冥界の王、ハードワ・B・ラーズ推参す!
”パタン”と音を立てて門が閉まる、、、
人型の振りをしていたときのポーズをとくと、フワリと座り込んだ。
”私の魔王さま”と書かれた紙の上に、、、
・・・どういうことだ? 短いとは?? あの者は我を呼び出せし者の母親に、違いない! かの者は病気か何かなのか?
そうとも思えんが、、、われを魔王とも思わぬ傍若無人な振る舞い、、、
それに何といってもあの性格!!?・・・
しばしそのまま、思慮をめぐらすと部屋の中をぐるりと見渡す。
部屋の雰囲気は悪くない、瀟洒{しょうしゃな}インテリアだ。
我を呼び出すようなものは、黒魔術にでものめりこんでいて禍々しい悪魔どもを崇拝するような、物の具でも並べはべらせていると思ったが、
そんな様子は微塵もなくごく普通の歳相応の女子{おなご}
の部屋なのだろう。
ふと、テーブルの上に置いてある、この者の一族で撮ったであろう写真とか言うものに目が留まる、、、
先ほどの母親と思しきもの、父親、そしてわれを呼び出せしもの、、、
・・・大きいので気が付かなかったが、かなりの美形だった
、、、かわいい、・・・
「はっ!?なにを!?考えておる? ばっ! ばかな!相手は
人間、、、だぞ、、、」
と、そのとき、大魔道士テン・レサクの波動が伝わってきた。
***魔王様?如何なせれました?、冥界の王、ハードワ・B・ラーズ様 がお怒りですぞ!***
+++むう!、、しばし待て、久しぶりの人間界ゆえ、人間どもの動向を 探っておるのだ+++
***ラーズ様がそちらにで向かうと申しました。留める訳にも行か ず、、、***
・・・なに?、、そっ、それはまずい!まずいぞ! この姿を、
きゃつめにに知られてしまうではないか!?・・・
と、波動を返すまもなくハードワ・B・ラーズ目が静かに現れおった。
もちろん、普通の大きさで、、、
「魔王ミルデュースよ!いつまで待たせれば、、、?」
怪訝な表情で、きょろきょろと我を探すB・ラーズ!
、、、はっ!、、、
・・・むーう、気付いたか・・・
「ぷっ?ぷぷぷ、、そのすがたは!?何とした?はっはっはっ??!!
これは傑作だ!」
・・・くそう!予想どうりの反応をしおったか?、、やなやつめ!・・・
「予も冥界の王にして、2万年このような愉快な光景は、
見たことがないぞ!くっ、くっ、くっ!」
腹を押さえ、立っているのが、やっとと謂う態度で人の顔を覗き込む、
「何とでも、するがよい!薄情者めが!?」
辛抱堪らんわ!という笑いが収まると彼は部屋の中を見渡し、
我と同じように写真なるものを手に取った。
「ほーう!このたびの呼びだせし者は、この可憐な少女であるか、
果報者よのうミルデュース、、!?」
「皮肉もいいかげんにせぬか?」
「この若き身でありながら、魔界の王を呼び出すとは、
豪儀なものよのう!」
「だが其れはさておき、なぜ?戻らぬ!」
返事をする気もなく沈黙を続けるわれに、、、まるで舞台俳優のような大げさな振る舞いでわれを指差す!
「ふっ!、、、そーうかぁ!、、、惚れたなぁ、、おぬし!」
「ちっ、ちがう!何を言っておる、そなたの父上と
一緒にするでないわ!」
・・・そう,きゃつの先代はこともあろうに、人間の女子に惚れてしまい、其の者を妃に迎えたのだ。冥界、魔界ともに大騒ぎになった・・・
・・・だが、それが、きっかけとなり古の悪しき慣習が改められ、冥界、魔界ともに殺戮と戦いの血なまぐさい歴史を葬りさり、今日に至った・・・
「ほーう?、、とすると、、!そうか、あの願いを謂われたねぇー!?」
・・・にやっ、、としながらいやらしい顔で、こちらを見る、
訳知り顔で、、ほんと!やなやつだ!・・・
「帰れないんだ!?帰れないんだ?、、、か・え・れ・な・い!」
「いっ!、、、いい加減似せぬかー!?」
「もう、いっそ嫁にでもして連れてくしかないよねぇー、
帰るには、、、、」
「ばっ、馬鹿を申せ!」
「へっ?満更でもないんだ、顔赤いぞ!賢そうな女子だし、魔王を手玉に取るような者など、めったに存在せぬであろう!
この私が嫁にしたいぐらいだ。」
「ちょ、ちょつと待て、、、」
「はい、はい、無骨な魔王様の恋路は邪魔しませんよぉー、今日の試合は不戦勝で冥界の勝ちと謂う事でぇ〜、、、
さらば!いい知らせ、待ってるよぉーん!」
そういい残すと、今度は派手な光とともに消え去った!
・・・ほんと、や・な・や・つ・だ!・・・
つづく