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86.【発声練習しようにも…】



夕太「でんちゃんは超音痴だよ」


楓「はぁ?俺のどこが音痴なのさ」


夕太「本当のことじゃん!」



蹴りを食らわそうにも俺がことごとく避けるので、つまらなそうにした柊は蓮池と軽く言い合いをした。


ものすごく音痴なんだと柊は大声で言い張るが、それは聞いてみないと本当かどうかは分からない。


元合唱部の先輩達は何の不安も問題も無いけれど、俺ら1年生はあまりにも未知数でどうとは言い難かった。



三木「……1年は発声練習でもするか?それである程度のレベルは分かる」



しばらくして三木先輩がもっともらしい提案をした。


元合唱部部長で実家が芸能事務所だとそんなことまで分かるのかと眺めるが、単にこの人が有能なだけなんだろう。


しかし今日の議題は企画書だったので、目的が大分ズレてしまう。



雅臣「企画書の内容早く決めなくていいんですか?」


三木「提出は来週だし、希望を書くだけだから問題ない。それに先に提出してやっぱり歌に問題があるとなったら取り下げできないしな」



歌唱力を優先した方がいいと言われて、なるほどと頷いた。


蓮池が本当に音痴かどうかは置いておいて、俺は人に評価なんてしてもらった経験がない。


言われたことはないが実は俺が真の音痴で、それなのに人前で歌うことになったら〝とっと〟以上に悪目立ちすることになってしまう。



三木「合唱部は体育館で大会形式で練習してるはずだから、今から音楽室でピアノを借りてやってみるか」



飄々と言うその姿に、俺達1年3人とも顔を見合わせてしまった。


この人は硬派で見た目も男らしくノリも良ければ成績も良い、説得力もあって皆を率いる力もあると何でも持っている代わりに……。


多分、少しだけ人の心が足りないんだと思う。


俺も無神経だったが三木先輩も大概ですよと言いたくなるのをぐっと堪えて、できるだけやんわりと伝えたい。



雅臣「図々しすぎませんか?」



……が、どれだけ言葉を選んでもこれしか出てこなかった。


図々しいと指摘されたばかりの俺が言うのも何なんだが、蓮池も肩をすくめるだけで何も言わない。


態度と口は1級品に悪いが蓮池は意外と常識人なところがあるので、きっと俺と同じことを思ったんだろう。



夕太「え、えぇ?何、どしたの?雅臣キャラ変した?」



俺が話すに余程慣れないのか意外だと目を見開いて騒ぐ柊をよそ目に、



雅臣「事情は分かりませんが、合唱部を辞めた人が勝手に音楽室を借りるのはあまり勧めません。それに桂樹先輩だって……」



俺達がピアノを借りているところに合唱部が戻ってきてバッティングしないとは限らないし、もしそうなったら合唱部はいい気がしないだろう。


その合唱部側のフォローに回るのはきっと桂樹先輩で、ただでさえ忙しそうなのにそんな手間をかけさせるのは気が引ける。


ありとあらゆる事を想定しても、やめた方がいいとしか言えなかった。


詳しく説明すると三木先輩は俺を見つめるだけで何も言わない。


……言いすぎたか!?



蘭世「……いやー桂樹さんに可愛がられてるとこうも変わんのか、愛が人を変えるってか?」



三木先輩の答えを待つ間に梓蘭世が俺を茶化すので、



雅臣「そんなんじゃなくて、普通に考えてお2人も気まずいでしょう?」



梓蘭世と一条先輩の2人を見て真面目に返した。



蘭世「いやまぁ俺は別に……じゃあ、ピアノなしでやりゃいいじゃん」


三木「まぁそれもそうか」



しかし梓蘭世の提案に柊が蓮池を指し、ダメだと言わんばかりにブンブンと頭を横に振った。


多分蓮池が音が取れないと言いたいんだろう。それに俺自身もピアノ無しは少々不安だった。



梅生「……あ!」



突然思いついたように手を叩いた一条先輩に皆の視線が集まる。



梅生「物置棟に古い方のピアノ運んだよね?」


蘭世「あー、運んだなそういえば」


梅生「あれまだ使えるかな。昔蘭世があそこで弾いてくれたよね」


蘭世「今は調律してるか怪しいけどな」



その物置棟とやらに何故2人でいたかはもう面倒なので今は聞かないが、ピアノがあることは判明した。



三木「物置棟か。前にピアノ以外のものを頼まれて置きに行った時でも相当色々置いてあったぞ」



思い出すように視線を上にあげる三木先輩の言葉に柊はいち早く反応して、目を輝かやかせた。



夕太「物置って事は誰も使ってないんだよね!?」


三木「多分使ってないとは思うが__」


夕太「生徒会に使用許可取るついでに部室にしていいか聞いてくる!!皆先行ってて!」



名案だと言うが早いが柊は追いかける間もなく走って教室を飛び出していった。



三木「第1体育館の裏にある!分からなかったら電話しろよ!」



走る柊の背中に向かって叫んだ三木先輩の声が廊下によく通った。


もし許可が降りれば柊が教室の使用許可を毎回取りに行く手間が省けるし、場所が確定するのは俺達全員に取っても好都合だ。


しかし先輩達はあまり気乗りしない顔をしていて、



楓「……物置のレベルにもよるじゃん?」



どうやら蓮池の言葉が核心をついたようで梓蘭世がそれが問題なんだよなと頭を搔いた。



雅臣「……とりあえず見に行きましょう」



先輩達の反応を見る限り相当汚れているのではと戦々恐々だが、柊がせっかく生徒会まで掛け合いに行ってくれてるので残りのメンバー全員で物置部屋とやらに向かった。





読んでいただきありがとうございます。

ブクマや評価していだだけて本当に嬉しいです!

いただけると書き続ける励みになるので、ぜひよろしくお願いいたします♪♪


次のお話は楓くん視点の小話です!

少し小話続きます♪♪

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