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第4話 やはり俺は勇者ではない

 すみません、テストで遅れてしまいました。

 小説って難しいですね。

 それでは、どうぞご覧下さい。

「貴方が勇者様なのですか?」


いえ、違います。巻き込まれた、只の一般人です。


「いえ、私は巻き込まれたんです」

「巻き込まれた? どういう意味ですか?」

「そのままの意味で御座いますよ」

「意味が分からないのです……。出来れば説明をお願いしたいのですが……」

「本当に分からないのですか?」

「巻き込まれたということは、貴方は勇者様では無いと。そう仰るのですか?」

「はい、そうですね。そういう認識で問題無いかと」

「それはおかしな話ですわね。本来、召喚される者は、必ず【勇者の証】を持っています。これは初めて勇者召喚をされた二千年前から、徐々に解明されていった事です。昔の勇者召喚では、突然召喚されて怒り狂う者、異世界という未知なる場所に連れてこられて発狂する者など、様々な反応をする者が居ました。が、どれも勇者と言うには弱く、脆い方たちだったそうです。ですが、今から千四百年前に、一人の神様が、『え? 勇者召喚? うわっ何それ!? めっちゃ面白そーなんですけどっ!!勇者選ぶの俺がやるけど?』と、神の御告げをいただき、それからは必ず、勇者の証が刻まれた者が召喚されるようになったのです。ですので、貴方の様な勇者の証が刻まれていない方が召喚されるなんて、欠片も思いませんでした」


今までの話を聞いて俺が思った事は、勇者召喚は勇者の素質、証が刻まれた者を別世界から召喚する。そして、召喚される勇者を選ぶのが、なんか言葉が怪しいチャラい感じの神である。と、そういうことかな?


もしくは、神自身が勇者の証を刻み込み、それを異世界に送り出す。という流れかもしれない。


本当の所は何も分からないが、俺はやっぱり勇者ではない。と、再度改められた。


「ところで、この光景は何ですか?」


謁見の間は無傷なのだが、王と王妃はその辺に倒れていた。二人とも気絶していて、この場所で何かあった事は明らかだった。だから、王女さんが疑問に思うのも無理はなかった。


「まあ、色々とあったんですよ……」

「……色々ですか?」

「ええ、色々です」

「……」

「……」

「……あの、何か言って下さらないかしら……」

「何かって、何ですか?」

「その、色々の部分を……」


仕方なく、此処で起こった事を話す事にした。多少の嘘を交えながら……。


説明をしていく内に分かったことだが、彼女は第一王女で、王と王妃の子供だそうだ。イリアが血の繋がらないことを知らなかったようで、とても驚いていた。彼女の名前は、『フィネリス=グレイズレイン』と言うらしい。フィスと呼んで下さい、と言われてしまった。まあ、本人が良いならそう呼ぶが……。


第一王女のフィスの他に、フィスの兄である第一王子、『アルナクル=グレイズレイン』


フィスの妹の第二王女、『エルミナ=グレイズレイン』


血の繋がりが無いが、代々勇者を召喚する事が出来る家系に生まれた『イリア=シュナイゼル』


第三王女の『ルセルナ=グレイズレイン』


と、四人の王子王女が居るということが分かった。


何故こんなことが分かったって? 理由は簡単だ。王の頭の中を少し覗かせて貰ったのだから。


ひと通り情報を入手していたところで、新たな来訪者が現れた。


金髪翠眼の爽やかイケメンがあらわれた!




◆ ◆ ◆ ◆ ◆




第一王女である、フィネリスが謁見の間に来る前、とある城の一室で、男女二人が裸で抱きあっていた。疲れているのだろう、二人は一休みしている。


男の方は、金髪翠眼のイケメンであった。肩にかかる程の長さの金髪で、眼はエメラルドの様な輝きをしている。まるで宝石の様な色をしていた。女性なら、その爽やかな笑顔と、その優しい態度で、一瞬にして心を奪われるだろう。この場にいる女性も、彼に心を奪われたのだろう。


