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うさぎに騙され異世界へ  作者: 桜田 律 
第3章 冒険
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7.天狐

うわっ。最悪な方向でビンゴ?

思い出したのよね。この世界に入る前に貰ってたゲームの手引書に書かれていたこと。

天狐が暮らす集落があり、そこでクエストを達成するとサモナー・テイマーは白狐が仲間になり、その他の職業に合わせて宝物が一つ選べる、だったかな?

自分には関係ないと思ってたから、うる覚え。いつかもふもふ狐に会えたらいいなーとは思ってたけど。


そしてこの世界に自分と同じ者がいないと、否定できるものはどこのもない。きっとあの管理者に聞いても素直に答えてくれそうにないし。

もし同じ日本からこちらに来たものがいたなら、なにも考えずゲーム感覚で、毛皮や宝物欲しさにあの村の祠を襲う可能性がある。


そして今更だけどこの街の冒険者が、こんな重体者を出した原因はなに?

怪我の原因がそこにあるとしたら、かなりヤバいと思うんだけど!



「二日目ほど前に、3人組の冒険者が来ました。初めて見る顔だったので聞いてみると、王都からやってきたと言ってました。その者たちが言ったのです。この街より北の外れに村があるだろう。その村の奥には狐の住まう世界がある。そこで狐狩りをしないかと…」


「ここの冒険者たちは古くから残っている迷信を信じている。だからほとんどの者は断った。あの村には遥か昔から言い伝えがある」


『あの村は元々戦で国を追われた者たちが流れ着いた場所だった。そこで細々と暮らしていたが、ある日天災に見まわれ命は助かったもののその日食べる物もなく、力ないものから命が消えていく運命だった。それを見かねた天狐様が沢山の山菜や木の実、果物などを分けてくれた。それだけでなく、その後も土地の浄化や復興を狐一同が助けてくれたという。そのことに感謝した村人たちは代々その年に出来たものを供え、これからもよろしくお願いしますと祈りを捧げることにした、と』


「それではあの怪我した冒険者たちは」


「村人のことが心配で、見に行ったのだ。中には迷信は迷信。だからもしかしたら、おこぼれがあるかもと期待した者もおるだろう。その日暮らしには困らないが、豊かだと言いきれるほど物はないからな。寒さをしのぐ毛皮や冬に向けて肉は、あればあるほど助かる。そして冒険者を助けるために刃を向けたものが、返り討ちにあった」


言っていることはわかった。文明が進んでいる日本でさえ村と町、そして街と都市でも格差はあった。それでも物流が整っているだけ、天災や大きな事故に見まわれなければ命に関わることは殆どない。ここは物が滞れば命に直結する。

そしてこちらから手を出したとはいえ、冒険者が襲われていたら助けるか。


「村人は!」

「話によれば、村人には襲い掛かって来ないらしい」


「あと疑問なのですが、どうしてそれが分かったのですか?ここから村って早くて二日ほどかかりませんか?行くだけで精一杯ですよね?しかもあれだけ重体なら村からここまで、普通間に合わないのでは…」

「それがわからないのだ。怪我をした瞬間、気が付けばこの街の外に放り出されていたらしい。」


「天狐の能力…心眼と転移」

あの設定が生きているのなら、悪意あるもの無いもので対応が違うのもわかる。だから襲ってきた冒険者を探している?肝心のクエストの内容は覚えていないから、もし毛皮・宝物以外の目的があったならそれはわからない。

村人に危害が及んでいないのなら安心だけど、もし天狐が我を忘れたら…?


あああああああ!もう!

わかんない!


「取りあえず、その三人の冒険者以外は戻って来てるのですね?」

「把握している者はそうだ」


『ルプス!そっちは異常ない?』

『血の匂いが漂ってきて不快だが、ここは問題ない。まあレオが主に会いに行くと暴れておるぐらいだ』

『レオ…』

『まま!』

『ままは元気だから、いい子で待ってて』

『…まま』

『帰ったら、一緒に遊ぼうね』

『うん!』


『で、ルプス。何隠してるの?そっちに来たんじゃないの?冒険者3人』

『来てはない』

『じゃあ、近くにいるんだ』

『鼻が曲がりそうだ』

『取りあえず、その冒険者を無効化して村に連れて行って。天狐の怒りを鎮めないと、この辺りの一帯の野菜や果物などが枯れる』

『……』

『ルプス!』


『…出来ないならいい。フェンリルの王が森も守れないなんて、情けない』


『帰ったら、契約をき…『わかった!やればいいのだろ』流石、フェンリルの王!頼んだわよ』

『…あ、村に着いたら連絡して、すぐにそっちに転移するから』

『ああ』


もう!素直じゃないんだから。

契約切られたら食事が元に戻るのが嫌だからと、返事が早いのは…ルプスらしいと言えば良いのか。

確かにルプスからしたら胸糞悪い話だと思うし、助けたくないのはわかるんだけど…ね。


まだここに来た3人の冒険者が自分と同じようにしてここに来た人物なのか、それともそんな人物がいて聞いた話なのかによって、今後の動きが変わってくる。


そう考えると…あのゲームをしていた者が同じ時間に来ているとは限らないだろうし、過去の日記が見つかったのかもしれない。

とにかく情報が欲しい。

それにもし彼らが何か盗んでこの騒ぎならば、それは返すべきだ。

もし無理だと思ったなら撤退をすると決めて、その後のことで出来ることを考える。


「ヤンさん、ロジャーさん。この後村に行くことにしました。後売りたいものがあるのですけど、買取できますか?」

「あ、ああ、出来るが。――村に行くって本気か?」


「ええ、買取が終わったらここを出る準備をします」

「村は気になるが、それでも…この街の恩人を」

「無理はしません。それにもし天狐がこの地を呪ったら、多分村だけでなく街でも野菜や果物など出来ない不毛の地になるでしょう。豊穣の神の御使いに手を出すということは、そういうことです」


もしジュニアもあのまま怪我が治らなくて、死んでしまっていたら…

この周辺の森はもうなかった。

そういえば、あの時罠を仕掛けたのは誰だったのだろうか。

今まで気が付かなかった。


…レベル上がったら、頭良くならないかな。

脳筋とか、いやなんだけど。


――そこは置いといて。

目の前のことから頑張ろう。


「そんなことが…」


その知識通りとは限らないけれど、そこまで違いはない気がする。天狐が禍々しいものに変わる前に暴走と止める!


次回はもう少しお待ち下さい。

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