どなたれすかぁ? (新)
4/4 先ほど知り合いから 「絶対彼氏」 って知ってるか尋ねられました。
知らないと答えるとググってといわれました。
ああああああああああああああ
TV化までされてる。ドラマなんて見ないよ・・・・
「……んっ」
玄関のチャイムの音が遠くで鳴り響く。那由多 綾乃は布団を頭までかぶりつつ夢心地のまま寝返りをうつ。
ピンポーン--
布団越しに再びチャイムの音が聞こえた。布団を跳ね除ける気力も無くベッドから転げ落ちるようにズルズルと床へと体を這わせた綾乃は半分目を開けながら玄関へと向かう。
「ふぁい……今開けま……」
おおよそ声になっていないだろう独り言をいいつつドアチェーンを外して鍵を回した。
「どなたれすかぁ?」
まだ寝ぼけている綾乃の目の前には、知らない男が笑顔で立っていた。寝起きには眩しいくらいのその笑顔を見てようやく眠気が覚めて我に返る。
「おはようござ」
ガシャン。男が言い終わらないうちに綾乃は玄関を閉めた。ごめんなさい、ちょっと待って下さい。そういって目をこすりつつ髪に手櫛を入れて部屋に上着を取りに戻った。
朝の来客など無かった為かかなり油断をしていた。もちろん寝起きが弱いせいもある。
玄関を再び開けた。
「ど、どなたですかっ?」
見覚えの無い顔にむかってそう告げる。男の歳は25歳くらいだろうか。サラサラの黒髪に銀縁の眼鏡をかけたその男は先ほどと同じ笑顔でたたずんでいる。よく見るとアニメなどで見る執事服っぽい格好をしているではないか。180cmくらいあるだろうか、背も随分と高い。
「初めまして那由多様。お休みの所申し訳ありません」
とても甘く、色気のある怪しい声に多少うっとりさせられる。
「私コネクト社から伺いました、鏡楷院 奏也と申します」
コネクト社--
その名前には綾乃も聞き覚えがあった。
2週間前の事だ。この春、桜陽大学の文学部に入学した綾乃は親元から離れ1人暮らしをしている。6月の下旬にもなると割りと学校生活にも慣れてきていた。仕送りは貰っていたのだがそろそろバイトもと思いコンビニで買ったアルバイト情報誌とにらめっこをしている。
「バイトねぇ……」
綾乃はお嬢様という訳では無かったのだが、今までバイトの経験は無かった。自分にどんな物が合うのかもわからずなんとなく目を通していると途中で視線が止まった。
モニター募集--
資格;18歳以上の女性
月給;10万円
当社の製品の感想などを報告して頂く簡単なお仕事です。
多少の怪しさは感じたものの、バイトの経験のない田舎育ちの綾乃には報酬の魅力の方が大きかった。
電話をかけて面接の日程を取り付けた。
数日後面接のために本社ビルがあるとされる秋葉原へ向かった。割と大きなしっかりとした建物が綾乃の不安を取り除いてくれた。2Fの会議室へと案内されるとしばらくして50歳前後の、白髪混じりの恰幅のいい男性が現れた。手渡された名刺にはコネクト社 技術開発部と書かれている。
挨拶を終えた後簡単な面接が始った。家族構成、大学の事、1人暮らしの事など当たり障りの無い応答が続き面接が終わった。その後軽いアンケートがあると言われ1枚の紙が渡された。こちらも当たり障りの無い……物だと思ったのだが、途中から違和感を感じた。
ペットを飼った経験はありますか?
実家には愛犬のシュタインがいる。はいと記入する。
寂しがり屋ですか?
一瞬手が止まる。何か変だ。悩んだ挙句、と思いますと書いた。
男性経験は何人ですか?
……っ?
なんなのだこのアンケートはっ!東京では普通なのだろうか。軽いパニックを起こす。
実際の所綾乃にそういった経験は無かった。だがたかが訳のわからないアンケートを正直に答える必要もないと思った。それ以前に0と書くのがなんとなく気が引けた。
1人。
手が勝手に数字を書いていた。まぁ別にいいよね。他にも変なアンケートはいくつかあったのだが適当な嘘も混ぜつつ回答し終えた。
その後に質問できる時間を頂いた。どんな製品のモニターなのか尋ねると先ほどの恰幅のいい男性からとんでもない言葉が飛び出した。
「当社はこの度、試作型アンドロイドの開発に成功しました。今回の応募ではモニタリングして頂く女性を探しております。つきましては……」
今なんとおっしゃいました?
あんどろいど?
あのロボット映画でよくあるアンドロイドとおっしゃいましたかっ?
綾乃は理科はからっきしである。東京ってスゴイ!情報整理が追いつかないためか、ボーっとしてしまっている。
「という訳で、女性モニターを探していたんですよ」
そういうと目の前の男性はお茶どうぞと綾乃に勧めつつ自分の喉を潤した。突拍子も無い話のせいで綾乃もカラカラだった。頂きながら他にご質問は?と聞かれたのだが。先ほどの説明も途中から耳に入っていなかったし同じ質問などしてしまった日には失礼である。いいえ特には、とすまし笑顔を作るので精一杯だった。すごい、すごい、すごい、すごい。混乱した頭のまま家路についた。
それから特に今まで連絡も無かったわけなのだが
「それで鏡楷院さんは本日は何の御用で……」
恐る恐る目の前の男性に尋ねる。突然の来客に戸惑ったものの意識はようやくはっきりとしてきた。よく見るとやや中性的な整った顔立ちは世間でいう相当カッコイイ部類の人種な事に気づく。雰囲気もなんていうのだろうミステリアス?なものを感じる。まぁタイプではないのだけれど。
「本日よりこちらで那由多様のお世話をさせて頂きます、コネクト社試作型アンドロイドCONNE0028 鏡楷院 奏也でございます。お望みの事あらば何なりとお申し付け下さいませ。身の回りの事から愛玩までご遠慮なさらずに」
そういうと奏也は慈しむような眼差しを綾乃に向け続ける。
口を開けたまま固まってしまった。
アンドロイド?この人が??
綾乃のイメージのアンドロイドは……もっとこうロボットロボットした、擬音でいうならそうギーとかガシャンとか音がしそうな……そんなイメージを持っていたのだが。
目の前にいるイケメン執事風のどこから見ても人間にしか見えない姿からしばらく視線を外せないで立ちすくんでいた。台詞の最後に何か変な事言ってた気もするのだが……この時の綾乃にはそんな事まで考える余裕は皆無であった。
うん、これはヒドイ(笑)
まあ多少続けます……
描写がヘタクソなので、奏也には小野Dでも櫻井さんでも好きな声優さんで脳内再生してイメージだして下さい^^;
個人的には櫻井さんかなぁ・・・
綾乃は・・・キタエリ サトリナ? 辺りで