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159.【どこで寝る】



アイスを食べてから俺は2人の為に風呂の準備をしていた。


浴槽を磨き湯を張り、自由に入浴剤が入れられるよう3つほど洗面台に置いておく。


新しいバスタオルとハンドタオルも下ろして新しい石鹸と一緒に並べて用意しておくが、2人は着替えは持ってきたのだろうか。



夕太「雅臣?」



ちょうどその時ゲームに飽きたのか洗面所の扉が開き柊が顔を覗かせた。



雅臣「どうした?」


夕太「あのさ……え!これショーマローンじゃん」



柊はバスオイルの瓶を手に取って上から匂いを確認している。


緑が好きって言っていたのもあって柊は俺こっちと黄緑がかった方の瓶を選んでいた。



雅臣「それフリージアの香りだよ」


夕太「へー…これにぃなちゃんが使ってるけど俺入るの最後だからこーゆーの選ばしてくんないんだよね」


雅臣「なら今日は柊が1番最初に入るか?蓮池が違う入浴剤がいいならまた湯は入れ直せばいいしな」



バスソルトも見せると、



夕太「まじ!?俺1番風呂でいいの!?」



どんどんと嬉しそうに体当たりしてきて、風呂に一番に入れるだけでこんなに喜ぶだなんて普段はお姉さんの方がやっぱり立場が強いのだろうか?



雅臣「洗濯とかこき使われてるもんな」



よく分からないが写真で見た限り柊とお姉さん達は年齢差がありそうで、洗濯の話を思い出して冗談ぽく伝えると、



夕太「……それ彼女に言ったらフラれるよ」


雅臣「え」



信じられないと言うように柊は眉根を寄せていた。


急に自分が物凄く間違ってるような気がして慌てて訂正しようとするが、




楓「てめぇはさす九か!!」




と耳聰い蓮池にリビングから大声で言われるがその言葉の意味がわからない。


さすきゅう、とは?


ただ柊もその言葉に同意するようにうんうん頷いているので、あまり良い意味のものではない気がする。


後で調べようと思うと同時に家事の発言は以後気をつけることにしようと胸に誓った。




雅臣「___で、何か俺に用があったか?」


夕太「あ!そうそう!でんちゃんがね…」



色々分が悪いように思えて無理矢理誤魔化すことにするが、何故か柊がチラチラと上目遣いでカナリアのように口を尖らせ人差し指をモジモジ合わせている。



もしかして、蓮池がまだ何か食ってるんだろうか。



あれ以上食ったら腹を壊すぞと不穏な空気を感じてリビングに戻れば蓮池がソファに転がってるのが見えた。


何だ何も食べてないじゃない…か……、



雅臣「は、蓮池お前……!!」



一瞬思考が停止したがよく見れば蓮池はいつの間にか俺のゲーム機を使ってとび森を始めていて、しかもクロヒョウになって島をぶち壊していた。



雅臣「は、はぁ!?いつの間に……!?やめろ!やめろよ!!」


楓「おークロヒョウって走るの速いな」



丹精込めて作った百合の花壇をクロヒョウがゲシゲシと踏み潰しているのを見ていてもたってもいられず悲鳴を上げる。



夕太「あーあー、全然原型がなくなっちゃってる」


雅臣「柊!何で止めておいてくれなかったんだよ!!」


夕太「だから風呂場に呼びに言ったんじゃん!!でも雅臣がズレたこと言うから忘れちゃって…ねぇーでんちゃんさすがに壊しすぎだよ」


雅臣「前から言おうと思っていたけど、そういう時は早く言ってくれよ!!」



一応報告しに来てくれた優しさには感謝するが、何よりもまず蓮池の暴走を止めないとと無理矢理ゲーム機を奪うために追いかけ回した。




_________


_______________





夕太「目がシパシパするー……」



今日は1日中食べてゲームしての繰り返しだったなと眉間を押さえる柊を見て気がついた。


結局宿題も何もせず遊び呆けてしまったが、初めて2人で俺の家に来てくれたのに勉強だけってのも……。


まぁ、まだ夏休みは長い。


これくらい許容範囲だろうと良しとすることにした。



夕太「てかどこで寝る?」


雅臣「ベッドなら俺と柊くらいなら寝れるけど……せっかく2人が来たんだから2人でベッド使えよ」



今度は来客用に敷布団とかも用意しておこうと考えながらそうと伝えると蓮池は眉根を寄せた。



夕太「んー、でんちゃんこそソファじゃない?直立不動で寝るんだし」


楓「夕太くんってそういうとこあるよね」


夕太「何だよー、大体家主の雅臣がやっぱベッドじゃね?俺これ持ってきたしさ」



柊はフランス土産もカップ麺も全てが入っていたでかいリュックから何やらまさぐると、



夕太「じゃーん、これ!!」



取り出したのは寝袋で、そんなものまで入っていたのかと柊の本気のお泊まりセットに驚愕してしまった。



雅臣「いやそれじゃ体が___」


楓「あー…そうだね。さすがにね。うちとは違うから夕太くんはその方がいいかも」



柊の為にアイスは買いに行くくせに寝袋は推奨するそのズレっぷりが理解できない。


やっぱりこいつらの感性って俺にはよく分からないなとため息をついてしまった。



雅臣「何言ってんだよ、お前達は客なんだから。俺がこれで寝るよ」


楓「うわお前……まじ?正気?」


雅臣「1日位大丈夫だ。俺がベッドの横で寝袋で寝るよ」


楓「夕太くんがミノムシみたいに寝た方がいいと思うけど……」



珍しく引かない蓮池にどうしたと目を見張る。


いつもなら


〝来客なんだからてめぇが気を遣え〟


とか、


〝陰キャは床で寝ろ〟


だとか言いそうなのに、こういう気遣いだけはできるんだよなと蓮池を見つめた。



夕太「ミノムシってなにさ!!」


楓「こうぎゅっと、ぐるぐるっと」


夕太「でんちゃんなんか寝方水死体じゃん!!」


楓「夕太くんよりはマシ___」


雅臣「け、喧嘩するなって!俺が寝袋で柊がベッド、蓮池はソファでいいだろ?」



蓮池は好きにしろよとため息をつき、柊は嬉しそうに俺に体当たりしてきた。


歯を磨かせてから早速ソファで寝ようとする蓮池に慌ててタオルケットを手渡し、初めてのお泊まりは終焉を迎えた。






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