御子柴くんと過去
なんか、はい、超展開。
「こっちくんな化け物!!」
どうして?どうしてどうして?なんで!?
僕は、僕が、マサを悪い奴らから助けてあげたのに!俺があいつらをぐちゃぐちゃにしなきゃ今頃地面に倒れてたのはマサなのに!なんでそんな目で俺を見るんだよ!
「何で!何でだよ、マサ!」
「寄るなって言ってるだろ!」
「何で!友達だろ?」
「蓮は友達だけどお前は蓮じゃない!化け物だ!蓮の皮を被ったただの怪物だ!」
公園で言い争う俺達を囲むように大人たちが増えてきた。倒れる悪い奴らを見て今度は俺を見て、見比べて、化け物だとか能力者だとか喚いている。警察とも聞こえた。
「違う、違う……!あいつらが先に俺達を殴ろうとしてきたんだ!」
「だからって殺す必要はなかっただろ!」
「殺そうなんて思ってなかったんだ!」
生まれた頃からずっと付き合ってきた能力だからコントロールはできているつもりだった。でもマサが殺されると思ったら無我夢中で、暴走ってやつをしたんだと思う。
いつの間に強く握っていたのか血が滲む右手を開いて、また閉じる。ぐっと握った手のひらの傷に汗が染みてすごく痛い。
「動くな!」
「けい、さつ…………」
周りの大人たちの刺すような視線、向けられる銃口、俺を睨む親友。何かが俺の中で限界で、気づいたらなんとか学園の風紀なんちゃらってやつらと大きな建物の前にいた。
これが大体十年前の6歳の話。
「はっ、はぁ…………!」
急に体を起こしたせいで背中が痛い。もう秋だというのに嫌な汗のせいで気持ちも悪かった。
「~~~っ、くそ……!」
ひどく喉が渇いている。水を飲もうと開いた手のひらにあるはずのない傷を見た。血に濡れた深い傷だ。
もうとっくに治っているはずなのに未だに疼くのはなんでなんだろう。
「H・H・O」
水を構成する分子を空気中から集めて水を作る。これが俺の能力だ。何もないところから水や電気を作る、とみせかけた分子構造を組み替える分子操作の能力。生活にも使えるし便利だけど、制御がきかなくなると大災害を起こしちゃうからめんどくさい。
「もう二度と人の為には使わないから、だから……」
早く忘れさせてくれ。何度も神様とやらに願ったのに一向に聞き入れてはくれない。思わず出た自嘲の笑みがまた俺に傷を見せた。
「れーいーちゃんっ」
「だからそれやめて下さいって!」
声を尖らせて妙に焦るから面白くてやめられないってわかってるのかなー。わかってないんだろうなぁ。れーちゃんどこか少し抜けてるから。
「わかった、やめるやめる」
「それ絶対やめないやつです」
呆れと怒りが混じった目を非能力者に向けられるなんて初めてで興奮する。なんか変態みたいだな、俺。でも能力持ちの俺を恐れずに向かってくる非能力者なんて初めてだから、きっと興奮しない方がおかしい。
「知ってる?」
「知りません」
「最後まで聞いてから答えてよ」
「ふっ」
あ、今笑った。
「笑うんだね」
「当たり前です。どちらかと言えばよく笑う方ですよ、私」
悪戯に笑って見せたその顔に、心臓の辺りがぎゅっと締まる。
何だよ、これ。どくどくとうるさい。妙に顔に熱が集まって熱い。
「……ふーん。じゃあこれからいっぱい笑わせてあげる」
「あははっ。期待してます」
あまりにも無垢なその笑顔が幼い頃の光景と妙に被った。
文章構成力ないなーって毎回思います。ごめんなさい。
一話一話が短い気がするけどどうなんだろう。普通だといいな(願望)。