、それはゆっくりと天狐の中に入っていった。少しずつ黒くどす黒い靄がカギに吸い込まれて、無くなった。


どういうこと?

「これは鍵ではない。これは浄化を促す魔道具みたいなものだ。だから綾子が言ったように、アレがなくなると我の自我が保たなくなるために、砂漠化するというのはあながち間違いではない」

そこには神々しい天狐様が鎮座していた。

おお!綺麗だよ、眩しいよ、神々しいけどそのもふもふの毛並みが気になるよ!


暫くうっとりと眺めているとあきれ顔のタケルが突いてきた。

あ、そうだった。

「天狐様。この者たちの処分はあなたにお任せいたします。私は村が気になるので、一足先に参ります」

「そうか」

「はい。他の狐さんたちも気になるし」

「我の眷属は大丈夫だ。魂さえ傷ついてなければ時が解決する」

「よ、良かった!そのことも村の人は気にしてると思うので、伝えてきます。天狐様またあとでお会いしましょう!」


タケルとジュニアを引き連れて村に猛スピードで駆けていく綾子を見て、天狐は笑った。

「フェンリルの王よ、…面白い主だな」

「それは否定しない。毎日飽きなくていい。飯が上手いからな」

「今度遊びに行くとしよう」

「ケーキとかいうやつは、特にうまいからな」

「それは、すぐには食べられないのか?」

「小麦なるものがあれば、作れると思うが…」


天狐はその言葉を聞き、すぐに子狐を咥えて綾子を追いかけていった。

「で、我にこやつらを押し付けて、どうしろというのだ」

残された冒険者三人とルプスと兄二匹。

微妙な雰囲気のまま、しばらく茫然としていた。


村に到着すると、村人が大騒ぎしていた。

それはそうだろう。突然祀っていた狐様を斬殺したのだ、途方に暮れているに違いない。先ほど天狐に聞いた話をしないと。そう思いながら村に一歩入れば、想像した様子ではない。

恐怖で固まっているというよりは、畏れ多くて固まっている感じだ。

「どうかされたのですか?」

「神が、神が降臨なされた!」


え、管理者さん?それとも空弧様?

「って!天狐様、どうしてここに?あの者たちは…」

「それよりも、ケーキなる物を所望する」

「はい?ケーキ?」

「そうだ。フェンリルの王が言っておった。お主の作った物が美味いと」

あいつ、いらんこと言ったな。ルプスは今度おやつ抜きの刑だ。

ケーキを作るのはいいけど、みんな大丈夫?



「あの、小麦粉ありますか?天狐様がご所望のものを作りたいと思います」

「は、はい!ただ今!」

村人が蜘蛛の子散らすように居なくなった。どうやら各家から持って来られるらしい。

綾子は諦めてどんなケーキが出来るのか確認するために、アイテムボックスの中身を見ながら考えることにした。

卵って手に入るのかな?

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