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第26話

 マウイ様の後について、屋敷の中に入ったが、何か違和感がある。花瓶には花が飾られ、壁も薄いピンクで統一されている。女性らしい雰囲気が醸し出されているだが……


「マウイ様、お尋ねしたいことがあるのですが宜しいですか?」


「なんだね」


 廊下を歩きながらで、申し訳なかったが、気になってしまった。


「守衛の方も含め、女性の方ばかりなのですが、このお屋敷には、男性が居られないのですか?」


「そうだよ、この屋敷には、女性だけしかいない。私の兄弟は、上に兄が3人いるのだが、女は私一人でね。父が心配してこのようになったのだが、女性ばかりも悪くないね。気を張らずに済むからね」


「でもそんなところに、私のような者が入っても宜しいのですか?」


「そういえば、そうだね。まぁ、私が許可したのだから問題ないだろう。……さぁ、ここがマリアの部屋だ」


 えっ! ホントに大丈夫? 嫌だよ、拷問受けるのとか。


 マウイ様が、いきなり扉を開けた。


「マリア、いるかい?」


「あっ、マウイさm…………」


「…………すみません、失礼しました」


 俺は、慌てて目を逸らした。

 一瞬しか見えなかったが、マリアさんは、全裸で開脚し、ストレッチをしていた。なぜ、全裸? いや、この屋敷は女性ばかりだし、問題ないのか。

 それにマリアさんも、隠れ巨乳だったんだね、Eカップはありそうだ。制服姿ではわからなかったよ。そして、気にはなっていたが、髪の毛が青いと他の毛も青いんだね。一瞬しか見えなかったのでわからなかったけど、髪の毛よりも少し薄い青色だろうか。


 すぐに扉が閉められ、部屋の中でマウイ様が謝っているようだ。扉の前で待っていたが、最近は無くなりつつあった、女性からの冷たい視線を感じる。この感じ、なかなか慣れないね。


 しばらく、冷たい視線に晒されていたが、マリアさんの部屋に通された。


「すみません、あまり見ていませんから」


 とりあえず、謝った。


「あまりということは少しは見たのですね……いえ、ケイさんになら別に見られt、あっ……」


 顔を赤く染めたマリアさんは、一度、目を合わせてくれたものの、また、目を逸らされてしまった。白のワンピースを着ているせいか、顔の赤さが映えている。


「ケイ、すまないが、今のことは忘れて欲しい。この屋敷には、女性しかいないので、自室では、薄着で過ごす者も多いのだ。それにも係わらず、私の不注意でこのようなことになってしまったのだ。マリアも気にしていないと言っている、構わないだろうか?」


 いや、薄着って、薄すぎるだろう。……マウイ様も、申し訳なさそうにしているし、忘れたことにしておこう。


「わかりました。今のは、なかったということにしておきましょう。マリアさんも、それで、宜しいですか?」


「おねがいします」


 か細い声で、マリアさんは返事をしてくれたが、目は合わせてくれない。


「では、ケイは、そこに掛けてくれ。マリアは、お茶を頼む」


 女性らしい小さなテーブルセットのイスに掛けるよう勧めてくれたマウイ様は、ベットに腰掛けた。マリアさんは、お茶を用意するためだろう、部屋から出ていった。


「ケイ、マリアは結構あっただろう?」


 マリアさんが出て行ったのを確認したマウイ様が話しかけてきた。


「何がでしょうか?」


「やはり、男性は大きいほうがいいのだろうか?」


 マウイ様は、少し俯き、自分のおっぱいを揉みながら呟いている。……これは、独り言なのか?


「えーと、マウイ様も男性の視線は気になりますか?」


「もちろんだ。私も学園に来ていなければ、結婚の話が出てもおかしくない歳なのだ」


 マウイ様が、顔を上げ、こちらに向きなおした。まだ、おっぱいを揉んでおられるが。……女子生徒に人気があるから、そっち系の人かと思っていたけど、ノーマルだったんだね。


「そうですね、大きさは、好みだと思うのですが……」


 こんな上流階級の方に、なんて言ったらいいんだよ。


「そうなのか。ケイ頼みがある。私のも見てくれ」


 えぇー、意味がわからん……見せてもらえるのは、うれしいけど、ここではマズいだろう。


 が、すでに、マウイ様は、上着を脱ぎ、シャツのボタンを外し始めている。



 “ガシャン”


 扉が開き、磁器の割れる音が響いた。


「マ、マ、マウイ様、な、な、何をされているのですか!?」


 マリアさんは、ティーセットを落としたことも気付いてないほど、慌てているようだ。


「マリアさん! 何かあったんですか!?」


 メイドさん達だろう、大勢集まってきている。



「「「「「………………」」」」」


 なんで二人ともノックをしないんだっ! どうすんだよ、この状況。


 マウイ様は、シャツがはだけ、Cカップぐらいだろうか、形のいいおっぱいをむき出したまま、キョロキョロしている。

 マリアさんは、ティーセットを落としたまま、両手で口を押さえ、固まっている。

 集まってきたメイドさん達も、固まっている。


 そして、俺は、手を伸ばし、イスから立ち上がりかけた姿勢のまま、固まっている。……なんで、俺は立ち上がろうとしたんだ。余裕ぶって座ってれば、まだマシだったろうに。



「あぁ、みんな、すまない。これは、ケイに、私が、頼んだ、事、なんだ」


 言葉を途切れさせつつ、マウイ様が言ってくれたが、周りの視線が冷たくなっただけで、状況は変わらない。


「マ、マリア。そこを片付けたら、お茶を淹れなおしてくれるかい。あと、みんなも仕事に戻ってくれ」


 固まっていたマリアさんやメイドさん達が、突然動き出し、凄い速さで割れたテーセットが片付けられ、新しいお茶が用意された。


 俺とマウイ様、二人きりにさせるのを、危険だと判断したのだろう。……俺も正しい判断だと思う。



「ケイ、マリアも。いろいろ、すまなかった」


 俺とマリアさんは、テーブルセットのイスに座り、服装を正したマウイ様はベットに腰掛けたまま、頭を下げた。


「頭をお上げください、私は気にしていませんから。しかし、先程のことは、ご説明、願えますか?」


 真顔でマリアさんが問い質している。……いや、めっちゃ気にしてるやん。


「いや、あれは、……なぁケイ」


 えっ! 俺っ!


