表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
24/29

6−2

* * *




「今回ばっかりは俺も行く!!」

「良いって!一人で大丈夫だよ!」

ウラ爺から一通り荷物を受け取ったあと、突然ジュードが同行すると言い始めた。というのも、サイサリスという薬師が危ないという主張をしているのだ。

「あのサイサリスって奴、ヤバい薬とか禁術の研究してるって専らの噂なんだぞ!!お前一人で行って薬の材料にされたらどうする!!」

「でも、それってウワサでしょ?本当は違うかもしれないよ!」

そう話すアレルの頭の中には、ミランダの寂しそうな表情が浮かんでいた。彼女も見た目で判断され、迫害を受けていた。まだ会ったこともないサイサリスという人物も、何か誤解を受けているだけなのかもしれない。そう考えているのだ。

「だぁから実際マロの診療所で会ったことあるんだって!!かなり怪しい見た目と喋り方だったんだって!!

ウラ爺も何回か配達行ったんだろ!?止めてくれよ!!」

「ゴロ…」

助太刀を求められるウラ爺は困ったように鳴く。恐らくおおむね同意だが、実害を受けていない以上は何とも言えないと言ったところだろう。

「そんなこと言ったらジュードだって顔怖いじゃん!」

散々な言い様にアレルがムッとしながら言い返すと、ジュードがぐ、と声を詰まらせた。

「お、俺は…!」

「だけど、ジュードはすっごく優しいし、孤児院の子たちにも人気だし、見た目とは全然違うでしょ!」

「………」

続けられる言葉にややホッとした表情を見せ、すぐに顔を引き締める。だが、徐々にその顔から自信が失われていくのが見えた。

「……し、しかしだな…」

「そんなに心配なら、なるべく遠くからなら良いよ。俺は大丈夫!きっとサイサリスさんも良い人だよ。マロ先生の知り合いなんでしょ?」

「……」

完全に一転攻勢。アレルが意外と頑固なことを悟り、ジュードは言い返すことをやめた。

「…分かった。ただ、マジで心配だから付いてくのは絶対だ。何かあったら即助けるからな」

「ありがとう。でも、怪しいだけなら何もしないでね。話し合いでどうにか出来るかもしれないし」

ニッと笑って、アレルは鞄に荷物を詰め始める。ジュードは頭をボリボリと掻きながら、猟銃を取りに近くの部屋に入っていった。

「心配性なんだから…ね、ウラ爺」

彼の背中を笑いながら話しかける。ウラ爺はゴロロ、と小さく唸った。




「はい、お代。今日も忙しそうね」

フロワがアレルの手を取って代金を渡す。いつものようにふわりと笑うと、アレルが頷く。

「今日は特に件数が多くて。また暇な日に、子どもたちと遊んでもいい?」

「勿論よ!みんなアレル君が遊びに来てくれるのを待ってるの。きっと喜ぶわ」

「へへ…じゃ、また」

軽く挨拶して去ろうとすると、フロワがシャツの裾を引いて引き止めた。

「待って!……フレッド君にも、また来てって伝えてくれないかしら?」

「え…」

「この間、あんまり元気がなさそうに見えたから心配で…。お父様がご病気とも聞いたし、うちで何か手伝えないか気になってたの。遠慮しないでって伝えてあげてくれる?」

「……」

いつもなら即頷いただろうが、アレルの脳裏に昨日フレッドの辛そうな顔が過る。

「…うん、会えたら伝えるね。それじゃ!」

ぎこちなく笑い、逃げるようにしてその場を後にする。フロワのお願いね、という声が、今のアレルには少し辛い。

アレルの気持ちに呼応したように、脚がズキン、と痛む。

「はぁ、はぁ……痛み止め、飲んだのにな…」

思わず弱音が溢れたが、その気持ちを振り切るように息を切らして走った。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