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うさぎに騙され異世界へ  作者: 桜田 律 
2章 異世界生活スタート
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6 綾子は大物

綾子は窓から入ってくる光に反応して目が覚めた。

「朝か」

起きなければと体を起こそうとするが、どんよりと重い。まるで若返った年が元に戻ったみたいだ。思わずお腹を触る。

うん、大丈夫。弛んでない。

年齢が戻ったことはなかったようだが、ではこれはどういうことなのか。

クリアになった頭で周りを見渡すと、みたことがない景色が見える。

まだ、夢の途中?


神々しいまでに光り輝く銀色の毛にどうみてもただの狼には見えない面構え。しかも、自分が知っているどの犬よりもでかい。森の中で出会ったなら逃げられるかどうかはともかく、一目散に逃げだすだろう。そんな綺麗な狼さんがどうしてここにいるのか。

昨日の自分の行動を振り返ってみた。


野菜に水やって、土耕して倒れて、気が付いたら、そう気が付いたらこの子が目の前にいた。わけがわからず、魔法かけて気をまた失った。ということ?

で、この子のお母さん?が狼さん?

昨日の記憶があまりにもなさ過ぎて、綾子は何一つ確証が出来なかった。


取りあえず、…お腹空いた。

考えるのは後にしよう。

腹が減っては戦が出来ぬというし、まずは腹ごしらえ!


それにしても昨日は一食だけとか、この世界はどれだけ私にダイエットさせたいのか。

とにかく何か手早く口に出来るものが欲しい。

だけど台所に行きたくても、囲まれている為にベッドから抜け出せない。

それならとタケルの横に置かれていたマジックバッグの中から、水とおにぎりをだした。

やっぱり非常食といえばこれよね!


どれにしようかな。おかかに、シーチキン・梅干しに鮭・こんぶ。

よし!シーチキンだ!

ナイロンを破り今まさに食べようとした時、強い視線を感じた。何気なくそこに目を向けると、もの欲しそうな顔をした大きな狼がいた。


「あ、食べます?」

目の前に差し出すと一口で平らげた。

そして次をどうやら御所望らしい。

梅干しはきっと食べられないよね。だったら、鮭かな。

次も無言で一口でぱくりと食べ、次だと見られる。


ああ、これ無限ループになる。体に合わせて食事与えるとか、今の私には完全に詰んだと同じ事。それだけは避けねばならない。一歩も外に出れない私にとってこれらは、命綱と同じなのだ。


「もう、駄目。これは私のご飯。魔の森から一歩も出られないのに、これ上げたらダイエットどころじゃないの。申し訳ないのだけど狼さん、外でお食事してきて」

しばし視線が絡み合う。一歩も引かない綾子に、フェンリルは笑った。


「小娘、中々肝が据わっておる。魔の森の王たるフェンリルを前に、意見が言えるとはのう」

今、なんて言いました?

「だが、我は旨いものが喰いたい。何を持ってきたら食えるのだ。この森にあるものなら持って来てやろう」


持ってくるって、狩ってくるってことだよね!

いやいやいや、しゃべるのも驚きだけれども、それ以上にフェンリルが狩ってくるものって何さ!自慢じゃないけど捌けないよ。



タケルが捌かるのなら別だけど。

「うさぎぐらいなら捌けるが、それ以上は無理だ」

いつの間にか起きていたタケルの答えに、自分の声も乗せる。

「だそうです」


「ならば、街に行って冒険ギルドで捌いて貰るといい」

あーやっぱりあるんだ。冒険者ギルド。興味がないと言えば嘘になるけど、レベル2ではここを出るのも無理でししょ。町までどれだけの距離があるのかもわからないのに、いきなり冒険とか無理だし。


それに捌いて貰ったところで、血が滴るお肉を触るのでさえ出来るかどうか微妙。ゲームみたいにドロップして、まんが肉とかならいけるかもしれないけど。

魚でも切り身しか買わないのに私に何を期待しているのか。


…かといって、このフェンリルさん諦めそうにないんだけど。

期待する目を向けられても、困る。

おにぎり一つで、どうなの?


私の心を読んだかのように、タケルが答えた。

「綾子、今まで生肉とたまに薬草とかしか食ってこなかった魔物は、綾子が出すものは全部新鮮だ。多少料理をしたことがある俺が上手いと思ったんだからな」

「そうは言われても、米を育てるにも4か月は掛かるし、畑を育てるにも時間かかる。薬草でポーション作ってとか思ってたけど、薬草ないし、まず道具買うお金がない。それらをどうにか出来たら、たまーにで良かったら作る」


「なんだ、そんなことか。畑はノームと契約して耕せればいい。育成も手伝ってくれるだろう。道具を買う金は、我が刈って来た魔物、肉以外をギルドに売ればいい。これで解決だ」


「ノームがいるんだ。本当にファンタジー」


異世界に来て二日目だというのに、なんでこんなトラブルに巻き込まれてるのか。

わけがわからない。

フェンリルと知り合ってもふもふラッキー?

なにそれ?

もふらせてくれるとも限らないし、このままだと食料難民決定だよ。

まあ、ほとんど大きいワンコのようだし、それぐらいはさせてくれそうだけど。


あの管理者の呪いか?

あれっぽちの加護とか、割に合わなさすぎる。

所謂チート?ってやつを貰わないことには、やってられない。

このフェンリル、あんたの回しもんじゃないわよね?

不敬?

そんなのものは尊敬できる人に対して思うことだよ。


なんか、朝から疲れた。

こっちに来てやったことと言えば、畑水やりと耕しただけ。

いつになったら職業ファーマーとやらは機能するのか。

私の望み、スローライフとは…なんぞや。


私は考えることを放棄して、視線を無視して目の前のおにぎり(こんぶ)にかぶりついた。

ああ、おいし。


「あ、タケルも食べる?」

おかかを差し出してみた。

次回『管理者からのボーナス』

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