6−1
サイサリスがアレルの命を狙い、ついに動き出した。2人の接触を防ごうと動くフレッドだったが、足取りは掴めない。はたしてフレッドはアレルの危機を救うことはできるのか?
「フレッド…もう行くのか?」
早朝、朝食を作り終えたフレッドがひっそりと家を出ようとした時。まだ寝ているはずの父が背後で訝しげな顔をして立っていた。
「寝てないと駄目だろ!また熱出てるんだろ?」
「俺のことは気にするなって言ってるだろ。それよりも…」
父はふらつきながら近付くと、フレッドの腕を掴んだ。
「お前、また無茶してるだろ?顔色悪いぞ」
「…何で……」
「そりゃ分かるさ。お前の親父だぞ?」
真剣な目で語りかけられると、何も言い返せない。しかし今は、振り切ってでも行かなければならない。
昨日、サイサリスの思惑の手掛かりだけでも掴もうと走り回ったものの、まるで尻尾を掴めなかった。
彼がいつ行動を起こすか分からない。それは今日かもしれないし、今この瞬間にも、もしかしたら。そう思うと身体から力が抜けそうになった。
「…俺……行かなきゃいけないんだ。今無茶しなきゃ、あいつが死んじまうかもしれない…」
フレッドが絞り出すように言い、そっと父の手を押し返した。その脳裏に、サイサリスの悍ましい笑顔が浮かぶ。父はもう一度手を伸ばすも、息子の思い詰めた顔にゆっくりと手を下ろした。
「…分かった。今日マロ先生がうちに来るから、その時にお前の助けになってもらえるよう伝える。だから…一人で無茶するのだけはやめてくれ」
「父さん…」
「お前まで失うのは…耐えられない」
父はフレッドの両肩をつかみ、トン、と背中を軽く押した。その手が微かに震えているのを感じ、背中越しに父を見る。
父は不安げな顔から、ニカッといつもの笑顔を作った。
「行ってこい。そんで、ぜっっったいに無事で帰ってこいよ」
「…うん。行ってきます」
父の言葉に深く頷いて、フレッドは家を飛び出した。




