表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
242/300

216.【寝れない理由】




雅臣「………クソ!!!」



静かにしないと下で寝ている先輩達に迷惑だと分かっているのに思わず声を上げてしまった。


寝相の悪い柊は何度も何度もまるで俺をサンドバッグのように思い切り背中を蹴ってくる。


そもそも柊は「こんなに早く寝るなんて無理!」と喚いていたくせに、電気が消えた瞬間5分も経たずにグーグー寝入りやがった。


大人しく寝ていたのは束の間のことで、俺も寝るかと布団に入った途端に柊は寝返りを打ちながら俺を蹴飛ばし始めたのだ。


一方、蓮池はもちろん石像のように直立不動、俺が声を上げたからと言って微動だにせず、2人共全く起きないその姿に更に腹が立つ。



雅臣「痛っ...!?」



こ、この野郎.......!?


本当は起きてるんじゃないかと思うほど柊はさっきから正確に背中だけを何度も蹴ってくる。


仕舞いにはグーパンが顔に飛んできて思わず飛び起きたが、これじゃあ俺が寝れないじゃないか!!



___もう、我慢の限界だ。



2度と動けないように簀巻きにしてやるとシーツを剥ぎ

取った瞬間、




楓「発情しとんなよ」




突然聞こえてきた蓮池の低い声に心臓が跳ね上がった。


暗闇の中、眼鏡をかけ直した蓮池が心底迷惑そうに起き上がっている。



雅臣「な、何で起きてるんだよ……!!」


楓「てめぇがうるせぇからだわ…目ぇ開けたら夕太くんを睡姦しようとしとるし何なんだてめぇは……」


雅臣「そんなわけないだろ!?」


楓「うるせぇよ」



眠気で不機嫌全開の蓮池に思い切り肩を殴られた。


だが、この誤解だけは解かねばと俺は柊を指さして

切に訴える。



雅臣「寝れないんだよ!!こいつの寝相が悪すぎる!!」



幼馴染のお前ならわかるだろと目を向けると、蓮池は

呆れたようにため息をついた。



楓「繊細気取っとんなよ」


雅臣「そうじゃない!!何回も殴られて蹴られる身にもなれよ!!ていうか場所変わ___」


夕太「うるさいなー!!何で寝てんのに喧嘩するんだよ!!」



俺達の言い争いで目が覚めたのか、ムクリと起き上がった柊に今度は思い切り腹を蹴られた。



く、クソ野郎どもが.....!!



苛立ちが胸の内で渦巻く中、こいつらが俺の家に泊まった時は分散して寝たから何の問題もなかったんだと

ようやく気がついた。


性格もノリもまるで違う3人が朝から晩まで一緒に過ごせばこんなくだらない喧嘩が起きるのも無理はないのかもしれない。


どっと疲れが押し寄せ頭がクラクラしてくるが、1度こいつらには他人と生活する時のマナーをよく言い聞かせておかないとと立ち上がった。



雅臣「あのなぁ___」


楓「シッ……」



蓮池に突然制止されて耳を澄ますと、トントンと階段を登ってくる音が聞こえる。


まずい、うるさくし過ぎたかと焦る俺とは対照的に、2人は即座に布団に倒れ込み寝たフリをしている。


取り残された俺は理不尽に怒られる覚悟を決めたその

瞬間、パチッと電気が点いた。



雅臣「えっ……あ、梓先輩? 一条先輩も……?」


蘭世「悪いけどマジで2階で寝させて、ほんとに無理」


梅生「……」



そこに立っていたのは掛け布団にくるまった2年生の2人だった。


ガタガタと震えるその姿に怒られるわけじゃないとわかった途端、柊と蓮池もムクッと起き上がる。



夕太「どしたの?」


蘭世「下のバカ2人、冷房18度で寝やがんだよ!!」


雅臣「え!?」


梅生「何回切っても付けるから困っちゃって……」


楓「あー……あの人ら筋肉達磨だから」



話を聞くと、1階で寝ていた桂樹先輩と三木先輩が暑いからと冷房を18度に設定して譲らなかったらしい。


しかも夏休み中に担任が気を利かせてエアコンのフィルターを掃除したせいで冷房の効きがすさまじく、2人とも上着を着ても寒さに耐えきれず限界だったようだ。



蘭世「あー寒い、しぬ、お前ら詰めろよ」


楓「5人もここで寝るんですか?」


蘭世「当たり前だろ!!下行ってみたらわかるわ」



体感してこいとうるさい梓蘭世に俺達は音を立てないように階段を下りるが、半分ほど降りたところで有り得ないほどの冷たい風がそよいでいる。


1階はまるで冷蔵庫のようだった。



夕太「さむっ……!!」



1階の部室は普段ではありえないくらいの寒さになっているが、部屋を覗き込めば真ん中で眠る三木先輩と桂樹先輩は起きる様子はない。


2年はそれぞれは端で寝ていたらしいが、体格のいい2人には快適でも特に細身の梓蘭世には凍死レベルの寒さだろう。


俺でさえ震えるくらいで、慌てて2階に逃げ戻ると程よい涼しさが心地よかった。



蘭世「わかったならよし。俺ここで寝るわ」



あんな寒さなら柊に蹴られてでもここで寝た方がマシだと思うと同時に梓蘭世が蓮池に詰めろと腰を下ろした。



梅生「えっ……じゃあ俺蓮池と藤城の間で」


蘭世「はぁ?俺の横でいいじゃん」


梅生「や、やだよ。蘭世寝相悪いだろ?」


蘭世「何だよ梅ちゃん、俺のこと嫌いなのかよ」



……始まった。



深夜の痴話喧嘩なんて見たくないと俺達1年生は顔を見合わせるが、結局、壁側から柊、俺、一条先輩、蓮池、梓蘭世の順で寝ることに。



夕太「ねー、誰か面白い話してよ」


楓「随分雑な振りだね」


蘭世「うるせぇ!!寝ろ!!雅臣、そいつら黙らせろ」



完全に全員目が覚めてしまった柊の無茶振りを以上の無茶を梓蘭世に命じられ、



雅臣「.....柊、大人しく寝よう」



仕方なく子供を寝かしつけるように掛け布団をかけてやってポンポンとその背中を叩いた。





読んでいただきありがとうございます。

ブクマや評価していだだけて本当に嬉しいです!

いただけると書き続ける励みになるので、ぜひよろしくお願いいたします♪♪

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