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ここはドコ?

――10分

「へー ここ中庭がある」

誰に言うわけでもなく、気づけばポツリと一人呟いていた

タイルの廊下を慣れないスリッパでモタモタと歩きつつも

中庭の方にそっと重いまぶたをこじ開け目を向けた

がやがやと入院患者の人がコミュニケーションをとったり子供達が鬼ごっこをしてはしゃいで、病院だと言うのに結構騒がしい



そういや、昔からよく来てはいたが建物自体はあまり見てなかったなぁ

いつも来る時は同じコースを行くだけ

本当におもしろくなくて

子供の頃から病院は大嫌いだ



――20分

「エレベーターか。これで上まで楽に行けるなぁ」

ガタガタと扉の向こうで機械音が慌しく鳴り響いていた

   ピンポーン

かわいらしい音と同時に扉が開く

医薬品の載せてあるカートとナースが降りてきたので、道を先に譲りそのあとオレはエレベーターに乗りこんだ



うわー・・・。ここ7階まである

エレベーターに乗り込み

ふぁああ、っと大きなあくびをしているうちにドアが閉まってしまい

勝手に上昇しだした

上の階の誰かがボタンを押したらしい

ま、いいや。どうせ当てもないし



そういえば、エレベーターっていつも

降りた後妙なめまいがするよなぁ。あれってやっぱり重力とか大気圧が急激に変わるからなのかな?

まぁ、なんにしてもあんまりあの感覚は好きじゃない、けど

階段使うのもめんどうだし、結局いつもエレベーターとは顔見知りだな



――30分

「あれ? ここドコ?」

オレはポリポリと頭を掻く

んー、ダメだ。どうも覚えてないなぁ

半分寝ながら歩いてたしなぁ



母さんを探すどころかエレベーターのところにすら戻れないこの原状

さすがに適当すぎたかなぁ

どうしたものか、ちょうどよく誰かいないかなぁー

妙な希望を持ちつつ、キョロキョロと周りを見渡してみると、院内案内板が視野に入った

どうせ人が周りにいないや、と小走りで駆け寄っていこうとも思ったが

やっぱりめんどうなのでのんびり歩いた



おかしいな〜。ここにエレベーターがあったと思うんだけどなぁ

どうもオレの記憶と場所が一致しない



ここを右、次の角をまた右でまっすぐ行った後また――

よし、これでバッチリかな

無い頭で必死に道を覚え、エレベーターのあった場所に戻ろうと歩き出した



確かここは、左だよな・・・・・・あれ、何この部屋

行き止まり・・・・・・?

あっ、そうかこの次が左だったかなぁ



――それから5分後



「あれ、これ。さっきの院内案内板のような、違うような

もう・・・・・・どうでもいいや」

これがオレの限界かなぁ

小一時間歩き回っただけでもうめんどいや

オレはそのまま案内板の下であぐらをかき壁にもたれかかり

天井を仰いだ

昼だと言うのに蛍光灯は全て付いていて

思わず目を顰める




「おーい、君! もしもーし、生きてるぅー?」

不意に明るく元気な声が隣から聴こえた

「・・・・・・・・・・・・」

オレは目を少しだけ開いた


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