そんな彼の名をアルナクル=グレイズレインと呼ぶ。




今日も、つい先程知り合った女性を抱いて、ベッドで一休みしていたところ、城が騒がしい事に気が付いた。


「? 今日は城が騒がしいな」

「ルナク? 今日は行事かなんかあったの?」


疑問があった事をつい、口から漏らしてしまう。女性の方も不安げだった。


「例えあったとしても俺には関係ないけどね……」

「グレイズレイン王家の長男なのに?」

「俺が興味があるのは、女の躰だけだ」

「いやんっ。ステキ……」

「エルカ、もう一回戦やろうか」

「ええ、きて……」


良いムードになり、もう一回戦やろうとしていたところで、宰相が入って来た。


「王子様っ!! 大変で御座います!!」

「どうした? そんなに慌てて」

「王様と王妃様がお倒れになりました!!」

「なにっ!? 母様が!?」

「はい。先程、召喚された勇者様の中に、勇者様では無い、普通の方が召喚されました。そんな異世界人を王様が、謁見の間で話していたところ、爆音と共に、王様と王妃様の魔力を感知されなくなり、警報機がなったのです」

「その異世界人は女か?」

「いえ、男で御座います」

「男か……」


両手をこめかみに付けて、がっかりした態度をとるアルナクル。そこに、救いの言葉が掛けられた。


「ですが、異世界人の他に四人も勇者様が召喚なされました」

「勇者が四人もか!? ……女は居るのか?」

「ええ、全員女性でした。それも、どの方もそれはそれは美しい方たちでした」

「四人も女が……。これは味わうしかないな」


ペロリ。と、獲物を見つけて無意識で舌なめずりする捕食者の様な顔つきをする。


そんな彼の姿を見て、宰相は今更ながら、自分の失言に気が付いた。


「よし、謁見の間に向かうとする」

「王子様、まさか狙いは……」

「女に決まっているだろう?」


不気味な笑みを浮かべるアルナクルに、苦虫を噛み締めた様な顔をする宰相であった。




◆ ◆ ◆ ◆ ◆




来訪者は、開口一番こう言った。


「君達を、味わわせて貰ってもいいかい?」


突然の発言に、気持ち悪い視線を送る楓奏たち。それが普通だな。


そんな態度を取られるとは微塵も思わなかったアルナクルは、少しの間固まった。


(女性なら、この言葉と俺の笑顔でイチコロなのにどうして?)


そこで彼は気になるものを見つけた。


圧倒的に自分より優れている容姿を持つ男だった。王家であり、容姿に優れている両親の血を継ぎ、数えきれない程女をこの容姿を使って抱いてきた自分でも、その男はかっこいいと思ってしまった。そんな自分に腹が立ちながらも、アルナクルは声を掛ける。


「君が例の異世界人だね? 初めまして、僕は第一王子のアルナクル=グレイズレインです」


綺麗な礼で自己紹介をする王子。王家の者が、こんな綺麗な作法をするとは思わなかったのだろう。城にいた騎士も、宰相も、楓奏達も驚いていた。


だが、たった一人は驚いていなかった。


「お初に御目にかかります。私は異世界から召喚された、只の平民である神代双魔と言う者です。こちらこそ宜しくお願いします」


こちらも丁寧にお辞儀をし返す双魔。その姿は、妙に様になっていた。


頭を上げると同時に、先程の発言に対して質問する双魔。


「そういえば、味わうとはどういう意味で?」

「そのままの意味だよ平民。彼女達の具合を味わいたいんだよ」

「具合とはどういう意味ですか?」

「君はまさか童貞かい? なら、そっち方面が分からないのも無理はないと思うけどね」


いきなりの童貞発言に驚いてしまった。俺は童貞なのだろうか?


『主様は童貞ではありません。私ともやりましたし、他の世界の女性や、女神までもを虜にしていきました』


アヤとヤッてたの俺っ!?


……何故だか聞いてはならない事を聞いてしまった。……前の俺よ、まさか幼女が好みだったとは……。


「君も味わえたら良いね。女の躰を……」


なんかあのドヤ顔が無性に腹が立つ。あいつの顔を殴ってやろうかな? どうしよう?


