十六小地獄
「ーー以上の点から貴様は等活地獄、刀輪処行きじゃ」
閻魔殿にて仕事をしている茜だが、まだまだ覚えることが沢山あり、片手には地獄観光用の書物を持ち歩くことが日課になっていた。
刀輪処とは等活地獄の中に、十六ある小地獄の一つで、刀を使って殺生をした者が行く地獄らしい。
茜が書物で内容を確認していると、凛が静かに近付いて来た。
「勉強熱心ね」
「勉強熱心というより…自分が住んでいる場所を少しでも分かりたくて」
「蓮が八大地獄の紹介はしてたみたいだけど、十六小地獄は時間が無いと回れないものね」
地獄は、等活地獄、黒縄地獄、衆合地獄、叫喚地獄、大叫喚地獄、焦熱地獄、大焦熱地獄阿鼻地獄の八つに大きく分けられていて、それらに十六小地獄が付随しているのだ。
今回の裁判で出てきた刀輪処は、鉄の壁で囲まれていて下からは猛火、上からは熱鉄の雨が降り注ぐ場所らしい。名物は樹木から刀の生えた刀林処で書物にも写真が乗せられていた。
「見学はしてみたいけど、見てるだけで熱くて痛そうな場所ばかりだね。」
「地獄ですもの。暑いのが嫌だったら八寒地獄は?亡者が氷漬けにされている名物の壁もあるわよ。」
「いや、俺は刑場よりも鬼録室と裁判所が一番あっているみたい。見学は、ツアーを探してみるよ」
この地獄には要人や新卒、子供向けツアーが組まれることがあるらしい。蓮から聞いてはいたが、中々休みが合わず参加出来ていない。機会があれば見学はしたいが…
パタンと見ていた書物を閉じて茜は隣に立つ凛を見る。一瞬凛も誘おうかと思ったが、彼女も蓮も刑場にはよく出向いているから、興味は無いだろうと思い諦める。
「ツアーなら私も行きたいわ。行ったことがないからどういう内容か気になってたのよね」
一緒に行きましょうかと、凛はサクサクと話を進めて行き、あっという間にツアーの予定が組み込まれていた。
さすが閻魔大王の側近。仕事が早い。
「この日しか取れなかったけどいいかしら?」
「え?あぁ…うん。大丈夫」
「裁判中にイチャつくでない!!」
全く、といつの間にか傍に来ていた閻魔大王に二人は怒られる。イチャついてませんよと諭しながら、凛は閻魔大王を連れて裁判所内の机へと戻って行った。




