突撃インタビュー『結城家の居間』
私が倒した人の目が覚めたので、確認をしたが朧だった。
何度も私に求愛行動をして来た朧だった。
朧の奴が女装している理由は、気になる処だけど‥‥今は、どうでもいい。
それよりも現状をどうにかしなくては、私の現状とは‥‥
結城家居間にて、四つん這いになり額を床に擦りつけています‥‥。
まっ、要するに土下座の格好をしているって事ね。
「ごめんなさい、申しません。ごめんなさい!――」
そして私が謝る相手は、美香さん。華月の母親で、私も美香さんの事をママって呼んだりしている。
ちなみに朧を倒して怒られてるんじゃ無くて、長期無断外泊をしたから怒られてます。
この人を怒らせると華月より怖くって、かなり必死です。
まっ、普段は優しい人だし、見た目も綺麗って言うより可愛い顔をして、私好みだから好きだけど‥‥。
結城家の女性は、怒ると何でこんなに怖いんだろ?
「――ねぇ舞ちゃん。ちょっと頭が高くないかしら?」
‥‥これ以上どうやって頭を下げろと? 床に穴を空けろとでも?
しかし口答えをしたら、私の頭に穴が空けられそうなので黙っておこう。なんと言われても、それが賢明な判断だと思う。
私の判断を、この場に居る華月はたぶん理解してくれたと思う。だけど、もう一人この場に居るバカは‥‥空気が読めないのかしら? 命知らずな発言をする。
「母さんの化粧、濃くなったね」
朧の言った一言で空気が、空気がッ!
あまりの寒さに、私は震えだす。
「朧ちゃんも頭が高いわね」
圧力ある美香さんからの一言の後、様々な音が聴こえてくる。その中には、朧の断末魔が‥‥。
最低な奴ではあったけど、小さな頃は共に過ごした仲間。
私は、仲間である朧との想い出に――――
『いや、何してるんだって‥‥、舞ちゃんの下着をちょっと』
『ごめんなさい。舞ちゃんを盗撮したりしませんから、許して!』
『盗撮してないもん! 覗き見だもん!』
――――感傷に浸れる要素が全く無かった。
‥‥何で私は、こんな変態を仲間だなんて思ったんだろ?
答えの見えない自問自答に私が悩まされている間に、音が止んでいた。そして、音の発信源である美香さんが話し掛けてくる。
「スッキリしたし、ご飯にしましょ。舞ちゃんも顔を上げなさい」
顔を上げていいと許可がおりたので私は、顔を上げたけど直ぐに逸らした。
【母親の朗らかな笑顔に付けた物は‥‥血!? 頬に付けた血は、なんと実の息子の返り血だった!?】
『信じられませんね。実の息子をストレスの捌け口にする母親がいるだなんて‥‥』
『いえ、私はそうでも無いかと思いますよ。この親子には、なにやら確執があったようですしね』
『根も葉もない事を言い出して、貴女は何ですか! その根拠を言いなさい、根拠をッ!』
って、私は何を脳内ワイドショーとか流してんのよ!?
現実に帰ってこれた私は、無事を確かめる為、朧に声を掛けてみる。
「おーい、朧。生きてるか?」
「‥‥」
私達を傍観していた華月が傍により、脈拍確認などをしてから私に伝える。
「生きてるけど、ちょっと駄目みたい。金魚みたいになってる」
華月の言う通り、口をパクパクさせている。まるで陸に上がった魚のようだ。
「う〜ん、困ったなぁ。私、三枚下ろし出来ないんだよねぇ」
「舞の場合は、本気でやりそうだから、朧兄さんを見ながら言うのは、止めようね」