「なら私が双魔君の童貞を卒業させてあげるっ!!」

「私が双魔さんと結婚して、子供を四人作りますっ!!」

「オレはそーゆーの分からない……」

「双魔くんなら別に……いいよ」


どうしたんですか皆さんっ!? 顔を真っ赤にして……。楓奏、お前は何を口走っているんだ? 波音も、更に何を口走っているんだ? 緋姫、顔を真っ赤にしながらだと、羞恥で恥ずかしくなっていて、顔が赤いのだと間違えてしまうぞ? それにしてもその顔……可愛いな……。あと一人は名前を聞いてなかったな。


「そういえば、名前を聞いてなかったね。俺は神代双魔」

「私は鳴風月日なるかぜつきひと言います。声が出せるようにしてくれて、どうもありがとう」

「気にしないでくれ。俺が勝手にやったことだから」

「そこの二人!? 何か良いムードだけど、俺を忘れないで!!」


忘れられたのが嫌だったのだろう。叫び声を上げて、俺達に訴えてくる。が、それがどうした? 俺は飄々と受け流していた。


「俺を無視する女が居るなんて…………殺してやる!! 俺に興味が無い奴は死ねぇぇぇ!!」


怒りと共に、魔法を瞬間展開。……ふむ、魔法の腕は悪くない様だ。だが甘い!! 甘いぞ!! 甘すぎるぞ!! 三段なんとかを活用してみたが、それ程王子は甘かった。


アルナクルが使うのは、光属性と火属性の合成魔法である灼光魔法。光で物を灼く事が出来る。レーザーだと思ってくれれば分かり易い。って、光で物を灼くことができるのは元々だな。


このままでは、俺と月日を貫くコースだな。俺は構わないのだが、月日を危険に晒すとは……痛い目を見ないと分からないのか?


攻撃をカウンターするのも楽しいのだが、時間の都合で先手を取ることにした。


腰を落として重心を低くし、右手を腰だめにして構える。そんな双魔の前方に魔法陣が中空に展開される。そのまま、その魔法陣を全身を使って右手に力を集約し、効率の良い力の伝導で殴りつける。その直後、魔法陣から衝撃波が発生され、アルナクルを吹き飛ばす。そして、入ってきた場所へと吸い込まれるようにして、退室していった。


……俺って、職人かな?


今の一連の流れはコントの様な気がした。だけど、まさかすんなり消えてくれるとは思わなかった。


暫し唖然して静まり返る空気。


……気まずいですねぇ。ここは、コーヒーを一杯、頂くとしましょうか。


創造で温かいコーヒーを出す。


う~ん。良い香りですねぇ。立ちながらもコーヒーを啜る俺は、何かのベテランの様な風貌をしていた。……かもしれない。


「あいつ、何がしたかったんだ?」

「多分、女性の勇者様方を戴こうと……」

「あっ、あいつはそういう奴なのね」

「すみません。兄が迷惑を掛けて……」

「ん? 俺は何とも思ってないから」

「双魔君!! 何とも思ってないってどういうこと!?」


俺達の会話に割り込んでくんなよ楓奏。


「そのままの意味だよ」

「私達が、あのドヤ顔金髪王子|(笑)に犯されても構わないと!?」

「(笑)って、可哀想だろ。なら、イケメンマスク野郎で良いじゃん」

「双魔さんって、ネーミングセンスが無いんですね」

「……アヤと同じことを言わないでくれ」

「アヤぁ? 何処の女よそいつ!!」

「か、楓奏!? 魔力が溢れてますが!?」


まさか、怒ってるのか? 楓奏が怒る沸点が分からない。


「話はその辺で。俺は旅に出るから」

「どどどどういうこと!? 双魔君っ!? 旅ってどういう――」


パンパンっ!!


両手を打ち合わせて音を鳴らす。


「異論や質問は受け付けない。俺が決めたから俺の勝手だ。それに、お前らは勇者だろ? 俺は刻印が無いんだよ。だから、世界は任したぞ」

「あのー、勇者様達も旅をする予定なのですが……」

「やっぱり。その前に学園に通わせて、常識とか魔法うんぬんとかを学ばせるんだろ?」

「そうでございますが、何故その話を知っているのですか?」

「嗜みだ」

「嗜み……ですか? んっ、んんっ!! ……それより、双魔様は旅に行かれるのですね?」

「ああ、もちろん。そのつもりだ」

「双魔君っ!! 私も行くっ!!」

「駄目だ、俺は自分の道を往く」

「どうしても行くんだね……分かった。私は、もう少し此処で勉強や鍛錬をしていく」

「じゃ、そゆことで」


別れは軽く、と言うのが俺のモットーだ。出会いがあるなら、別れは必然。なら、軽くやっておけば精神的に負担がかからない。俺は楽な方に進んで行きたい。誰に何を言われても、俺は楽をして生きていく。




それから三日が経った。




一際大きく、一際豪華な造りの城門に、俺は向かっていた。


「(これから面白くなってくるな……)」


城を出て、初の異世界の景色を見ることに心が踊る双魔であった。



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