止まった時計5
10時10分。
食器棚に張り付く時計は時を刻まない。
10時10分。
この時間は何の意味もない。
たまたまこの時間に電池が力尽きただけなのだから。
アイスを食べながら鳴らない電話を眺める。
携帯からスマホへ。家の固定電話なんて最近はほぼ使わない。
いつからか気力が足りない。
やる気が起きない。
無気力がこの部屋を支配する。
かち かち かち
時計の音が聞こえる。
止まることなく時を刻む音。
ぴりりといらつきを覚える。
私は小さな目覚ましから電池を抜き、時間を合わせる。
10時10分。
時間に意味はない。
そう意味などないのだ。
制作10分!