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176.【初めてのSNS】




ど、どう伝えたらいいのか。



梓蘭世の曲はあまりにも柊の作った曲と雰囲気が違うというか、レベルが違いすぎる気がする。


せっかく作詞作曲までしてくれた柊に本当のことを言うのは心苦しいが、俺の想像していたのはやはり梓蘭世の作った曲のようなものだった。



楓「てめぇはほんとに図々しいな…自分は1ミリも作ってないのにこっちのがいいってか?イキリスト選手権優勝だよお前は」


雅臣「な、何だよ俺は別にイキってるとかじゃなくて……」


楓「要するにてめぇは夕太くんが作った曲が気に入らないんだろ?」



ところが蓮池に考えていたこと全てをそのまま暴露されて焦りに焦ってしまう。


さすがに作って貰っておいてそんな事を思うだなんて最低という自覚くらい俺にもあるのだ。



楓「陰キャは黙って隠れて〝アカペラで歌ってみた〟でも投稿してろよ」


夕太「……確かに俺のは蘭世先輩の曲と真逆でノリいい感じだからなぁ……雅臣恥ずかしいの?」



しゅんと項垂れる柊に、意味不明な言葉を吐いた蓮池は俺の足をギリギリと踏みつけた。


い、痛い痛い痛い……!!


しかし柊が見てられないくらい落ち込んでしまって、せっかく作って貰ったのにこれはどう見ても俺が悪いと猛反省する。



梅生「1年のはどんな感じなの?」


夕太「アップテンポでめっちゃノリ良くて……ラップもする予定だったんだけどね」



でも雅臣はそれが嫌なんだよね…と柊は呟きながらチラと上目遣いで俺を見た。



___こ、これだと俺が物凄く嫌な奴じゃないか!!



でも2年の曲を聞いたら何となく柊の曲が微妙なのかもしれないと思っただけなんだよ!!



蘭世「へぇー、ラップならでんが音外すとかないし名案じゃん。え、てか友情でラップでしかも夕太の父ちゃんが褒めてくれる曲ってどんなだよ」


夕太「世界の繋がりと友情をテーマにしたんだよね」


雅臣「ひ、柊ごめん!ワールドワイドな曲だよな?俺がセンスがないばっかりに理解できなくて悪かったよ!」



あの歌にそんな意味が込められていたとは露知らず、非常に失礼な事をしたと俺は大慌てで謝罪した。


柊は不貞腐れたように頬を膨らませチラ、とこちらを見るとゲーミングチェアに座りながら足を伸ばす。



夕太「まぁ、雅臣はセンスないもんね」


雅臣「そ、そうだよな!俺は服だってダサいし……」



どうにか機嫌を直してくれないかと祈るように見ると、



夕太「そうそう、そーいうことだよ。ま、蘭世先輩も梅ちゃん先輩も練習の時披露するから楽しみにしててよ」



俺の自虐はそのまま受け入れられ、ふっふっと柊は自信を取り戻したかのように笑った。


その隣で幼馴染が傷つかなくて良かったと蓮池もほっとした様子で満足気に頷く。



楓「……おい、陰キャは気が利かねえな!夕太くんにおかわりいれてやれよ」



そう言われて酷いことを言った自覚のある俺は大急ぎでマシンに向かった。



夕太「雅臣、アイスキャラメルラテにしてー」



まぁ……実際俺も音楽に詳しいわけではないし、柊の作った曲がノリがいいということだけは確かなのでもう何も口にしないことにする。


マシンで柊の注文の品を作っていると一条先輩が立ち上がって俺の傍まで来てくれる。



梅生「前に話した韓ドラの映画さ、人気作だから前もってチケット2枚取っておいたんだ。14時の回で大丈夫だった?」


雅臣「え!すみませんありがとうございます。後でお金……」


梅生「当日で大丈夫。時間と映画館のURL送るからまた待ち合わせ…あれ、藤城はインスマやってないんだっけ」



一条先輩はDM欄をスクロールしているが、誰と何でチャットしてるかがこんがらがっているのだろう。



雅臣「一条先輩インスマのDMの方がよく見ます?それなら俺もアプリを___」


楓「おい!……お前はインスマ絶対やんなよ」



ところが突然立ち上がった蓮池が俺の肩を掴んでまで止めた。



雅臣「な、何でだよ?俺がインスマやってもいいじゃないか!」


楓「……向いてないから止めとけって」



急に入り込んできた蓮池は何故か俺がインスマを始めることを強固に反対するが、コミュ障陰キャと散々言われてきた俺にだってインスマをやる権利くらいはある。


言い返そうとした瞬間、今度は柊が猿のように俺の背中に飛び乗ってきた。



夕太「梅ちゃん先輩たちこの間言ってたの見んの?」


梅生「そう、韓ドラの継続者たちの外伝だよ」


夕太「え、それ聞いた事ある気がする!…何かTmitterでバズってなかった?」



このままでは首が苦しいと降りてもらおうとした途端、柊はぴょんと下りて蓮池の背中を叩いた。


そこまで人気とは知らなかったので一条先輩が前もってチケットを取っておいてくれて良かったと感謝する。



楓「あー…そうだね。そういうドラマとかの情報が分かりやすく出るのはTmitterかもね」


夕太「そうそう!雅臣やるならTmitterにしな?な?そうしようよ」



___何だ、急に?


不自然なまでに2人がインスマではなくTmitterばかりを勧めてくる。


何かおかしくないかと首を傾げるが、



梅生「あ!それなら藤城、Tmitterで継続者たちの公式フォローしなよ。新着情報が見れるし舞台裏も見れるんだよ?」



ホラ、と一条先輩が自分がフォローしている継続者たちを見せてくれた。



雅臣「す、凄いですね…こんなに色々見れちゃうんだ」



Tmitterの公式ではお得なことにヒーロー役のインタビューからヒロインの裏話、特別オフショットや撮影裏まで様々な特典が無料で閲覧できた。



蘭世「梅ちゃんナイス」


夕太「スマホ貸して雅臣、アカウント俺が作ってあげる!」



素早く柊が俺のスマホにアプリを取り入れ秒速でアカウントを作成し始める。


こんなに継続者たちの裏情報が見れるならインスマよりTmitterの方がいいかとされるがままに作って貰った。



雅臣「@black_k_hyo?どういう意味だこれ」


夕太「とび森から取ったんだよ」



俺の初めてのアカウント名は随分可愛らしいなと喜んでいると、



蘭世「うし、俺のアカウントで1番にフォローしてやっからとっとは記念にTmitterしかやるなよ」


雅臣「ええ!?」



まさかの梓蘭世が俺を1番にフォローしてくれて、俺はその言葉通り絶対にTmitterしかやらないと心に誓った。


正直SNSにそこまで興味があるわけではないし、むしろ中学までは親父に禁止されてたから無くて困るものでもなかった。


でもこれを機に皆ともっと仲良くなれるかもしれないと未知のSNSの世界に期待が膨らんだ。







読んでいただきありがとうございます。

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活動報告にキャラクターイラスト・プロフィールも掲載していますのでぜひご覧下さいね♪♪


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