突撃インタビュー『華月の兄』
これは、私が中学生の頃の出来事で、美香さんが私に絶対的な信用を、勝ち得た時の話。
――日曜日に美香さんと二人で、何故か競馬番組を見ていたら突然に美香さんが言葉を溢す様に、
『……この人気馬、騎手が落馬するわね』
などと言い出した事があり、その馬は一番人気で騎手も好評な騎手だった為に私は、信じていなかった。
しかし美香さんの予想が的中した。
それ以来、私は美香さんの予知とも言える予想を、絶対的に信用している。
「…華月…別れたんだ……」
食事中に『華月が別れた』、と美香さんが言っていた。
これは予想だが、美香さんの予想なら話は別だ!
つまり、チャンス到来!!
よって私は、華月を慰める為に華月の部屋へと向かった。
華月の部屋の前に着いて、聴こえて来た啜り泣く声。平気そうに見えても華月は部屋で泣いていた。
ここは私の出番だ!
私の豊満な胸の中で泣かせあげようと、ノックもせずに扉を開き、直ぐに認めた華月の背中を抱きしめる。
「朧。なんで泣いているの?」
「……お腹が空いていて」
私が抱きしめた相手は、華月の兄の朧だった……。
ここで一つのどうでも良い疑問が浮かぶ。
――確認をしないで抱きしめた私が悪いのか、着替えずにまだ華月の服を着ている朧が悪いのか……。どっちだろ?――
どうでも良い為に、気に成ることを朧から訊き出して、立ち去ろう。
「訊きたいんだけど、何で華月の部屋に要るのかな? それと、どうして華月がいないのかな?」
そう、この部屋に居るべき存在がいない……。どうでも良い存在なら居るのにね。
「――ああ、華月なら怖い顔して決着つけて来るって、どっか行ったけど」
「チャァァンス!!」
思わず口に出してしまったがこれは、最大のチャンス到来!!
華月と別れたという事は、今は、そいつは元カレ。さらに華月は、その元カレとよりを戻す気は無さそうだ!
「おい! 朧。華月が向かった場所を教えろ!! てか、華月の元カレって誰よ!!」
「まって…耳がキーンって……舞ちゃんが…耳許で叫ぶ…から」
仕方なく私は暫く待つ。そして朧から出た華月の向かった場所の答えが、衝撃的な答えだった……。
「ああ、耳が痛い……。華月の向かった場所だけど、舞ちゃんの家だよ。んで、桜井 流舞ちゃんのお兄さんが元カレだよ」