突撃インタビュー『結城家の食卓』
居間で一騒動を終えた後、結城家の食卓には焼かれた魚が食器に上げられている。
「……三枚下ろしですか」
朧くん、君が三枚に下ろされる姿を想像した私を許してね。それと、想像した三枚に下ろされる君の姿、結構グロテスクでした、お陰でこの焼魚を食べれそうにありません。後で謝ってね。
しかし、食べれそうに無くても嫌々だろうと食べなければ美香さんに怒られるので、私は手を合わせて、食事前の挨拶をする。朧、絶対に謝りなさいよ!
「いただきます」
食事を始めた所で私の眼は、華月と美香さんで行き来している。
……似ている。
華月と美香さんの顔付きはもちろんの事だが、仕草まで似ているもんだから二人と一緒の食事の時は、何時もこの二人に眼を奪われる。
「華月ちゃん。あなたに彼氏が出来たって聞いたけど、本当なの?」
突然の美香さんからの質問に、華月の表情が強張った。てか、美香さんってば何時も前触れが無さ過ぎ……。
黙々と食べている私は、華月を見てから口を挟んでいいかを考える。
「……」
結果、口を挟むべきでは無い。だってね、華月の表情が夜叉みたいに怖いのよ。それなのに美香さんってば、愉しそうに笑っている。
「喧嘩別れしたのか、浮気されたのか……。舞ちゃんは、どっちだと思う?」
「いやぁ〜、私には何とも……」
てか、私に聞くなよッ!
巻き込まれたく無い私は、目を逸らしたが逸らした先に華月が立って居た。反対の席に居ましたよね、いつの間に移動されたのかしら……?
どうやら結城親子の喧嘩(?)に巻き込れる立場に立ってしまったみたい。
問題は、私がこれをどう切れ抜けるか……。
第一に、食事を最初に食べ終える事かな?
そう思えた私は、何時もの三倍の速さで食事を済ませた。が、それを認めた美香さんが、
「速すぎ。食べ直しなさい」
無茶苦茶な事を私に言いつけた……。
それを助けて欲しくて華月に目を向けると、既にここから居なかった……。
この二人、行動に脈絡が無さすぎ!!
そんな事も言ってられず、美香さんが私の目の前にご飯をよそって、食べ直しをさせようとする。
「ほら、食べなさい」
口調は優しいが、その美香さんの眼光には、有無を言わさぬ迫力がある。つまり私に食え…と。
「…いただきます」
この二度目の挨拶には、元気が無いどころか、食事を一つ口に運ぶ事に元気を奪われる思いだ……。しかし美香さんは、
「挨拶に元気がない! やり直し」
こんな事を言って、私の事を虐めているのだろうか?
もう、ヤケだ!
「いただきます!!」
――後から聞いた事だが、二度目の食事をしている時の私の表情は鬼気した表情で、美香さんが途中で止めようかと考える程だったらしい……――。
「ご、ごちそう…さま……」