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柊夕太の夏休み1




蘭世「おい!!ちゃんと接待しろや!!先輩に勝ちを譲れよ後輩だろうが!!」


夕太「何?芸能界もやっぱそういう感じなの?出来レース?」


楓「やめなよ夕太くん事実言うの」



可愛くねぇと電話越しに蘭世先輩は舌打ちしてるけど、ゲームは真剣勝負だから仕方がない。


俺は今暇で死にそうな蘭世先輩とお稽古サボりたいでんちゃんと3人で通信マリゴー中。


さっきから俺が勝っても負けても蘭世先輩は文句を付けていて本当にめんどくさい先輩だ。


でもなんか波長が合うというか話してると楽しいんだよね。



蘭世「くそー……これがとっとなら負かしたるのに」


夕太「雅臣とこの前マリゴーしたけど普通に上手いよ?てか蘭世先輩、梅ちゃん先輩とやればいいじゃん」


蘭世「梅ちゃんは飽き性なんだよなぁ」



聞けば梅ちゃん先輩はハラハラドキドキ、刺激があるゲームの方が好きらしい。


マリゴーも割と勝つか負けるかのドライブゲームでハラハラするんだけど、韓ドラ好きの梅ちゃん先輩にはこんなレベルの刺激じゃ物足りないんだろうね。



夕太「そーいや梅ちゃん先輩今度雅臣と韓ドラの映画行くって言ってたよね」


蘭世「あー、あれナイスだったよなー…てか梅ちゃん得意なのPUBGとかバトロワ系だぜ?」


夕太「えまじ!?意外すぎ___」


楓「クソが!ほらみろ!!」



梅ちゃん先輩の得意なゲームが意外すぎて驚くよりもでんちゃんの大声がスマホのスピーカー越しにうるさくて一瞬耳がキーンとした。


しばらく黙り込んでたと思ったら急に何なんだよ。



夕太「びっくりするじゃんよ!」


楓「数日張り付いた甲斐があったわ!昨日がライブで絶対あげると思っとったからな!」


夕太「……あー、分かった。それジュリオン先輩のことだろ」


楓「何だこの影ピースは」



怒ってるんだか喜んでるんだかの幼馴染の声を聞いて、それがジュリオン先輩のインスマ投稿だとすぐに分かってしまった。


正味、俺も気になってたんだよね。


イタリアンで雅臣がジュリオン先輩と〝Not Bad〟のライブに行く約束をしてたって聞いたときから嫌な予感がMAXだったけど……



楓「やっぱブッチかよ」



でんちゃんがイラッとする気持ちもちょっと分かる。


そんな予感は雅臣の為にも外れて欲しかったのに、分かりやすく想像通りのことしてくるなよ。



夕太「やっぱりかぁ……でもまじで雅臣にインスマやらせなくて正解だったね」


楓「これ見たらあの陰キャショックこいて熱出すわ」



鼻で笑うでんちゃんは面白がってるんだか心配してるんだか。


あのランチで雅臣以外の誰もが感じてたんだよね。


ジュリオン先輩はとっくに約束を忘れてるか、別の人と行く気になってるんじゃないかって。


……ブッチねぇ。


どうせ雅臣との約束を勝手に無かったことにしたんだろうけど、そんなこと思いつきもしない雅臣がこの事実を知ったらめっちゃ傷つくのに……。


だから俺達はあの日雅臣を買い物に誘ったり、陽キャなジュリオン先輩が絶対やらないTmitterを勧めてみたりと気を逸らすのに必死だったんだけどさ。



夕太「大体雅臣も信じすぎなんだよ。ちょっと話したことあるくらいの先輩との約束を本気にしちゃうんだもんなぁ……」


楓「優しくされたら誰でもいいんだろ?あーいうトロくさいのがネズミ講に騙されるんだな。よぉ分かったわ」


夕太「あーね、ジュリオン先輩がビタミン剤売ってそれを雅臣が奇跡の薬みたいに信じて買うみたいなね?」


蘭世「おいおいお前らな……まぁ桂樹さんってのはそういう人なんだよ。悪気はねぇの」



ふーん。


〝そういう人〟ね。


蘭世先輩のこの言い方で今まで今回みたいなことが何度もあったんだなと察しがついた。


悪気なくてブッチするなら尚更タチが悪いじゃん。


ジュリオン先輩が大好きなクソ真面目陰キャの雅臣によくそんなことするよなーとコントローラーのダッシュボタンを長押しして蘭世先輩を抜いて勝ち逃げした。



蘭世「おま!!先輩を接待しろって……はぁ……とっとはあの様子だと桂樹さんがブッチしたなんて思ってもないんだろうけどな」



蘭世先輩はイタリアンの時の雅臣を思い浮かべてるんだろうけど、



楓「ボッチで陰キャだとこうも地獄みたいな展開になるんですね」


夕太「どーでもいいよ、それをただ雅臣相手にやるなよっての!」



やっぱりムカムカしてきてコントローラーを投げた。


……腹立つなぁ。



夕太「雅臣とは口約束だけしてはなから行く気もなかったんでしょ?しかも何だこれ、2日とも別の人と行ってんのかよ!!」



俺達は3人ともゲームの手が止まって各々がスマホでインスマを見てる状況になった。


ジュリオン先輩のインスマの投稿欄には〝DAY 1 !〟と合唱部の短髪の先輩とのツーショが写ってて、1時間前のストーリーにはソロを務めた2年の先輩とバンドTを着て肩を組んだ自撮りが上がってきている。



楓「夕太くん落ち着きなよ。……でもまぁ2日分チケットあるならどっちか陰キャと行ってもバチ当たらんわな」


夕太「そう!そうなのでんちゃん!俺が言いたいのはそういうことなんだよ!!」



でんちゃんって捻くれてるけど意外と真っ当なことを言うからそうだそうだと俺は大きく頷く。



蘭世「だーかーらー、そういう人なんだって…てか何?夕太ってそういうタイプ?」



珍しく俺が怒ってるのが気になるのか、それともこういう事で怒るのが珍しいと思われてるのか、スピーカー越しの蘭世先輩の声は驚いていた。



夕太「俺はね、ジュリオン先輩か雅臣かっていったら付き合いのある雅臣を取るだけだよ。分かるでしょこの感覚」


楓「俺は分かるよ。あの盲目なアホには分からんだろうけど」


蘭世「でーん、今は黙っとけって……あれ?梅ちゃんから電話だ」



一旦落ちると蘭世先輩は通話から抜けていったと思いきや直ぐにこのグループチャットに梅ちゃん先輩を招待した。


ものの数秒で蘭世先輩と梅ちゃん先輩が今の通話に参加する。



楓「早いですね」


蘭世「いや、タイムリーに___」


梅生「あのさ、ちょっと1年に聞きたくて。……藤城ってインスマやってないよな?」



その確認するような聞き方で梅ちゃん先輩もジュリオン先輩の投稿を見て何か心配事があることが分かった。






本日は小話です!

実は……な話ですね。

明日も小話続きます!

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