「ケイさん?」


 真顔のマリアさんがこちらを向いた。……怖ぇ。


「あれはですね。確認を頼まれまして……」


 この状況で、嘘はマズいよね。


「何のですか?」


「えーと、マウイ様。言っても宜しいですか?」


「あぁ頼む。私、その……」


 マウイ様は、口篭っている。マリアさんに対して、おっぱいの大きさにコンプレックスを持っていそうだね。


「わかりました。マリアさん、宜しいですか?」


「はい」


「マウイ様は、男性の目からご自身の胸がどう見えるのか、お気になされているようです」


「本当ですか?」


 マリアさんが、マウイ様のほうに向きなおし確認している。


「そ、そうなのだ。そ、その、マリアは、大きいだろ。私は小さいから、気になって……」


 マウイ様はそう言って、俯いてしまった。


「そのような事、マウイ様が気にする必要はありません。胸は大きさではありません。そうですよね、ケイさん」


「はい、そうです」


 たしかに、大きさだけじゃないよ……


「マウイ様が、胸の大きさについて、お気になされているのは気付いていましたが、いくらケイさんの事を信用されているとはいえ、もう少し考えてください」


「すまなかった」


 マウイ様が俯いたまま、謝った。


 しばらく、沈黙が続いたが……



「ところで、今日は、いかがなされたのですか?」


「そうだった。ケイ、本題だ。頼む」


 マリアさんの問いかけに対し、突然、立ち直ったマウイ様が、俺に振ってきたが、ムチャ振りだろっ! こんな空気で、どうやって説明すればいいんだよっ!……まぁ仕方ないけど。



「そうですね。……マリアさんは、卒業後、どうされるおつもりですか?」


「えっ、卒業後ですか……」


 今度は、マリアさんが俯いてしまった。……そりゃ不安だよね。ちゃんとした就職先があっても不安なのに、冒険者、それも一から1人でやろうしてるんだからね。


「そうです。マウイ様は、マリアさんのことをご心配されて、俺にご相談されたのです」


「そうだったのですね。しかし、私は1人でやっていくと決めました。どうなるかわかりませんが、誰かに頼ってしまっては、今までと何も変わらない気がするのです」


「しかし、マリアさんは、冒険者の経験がないですよね。冒険者になるものは、ほとんどが学園の冒険者コースを卒業するか、親や師匠から学びます。それでも、死ぬ者が絶えません。1人で一からやるには、危険過ぎると思うのです。それに、学園での俺のクラスは、冒険者コースの中でも一番下位のクラスですが、それでも、みんな、何かしらの戦闘系、もしくは、身体強化系のスキルを持っています。マリアさんは、何かスキルをお持ちですか?」


「私は、水魔法と氷魔法のスキルだけです」


 氷魔法っ! いや、今は祭りの話はいいか。でも、それなら、大丈夫なんじゃないの?


「あのう、マウイ様、そうなのですか?」


「そうだ、知らなかったのか。だから、マリアは私の護衛も兼ねて奴隷になったのだ」


 少し驚いた顔してマウイ様が言っているが、俺は聞いていないはずだ。


「では、エイゼンシュテイン王国の宮廷魔道士になれるのではないのですか?」


「それは無理なのだ。宮廷魔道士になるためには、学園の魔法使いコースを卒業するか、宮廷魔道士の下で幼いころから学ぶしかないのだ。しかし、マリアは、私の親の意向と本人の希望で、私と同じ文官コースだ。それに、魔法も母親からしか学んでいないのだ」


「でも、魔法のスキルがあるのなら、冒険者にならなくても、いろいろありそうなのですが」


「いえ、私は、冒険者になりたいのです。そして、強くなって、マウイ様をお護りしたいのです」


 それで、冒険者なんだね。でも、どうしたらいいんだろう。


「マリアさんのご両親も冒険者ですよね。お願いすることはできないのですか?」


「ええ、両親は母が私を身篭ると同時に冒険者を引退しました。それに、もう歳ですし、無理だと思います」


「では、誰か外に頼れる人は居られないのですか?」


 二人が、無言のまま、俺を見つめてきた。……マリアさんの中でも、頼るなら俺だったんですね。


「あ、えーと、うちに来ますか? Sランクの方もいますし、鍛錬ぐらいならなんとかなりますし」


 おい、もっと、ちゃんと誘えよ、俺。……何が、“うちに来ますか?”だ。


「ご迷惑ではないのですか?」


「もちろんです。ちょうど、氷魔法スキルを持っている方を探していたのです」


 何が、“ちょうど”だよ! 氷魔法スキルを持っている人は探していたけど。


「そうなのか、ケイ! では、ちょうど、いいではないか!」


 マウイ様、あんたもだよ。何が“ちょうど”なんだ。


「どこまで、できるかわかりませんが、お願いします」


 おっぱい騒動があって、時間が経ってそうだけど、速過ぎないか、決まるの。


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