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鬼録室の管理人  作者: ira
6/9

日常


あれから数日が経ち、男は凛と蓮から地獄についてや仕事について教わる日々が続いていた。

等活(とうかつ)地獄、黒縄(こくじょう)地獄、衆合(しゅうごう)地獄……秦広王(しんこうおう)五官王(ごかんおう)五道転輪王(ごどうてんりんおう)……覚えることが多く、地獄観光用の書物を参考にしながら各所を巡り挨拶をしていた。刑場と裁判所、歩いた歩数もかなりのものだ。


「茜!あーかーねー!」


「そんなに大きい声出さなくても聞こえてるよ」


茜というのは男の緋色の髪から連想して、閻魔大王が着けた名だ。管理人だと長くて呼び辛いと、就任が決まったあの後すぐに決めたのだ。

ドスドスと足音を立てながら蓮が鬼録室までやってくる。たった数日だが、蓮の気さくさもあり茜と蓮は旧友のような間柄にまでなっていた。


「今日は勉強の日だっけ?」


「ちげぇよ!閻魔大王が茜は明日、仕事休みでいいって言ってたぜ」


「就任したばかりなのにいいのか?」


茜は左手に持った書物を片付けながら、椅子に座っている蓮に話しかける。

周りを飛び交う俱生神達は自分の仕事を終えてから、茜を手伝おうと書物を茜に渡していた。その光景もなかなか珍しく、蓮は興味深そうにその様子を眺めている。今までは獄卒が入ってきても気にせず次へと移動してた神々だが、茜がずっと鬼録室にいるからか、茜に興味を持ち徐々に仲良くなったらしい。

馴染めてきているようで良かったと、蓮は安心しながら背もたれに背中を預け話を続けた。


「ここ数日の給金を預かってきた。それで服とか必要なもの買いに行こうぜ」


俺が案内するからと蓮は豪快に笑ってみせ、足りない分は奢ってやると胸を張った。

茜が今来ている服は蓮が昔着ていた服で、身長は同じくらいのため丈に問題は無いのだが、華奢な茜には胴回りの大きさが合っていない。


「確かに蓮から借り続けるのは悪いからな。休みが貰えるのはありがたい。」


決まりだな!と言うと蓮は立ち上がる。もう行くのか?と茜が聞くと明日出かけるためにも、今日の仕事を終えてからと凛と約束したそうだ。

じゃあまた明日なと手を振る蓮に軽く返事を返して、茜も自分の仕事を終わらすことに励んだ。


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