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うさぎに騙され異世界へ  作者: 桜田 律 
第3章 冒険
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2.初めての野営

走り始めると震えは止まり、小休憩をとりながら順調に街に向かっていった。

魔物が探索に引っかからない。それどころか普通の動物でさえ息をこらしている。やはり先ほどの殺気に充てられて山の方に逃げたのかもしれない。

街へ行ったときには、何らかの騒動に巻き込まれる予感を残しながらも、綾子達は走り続けた。

陽が傾きかけた頃、タケルが速度を落として振り向いた。

「そろそろ野営の準備をしよう」

「そうだね。寝床を作らないと」


「ままー、ご飯?」

相変わらず食欲が一番のジュニアに、笑いが溢れる。

この子はある意味大物だ。あれだけの殺気に気付かないわけがないのに、平然としている。流石はフェンリルの子か。

「ままは寝るところを作るから、ジュニアは周りを警戒しておいて」

「うん、わかったー」

タケルは火を熾しても大丈夫なように、周りの草を刈り燃えやすい枯れ木を集めている。

綾子はひとまず土魔法を使って先に床を作った。その上に立って自分とタケル・ジュニアが寝てもかなりの余裕があるようにする。部屋にして4畳ぐらいか。


その上に壁を三方向作り、もう一面少しずつ壁を作る。普通の家の玄関ぐらいの大きさを残して、壁は出来た。よし!後は屋根を床と同じように作るだけ。少々歪なのはご愛敬だ。

取り敢えず一晩といえども崩れたら困るので、硬化を掛けるとセメントで作った家のようになった。

温かさは何処にもないけど、床に敷き毛布を置けば少しは寝やすいだろう。他は天然の毛が二つもあるのだから、温かい。

これでいい。


外に出るとタケルが火を熾してくれていた。

アイテムボックスからヤカンを出すと、水魔法で水を入れその上に置いた。流石に夜ご飯食べるときには、温かなお茶が飲みたい。

「タケルは冷たいのがいい?温かいの?」

「温かいのがいい」

「わかった」

やっぱりタケルはどこか爺くさくなっている。


ジュニアにはお皿に水を入れた物と、昼間よりも多いステーキ大3枚と野菜の盛り合わせを並べる。

タケルと私はお昼と同じお弁当に、温かいお茶、そしてデザートのパンケーキ。

お湯が沸いたので、ティーパックをヤカンに入れお茶出しをする。

「では、頂きましょう!」

「「頂きます」」


アイテムボックスって本当に凄い。作りたての温かさだよ。タケルが持っているマジックバッグもその機能はついているけど、容量が違う。

それでも普通に暮らすには、充分な容量があるのだからあまり知られない方が良いだろうと思う。まずはその辺りも聞きながらどこまで開示すれば良いのかを調べないと。


それにしても今日一日でかなりのエネルギーを消費したのが分かる。いつもと同じ量では全く足りてなかった。

本当は明日に食べようと思っていた分のパンケーキまで、ハチミツたっぷり掛けて食べてしまった。

やっぱりはっちゃんのハチミツは、濃厚で最高!

これでフルーツ酒を作ったら、絶対に美味しいに決まってる。少しずつ実がなり始めている果実を思い、まだ作ってもいないのに、その出来上がりが楽しみになっていた。


「綾子、地上では半分以上来ているが、街が見えてきたタイミングで速度を落とすからな」

「うん、わかってるよ。それよりも街に入るのに証明書とかいる?」

「保証金を払えば大丈夫だと思うが、それに成り代わる物を渡せば良い。多分従魔の分もいるから高くはなると思うが」

「お金無いからその代わりに何があるかな?小説だと魔物の皮とか魔石とかだけど、あまり良いもの渡すと目を付けられそう」

「回復薬の小100とか、ウルフの魔石を幾つか渡せるようにしておけば良いんじゃないか」

「そうだね。出発前にはリュックに移しておくよ」


「あ、そうそう。ジュニアもタケルもこれつけて」

「なんだ、これ」

「なーに」

「バンダナなんだけど、首に付けておけば魔物と従魔の区別がつきやすいでしょ?」

「そうだな。明らかに違うのが分かるな」

「首輪とか、ちょっと心情的に嫌だなーとおもって」

 

ジュニアにはベースが赤色に白の大柄の唐草模様の入った物。タケルにはベースが蒼色で白の大柄の唐草模様の色違い。

パーティーだと分かるように、私もつけることにした。ちょっと気取った女カウボーイ見たい。

本当は紺色が良かったのだけど、目立たなければ意味が無いのでベージュを基本に紺色の大柄の唐草模様だ。

「まま-、にあう?」

「うん、オシャレさんよ。ジュニア」

「わーい!ままとタケルとおそろい!」

「これを付けている子は、良い子の証なの。だからママが行け!って言うまで、動いちゃダメだからね」

「うん、良い子だからままの言うこときく!」

「ジュニアは偉いね!」

久しぶりのもふりタイムに入って、ジュニアと一緒に転がった。


タケルはちょっと冷めた目でこっちを見ていたが、そんなことは気にならなかった。少しは癒しがいるのだ!

みんなにクリーンを掛け、中で休むことにした。

「結界張れば、みんなで寝られるね」

「そうだな。念のため綾子が奥で寝ろよ」

「うん、ありがとう」

念のため手元に懐中電灯を用意しておく。無属性魔法ライトでどうにかなると思うのだけど、初めての野営の為咄嗟に出て来なければ危ない。結界を破るほどの魔物がいるとは限らないけど、あの村の得体の知れないモノのこともあるし、人間が一番危なかったりするからね。


よし!トイレも済ませた。

寝床も準備できた。ジュニアと一緒に寝れば、温かな毛布の出来上がり!

「「結界!」」

何故か気分で二人で張ってみた。

多分タケルもあの得体の知れないモノのことは、口に出さないけれど気になるのだろう。

だからだろうか。ちらっと鑑定してけどルプスが施す結界と変わらないぐらい強固になっていた。

これで安心出来る。


「おやすみー」

「おやすみ」


明日はドキドキの街へ入れるかも!




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