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うさぎに騙され異世界へ  作者: 桜田 律 
第3章 冒険
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6.フィンプラトー 4

ロジャーからお説教&常識講座を、ジュニアを抱っこしながら聞いていると話し合いが終わったようだ。

回復薬は今回と同じ金額で毎月卸すことになったらしい。

じゃあここから戻ったらみんなが喜んでいたことや役に立ったことを、ノーム達や残してきた子達全員の前で言わないとね。そして次回も頑張ってもらわないと。

それから今回の治癒の料金は10人分で本当ならば1000万になるが、今回は口止め料として半額とすることで同意となった。

一気に130万と500万合計で630万エン。

現実世界なら宝くじ当てた気分かな?


これで話はついたとばかりに男たちは納得しているが、教会ってそんなに単純なものなの?どこの世界でも宗教って面倒だよ。戦争が起きるぐらいだし。

だから先ほどの話だと薬師があまりいないと言われているこの辺境地で、特級の薬が手に入ったなんて、物がないと信じられないじゃないかなー。


綾子はアイテムボックスから特級の回復薬を取り出した。

タケルはまた何をやらかすつもりだと口にしそうになり、噤んでいた。

「ねえ、教会ってそんなに単純?」

皆何を言ってるんだと顔を顰めるが、教会がそんな簡単に金蔓や威信を奪われるようなことを、見逃すとは思えない。


「隠し立てすれば神に逆らったとみなす!なんて冒険者を脅さない?普通で考えたら特級回復薬なんて出回らないのでしょ?」

「…ううっ」

答えに詰まる。それが答えだ。


「だから、はい!これが証拠となるでしょ」

「あんた…いや、アヤコさん」

「ギルドに査定するために鑑定する魔道具があるから、確認してもらってもいいし」

ニコニコしながら簡単に特級回復薬を渡す綾子に、一同深いため息を漏らす。だけどそれが綾子のことを隠す為だと言われたら、ギルドとしては受け取らないわけにはいかなかった。


「大丈夫、タダだって言わないから。タケルと私の冒険者登録と、これから出す魔物の査定に色を付けて。それに口止め料にしてくれたら問題ないから」

それだけでヤンとロジャーはこれから何が起こるのか予想が付いた。

「アヤコさんの持ち物が何かなんて、詮索しません。したくありません」

「正解です!では登録をお願いします」

綾子は特級の回復薬を袖の下とばかりに渡した。


ロジャーが準備した用紙に必要事項を記入していく。

職業か…。

久しぶりにステータスを見る。レベルが3も上がっている。やっぱり家の方で何かあった?

『ルプス!そっちで何かあった?』

『主か、オークキングが近くをうろついていたからな。血祭りにしておいた。肉はちゃんとハントが確保してくれてるから、大丈夫だ』

『あ、いや肉の心配はしてないけど、問題はないのね?』

『我の結界がある』

なんか含みを感じたけれど、手助けが必要でもないようだ。フェンリルが3匹にグリフォンもいるのだ、どちらかといえば、過剰すぎてやり過ぎになるかもしれないけど。

『わかった、任せる』


念話を切ってすぐに職業を書き始める。

テイマーと魔導士

年齢 25歳 

攻撃手段 従魔が頑張る


これぐらいかな。

ロジャーに渡すと目を瞠られた。

「職業が二つ!」

「え、駄目なの?」

「そうだよな。従魔がいるのだから、テイマーだし魔術が出来るなら、魔導士だ」

ブツブツお経を唱えるように、登録用紙をもって歩いている。

だって、常識のなかに職業二つダメだとか、言わなかったよ?

うん、言ってない!


我にかえったロジャーは綾子の肩ガシッと持ち、鬼気迫る顔で聞いてきた。

「アヤコさん、他にも従魔が?」

「ええ、勿論。今回は初めてだから受け入れられそうなメンバーですけど」

「ちなみに、何が」

「ノーム達にハニー・ベア、ハニー・ビー」

「ノーム……ノーム!!あの最高の回復薬はノームが作った物か!」


「グリフォンの幼子に」

「グリフォン!」

「フェンリルに」

「フェンリル!!」

「「アヤコさん、あなたは一体何者!!」」

あ、凄いユニゾン。


タケルにはやっちゃったよ。と飽きられ匙を投げていた。

だって…ここに毎月来るなら、順番で来たいし…。外の世界も見せてあげたいでしょ?このメンバーで負けるわけないし。

「普通のテイマーです」

「「んなわけ、あるかっ!!」」

怒られた。

だって、ここにいるし。

それに完全に協力してもらわないと、これから辻褄あわなくなる可能性が高い。

村のことも気になるし、伝えなきゃ出し、この街がなくなっても嫌だし。


「取りあえず、登録してください。そして冒険者として、伝えなければならないことがあるんです」

真剣身を帯びた声に、ヤンがロジャーに頷いて手続きに行った。


『綾子、村の事言うのか』

『隠してもどうせわかることだし、ここで黙っていて逆に疑われても困る。あの村にいたのは間違いなく人外なる者。生物でもないかもしれない。この街が襲われるかもしれないのに、黙っていられない。でも何となくだけど、アレ…何か誰か、かな?探している気がする。何となくだけど』

『探す、か』

正直このメンバーで対峙できるほど強くない。総力戦なら勝てるかな?ルプスの真の強さがわからないから、何とも言えない。

一度離れてみて冷静に考えることが出来き、今だから思い出せたけど、確かにあの目は何かを憂いていた。



なにを…。



「アヤコさん」

「アヤコさん」

「アヤコさん!出来ましたよ」

思考の渦に呑まれていたら、どうやら登録が終わってたらしい。

「ありがとうございます」

「それで、話とは…」


「ええ、その前に一つ聞きたいことがあります。最近大物の魔物狩りとかありましたか?」

その問いに、二人はまるで静止画のように動きを止めた。


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