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どりゃーーー

 あれから奏也は2週間に1度くらいコネクト社に通うようになった。


 異常が起きていないかの念のための調査と研究のためだと周防さんに言われたらしい。

 

 1度気になって周防さんに電話もしたのだが開発研究者のサガだと言っていた。何回か様子を見るだけだと言われホッとする。


 実際奏矢は以前と変わっていなかった。少し口数は増えたような気もするが。



 


 前期試験がもうすぐ始まる。サークルを通じて手に入れた各授業のノートのコピーや過去問に囲まれて机に向かっている。


 「お茶~」


 ノートを見ながら気の抜けた声を出す。奏矢がコップに注いでくれている。


 「ありがとぉ~」


 と言ってノートから一旦目を外して、一口飲み溜め息をついた。ふぅ……


 一気にとてつもない量の資料を見せられるとどうも気分が滅入る。奏矢は隣で綾乃の持っている恋愛小説を読んでいる。


 「あんた、テスト無くていいわねぇ」


 言っても無駄な文句をぶつくさと投げかける。奏矢は答えないで微笑んでいるだけだった。


 

 そういえばあの時眼鏡が壊れてしまったので新しいものにしたようだ。割と似合っている。


 


 ちょっと勉強に疲れてきた。


 「公園行くわよ」


 資料をそのままにして出掛ける準備をする。


 「テスト勉強はよろしいのですか?」


 奏矢は眼鏡を右手の人差し指で押さえながら尋ねてくる。教育ママかっ。


 わかってないなぁ、全くこれだから。気分転換は必要なのよ、そう言って外に連れ出した。


 

 玄関を開けた瞬間、ムアーっとした熱気が襲ってきた。あ゛あ゛あ゛と呻いてしまった。エアコンの効いた部屋の中にいた方が良かったかな。一瞬後悔もしたが缶詰から解放される方を選んだ。


 公園にでも行こうかな。そう思い適当に歩く。途中道端で家族連れが手持ち花火をしていた。


 花火かぁ。花火大会ももうすぐなのかな。綾乃の地元の花火大会はさほど規模の大きいものではない。隅田川のとかすごいんだろうなぁ。


 奏矢は……といえばただ黙って隣を歩いている。例のごとくスーツに着替えさせたのだが、上着も着て外に出ようとしていた。見ているだけで暑そうだったのでYシャツのみにしてもらった。


 「あれから何かおかしい所はないの?」


 そういって綾乃は自分の腕をグルグル回す。


 「ありませんよ。周防さんもそうおっしゃってますし、心配無用です」


 綾乃の隣にいる男の顔を見るには20cmを上を見上げなければならない。じっと勉強していたせいか首がポキッとなった。運動不足かな。自分の心配をしよう。



 公園に辿り着いた。無人の公園はとても広く感じられた。真っ先にブランコに向かってダッシュする。どりゃーーー。


 最初はマッタリと漕いでいたのだが、物足りなくなってきた。段々とスピードを上げていく。


 ヒャッホゥー。


 奏矢はブランコに腰掛けるだけで綾乃を眺めている。


 風の音が心地よい。ジェットコースターにも乗りたいな。そんな事を思っていた。




 滑り台でも遊んだ。3回滑った所で飽きた。



 「じゃあ帰ろっか」



 今度は花火もいいなぁ、そういいつつ家に向かった。



 

 家に着いた。さて勉強しよう、とは思えなかった。


 「ちょっとストレッチするから背中押してくれる?」


 閉脚で、開脚で鈍った体をほぐしていく。


 綾乃は体は柔らかいほうだった。ゆっくりと押してもらうとペタンと上半身が床につく。



 誰の上半身がペッタンコだって? ああ誰も言ってないか……



 

 




 


 

気分転換は必要だと思います。ですが作者は気分転換始めると元に戻れない傾向にあります。

ナンテコッタイ

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