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100.【生徒会からのお呼び出し】




いよいよ期末テストが始まった。


しかし中間より格段難しく感じるのは気のせいか?


前回は教師が慣らし運転のように作ったと言われるくらいにレベルを上げられ、勉強会の成果はあるものの中々厳しい現状だった。



楓「……死ぬ、もう無理、お腹空いた」



椅子に座ったままがっくりと項垂れる蓮池の気持ちも少しだけ分かる気がする。


今日は4教科もあった上に特に物理が難しく、思い出すのも嫌になるがこれで理系科目は全て終了したので残すは文系科目のみとなる。


しかし今回は過去問以外に問題集を更に捻ったのも出たので油断もできず、まだ期末テスト中日だというのに俺も心が折れそうだった。


今日は金曜日で土日は勉強漬けになるのが確定だが、これなら一気に終わらせる方がマシな気がする。



夕太「でも月曜は2教科じゃん?しかもほとんど過去問から出る古典と英語」


楓「はいはい頭良い自慢ね、どーせ俺はバカですよ」



柊が大丈夫だよと応援するが蓮池は力尽きて机に突っ伏している。



雅臣「……蓮池、英語も出そうな問題ピックアップしようか?」



終礼後2人の席の横に座らせて貰って話していたが、蓮池1人プールに行けなくなるのは可哀想でそう問いかけると柊がいち早く反応した。



夕太「ちょっと待てよ雅臣。英語も、ってどゆこと?」


雅臣「昨日の夜に今日の生物で確実に出そうなものだけをチャットしといたんだよ」



前回同様生物は先生が口頭で言ったことが多く出るのは間違いなかった。


授業中寝てばかりの蓮池に余計なお世話かもしれないが、ノートに纏めておいたものと一緒に出そうな問題を全てチャットしておいたのだ。


既読だけはついたので、まあ俺の自己満だしいいだろうとスルーしていたけれど、



楓「……送っといて」



そう一言だけ言う蓮池に、どうやら役立ったようだと察した。


最近は蓮池の素っ気ない返事でも何となく裏が読めるようになり、明日の英語のポイントを家に帰ってから送ろうと決める。


それにこの纏め作業が自分の復習にもなって中々いい感じなんだよな。



夕太「……へー」



意外とばかりに柊が幼馴染見るが蓮池は無視したままだった。


そろそろ帰るか、と鞄を手に取った瞬間、



『 生徒会より連絡。SSC部長、まだ残っているなら至急生徒会室まで来るように』



…………。


校内放送に突然呼び出された。




雅臣「__え、これ俺か?」




〝SSC部長〟に反応して呟く俺に、まだ残っていたクラスメイトが数人傍に寄ってきた。



「とっと部長なん?」


雅臣「成り行きでな」


「生徒会呼び出しなんて、今度は何やったんだよ」


雅臣「何もしてないって」



今度はだなんて、まるで俺が何度も揉めているような言い方に苦笑してしまう。


とりあえず行くかと立ち上がると、柊がポロシャツの裾を引っ張ったのでひっくり返りそうになった。



雅臣「な、何だよ柊」


夕太「……俺も行く」


雅臣「柊も?」



何しにと思うが柊は着いてくる気満々の顔をしていてる。



夕太「生徒会室行ったことないだろ?」



どうやら案内をしてくれるようだ。


確かに俺は一度もそこに行ったことがないし、よく申請に行って場所も詳しい柊が着いてきてくれるのは非常に助かるが……。



雅臣「教えてくれるのか?ありがとう」


夕太「もち!それにね……」



柊の気遣いを有難く受けることにして素直に感謝を伝えれば、柊はふっふっと笑いながら着いてこいと言わんばかりに先を歩いて行ってしまった。





______



____________





山王の中等部と高等部の間にはもう1つ校舎がある。


全ての校舎は3階の渡り廊下で繋がっていて、その真ん中の校舎に職員室や調理室など纏めてあるのだが、5階の生徒会室は初めて訪れる。



楓「高等部の5階から直で来れないのダルすぎ」


雅臣「……蓮池まで来ることなかったのに」


楓「後で俺に感謝することになるよ」



蓮池の人を茶化してもったいぶるような言い方は今更なので、俺はそうかとだけ呟いた。


柊の後について5階へ向かうと生徒会室は職員室とは違う雰囲気で、重厚な扉の上には〝生徒会室〟と掘られた古い木製の表札が掲げてあった。



雅臣「……開けていいのか?」


夕太「うん、俺いつもこうやって…」


雅臣「あ、馬鹿!」



俺が開けるのを躊躇した瞬間、柊はノックも失礼しますの一言もなくその扉をぐいと開けた。




「__あら?本当に?」


「……みたいだな」




中に入ると年代物の赤茶のプレジデントデスクが1番に目に入った。


生徒会長と札の置かれた机の上には書類が積み重なっていて、そこに座る多様性生徒会長と横に控えるのは眼帯カラーグラスだ。


それぞれのポロシャツの襟に生徒会所属を示す金のバッジが燦然と輝く。


しかしその輝きよりも派手なのがやはりこの2人の外見だ。


生徒会長の長い三つ編みはもう見慣れたものだが、背の低い方は相変わらず右目に海賊の如く黒の眼帯をして、その上から緑のカラーグラスって何がどうしてそうなったのか。


この2人と会うのはタコパ以来だがどちらも理解不能のスタイルだ。


挨拶もなく奥に進む柊を多様性生徒会長は全く気にしていない様子なので、どうもこれはいつもやってるなと俺の方が色々落ち着かなかった。



「チビちゃん、椿はいなくってよ」


夕太「えー!!後から来る?」



………。


…………柊、お前絶対案内が目的じゃないだろ。


プレジデントデスクの前に置かれたこげ茶の革のソファに勝手に腰掛ける柊はさておき、ここに呼ばれた意味が分からないので先に俺から尋ねることにした。



雅臣「えっと…何か用で……?」


「あぁ、そうそう文化祭の件についてなんだけどね」



先日提出済みの申請用紙を生徒会長はヒラヒラとして俺の前に突き出した。



雅臣「何か記載不足とかありましたか?」



三木先輩の癖字で書き込んであるが、あの人に限って書き漏らすなんてことはないだろうと用紙を見つめると、



「部長欄に間違いはないか?」


雅臣「え?はい……」



眼帯カラーグラスにそう問われ素直に頷くと、生徒会の2人は顔を見合わせた。







読んでいただきありがとうございます。

ブクマや評価していだだけて本当に嬉しいです!

いただけると書き続ける励みになるので、ぜひよろしくお願いいたします♪♪


ついについに100話!!

ここまで書き続けられているのは読んでくださる皆様のおかげです!

夏休み編など、まだまだ続きますのでこれからもよろしくお願いいたします✨


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