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うさぎに騙され異世界へ  作者: 桜田 律 
2章 異世界生活スタート
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22 綾子の本領発揮 5

行きは一時間ほどで行けた場所だが、帰りは弱った牛たちと一緒なのもあり4時間かけて帰った。これにはさすがの綾子も疲れを見せ、牛たちをノーム達に任せるとぐったりとベッドに倒れ込んだ。

こちらにきてレベルが上がりHPも上がったが、体力の問題は別のもののようだ。


「ままーぶじ?」

「ジュニア、ご飯の時間になったら起こしてくれる?」

「わかったー」

ジュニアの頭を撫でてからすぐに、綾子はそのままベッドに意識を落とした。


意識が浮上する。一瞬ここがどこだったかわからないくらいに、ぐっすりと眠っていたようだ。目が覚めた後は一角牛を探しに行く前と変わらないくらいには、体力が回復していた。

なんて便利な身体。

体を起こすとベッドの前でお座りしながら待っているジュニアがいた。

どうやらちゃんとお仕事をしようと、遊ぶこともしないで綾子のそばに居た様だ。

「ジュニア、偉いね!」

両手を広げて言うと、嬉しそうにふわっと飛び込んできた。以前注意したことをちゃんと守っているようだ。

全身マッサージするようにジュニアを撫でていると、レオもそこに参戦する。

元気な二匹とじゃれ合うのも、きっともう少ししたら難しくなる。今だけだからと一緒に遊んでいた。


「綾子、何やってるんだ」

「ああ、…タケル。二匹を褒めてた?遊んでた?そんな感じ」

「まあ、いいけど飯の準備どうするんだ?」

「頑張って指示するよ。明日からは各々で頑張ってもらえるように」

「わかった。肉はどうする?」

「この際、捌けるだけ捌いて貰おう。ハントも仕事がある方がいいでしょ。その後はワークが色々作ってくれるそうだから、ある程度できたら町に売りに行くよ。町に行けば私が知らない野菜もあるだろうから、グリーンも嬉しいだろうし、一角牛のエサも出来る」


「綾子、無理するな」

「うん。自分が処理しきれるだけ、頑張る。一角牛から確実に乳が採れるようになったら、また忙しくなるからね」

「それならいい」


その日の夜は松明を囲みながら、みんなでバーベキューを楽しんだ。家から持ってきたお酒も今日は特別だからとみんなに振舞う。

陽気な笑い声は、未来を明るいものにしてくれる予感を与えてくれた。

綾子は元の世界に戻っても、きっとこの風景を絶対に忘れないだろうと思う。


そして絶対にここを守るのだと、固く決心をした。


次の日から精力的に綾子は動いた。

グリーンたちと一緒に2000粒のコムギと野菜たちを育てるために、土を耕し森の外にある枯葉を集めて肥料を作り、水を撒く。

野菜はともかく、小麦は自然に任せれば出来上がるまでに7か月前後かかる。

それでは遅いので、ここは反則技を使おう。


「育成」


おお、やればできるよ。ファンタジー万歳!


「ここまで一気に育成できるとは、並外れた魔力ですな」

「みんなが少しずつ魔力を一緒に注ぎ込んでくれたからですよ」


元々この育成はグリーンの一族がもつスキルだ。畑を全員で囲むことにより、一気に育てることが出来た。最後の刈り取りの判断は私では難しいので、そこは任せることにした。

一ヶ月もすれば、収穫が出来るだろう。


綾子は立派に育った青々とした麦を見ながら、目を細めた。これが上手く言ったら、お米出来るかな?

期待を膨らませながら、はっちゃんのところへ向かった。顔を出すと言ってから、一度も出せてないからだ。


ノーム達の働く姿を見ながら、竹林に向かった。家でお昼寝をしているメアがいつも美味しいと食べていることも伝えたい。

「はっちゃん、遅くなってごめんね。問題はない?」

「主、元気になった」

「うん。心配かけてごめんね」

「大丈夫。ここの暮らし満足、天敵居ない、快適」

「それなら良かった。メアが本当に美味しいって食べてるの、たくさんありがとう」

「問題ない。もうすぐしたら子が孵る。もっと増える」

「おお、新たな女王蜂の誕生?嬉しいね」

「産まれたら、知らせる」

「うん。待ってる」


良かった。とても順調そうで安心した。

これならいずれノーム達にも分けてあげられそうだ。甘いものが好きなノーム達には、果物と合わせると最高のデザートが出来る。

私もジャムが出来るのが、凄く楽しみ。

さあ、家に戻ろう。そろそろお昼寝から起きるだろう、メア、ジュニア、レオが、小腹が空いたと騒ぐくらいの時間だ。

もしも狩りから戻ってきていたら、フェンリルトリオも何か食わせろコールでタケルが苛立っているに違いない。

さて、今日は何にしよう。



そんなのどかな時間は、タケルたちが狩りから帰ったことで一転した。


「どうしたの?!この子」

「森に捨てられていた。多分オークがこの子を襲おうとしていたから、囮にされたんだろ」

「そんな酷いことを!」

「ここでは奴隷をそう扱うのは普通だ」

この世界には奴隷がいる。もしかしたらと思ったことはないが、わざわざ聞かなかった。

知っておかないといけないことだ。後で詳しく聞くことにして、細かい傷が多数あるから急がないと。

「クリーン」

「回復」

水の膜で女の子を包み込んだ。


この膜がなくなったら細かい傷は消え、汚れた衣服は破けたもの以外は綺麗になるだろう。そして落ち着いたらお風呂に入れ、お古で悪いけど新しい服を着てもらおう。


「ルプス、この子を運んで」

結界で包んでもらい、運んでもらう。そうすれば水の膜は壊れることなく女の子を癒し続ける。

「どこに運べばいい?」

「私の寝室に一応寝かせて」

「あい、わかった」


綾子はルプスが運んでいる横を一緒に歩く。そして女の子に鑑定を掛けた。


名前がない。



【 名 前 】     (12才)

【 種 族 】  人族 (奴隷)

【レ ベ ル】   2

【 体 力 】  32

【 魔 力 】  12

【攻 撃 力】  52

【防 御 力】  25


【ス キ ル】  不運(呪い)


【固有スキル】  戦士(呪いによる封印)


それに、呪いってなに!


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