冥界の王、ラーズ様、再び推参!
あれより、一週間が経過した、人間世界の、、、、
あのものの名は、里奈というらしい。
今日は朝から出かけておる。
「魔王ちゃ~ン、待っててね!」といつものようにふざけて
おどけながら出ていきおった、、、
どこまで本気なのかつかみどころのない、性格だが、、、あの時の
涙の後は気にかかる、、、
だが一つ言えることは、確実に里奈のペースにはまっているということだ。
われが、この魔王が、、、だ!
そう考えること、小一時間ばかり過ぎたころ、部屋のドアが開いた。
***「門じゃないわよ!、、ドア、、っていうの!」***
理奈にそう言われて、笑われたがきゃつめに、笑われても少しも腹の立たない
われがいた、惚れているのは否定できまい、、、魔王たるわれが、、、だ!
慌てて、フィギァのまねをする、、、これも里奈からそう教えられた。
部屋に入って、来たのは里奈の母だ。
いつものように、部屋の中を見渡すと今日はベッドの上に腰を下ろす。
・・・ちょうど、われの目の前だ!・・・
じっと、こちらを見据える、、、何やら言いたげに、、、
「はぁ~、、、!」大きなため息をつくと、
少し辛そうに、でも微笑みながら、われに話しかける。
「魔王君がこの部屋に来て、、、、一週間、お礼を言わなくっちゃね!」
「どうもありがとうございます!」
・・・!!!??、、、??なぜだ?われに??・・・
そう言いながら、フィギァとしてポーズを取るわれに丁寧に頭を下げた。
「今まで、一度も嬉しそうに笑わなかった里奈が、、、
あなたが居るようになってから、毎日が嬉しそう!
まるで、本当に恋人でもできたような笑顔!、、、
親の私がいくら努力をしても、見ることのできなかった、
あの子の顔!、、、あんなに嬉しそうに、、、」
・・・そう言うと、今日は顔を手で押さえると号泣し始めた。・・・
しばらくすると、涙を手で拭いながらも嬉しそうに笑顔を見せると、
今度は、われの頭を、やさしく撫でて部屋を出ていった。
「これからも、よろしくね! 魔王君!!」
パタンと、ドアが閉まるとあたりは静寂に支配された。
そのままそこに座り込むと、考え込んでしまった。
・・・う~む!どうも本当に里奈は、病気か何からしい、、、しかも、
察するにかなり重い病のようだ、、、わからん??、、
だとしたら何故、願いとして、健康体になりたいと言わんのだ?、、、
さすれば、病気などわれの魔力でたちどころに、直せるものを?、
しかも魂の取引など”無用だ!”と告げたのに???・・・
***あ~あ! 相変わらず、鈍いね~ぇ!、***
後ろから、いきなり声がした。
その声の主は、言わずと知れたあのトウヘンボクだ!!!
・・・??だが後ろは、かべ、、普通の大きさでは立っているスペースなど
ない!、、、はずだ!!!、、ということは?・・・
「冥界の王、ラーズ様、推参!」
・・・自分で、様をつけるな!、、様を!・・・
振り向くとそこには、われと同じ大きさのラーズがいた。
「はいはい、今度は同じ目線で話せるように、
サイズも同じにしてきましたよ。王として器のの大きさは、
そのままだけれどねぇ~ミル・デュース君!」
・・・ホント、やな奴!!・・・
つづく