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サトシ先生は美しき十代の乙女に手を出さない  作者: 白神ブナ
第三章 一年三学期

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第97話 合否判定会議

 白金女子学園の入試は、デジタル採点を採用していた。

解答用紙にはQRコードがあるのは、デジタル採点をしている証だ。


デジタル採点とは、入試が終わった答案を全てスキャナーにかけると、パソコンに全部データが取り込まれ、それをパソコンのカーソルキーで採点していくシステムだ。


(はあ、時代は変わったなぁ。これなら受験者数が膨大な数でも早く採点できるというわけか。私立は、お金をかけるべきところにお金を使ってくれて助かる)



採点はミスがないように必ず二人以上の先生が、同じデータを採点することになっている。

取り込んだデータの、問1だけがずら―――っと出て来る。

それを、カーソルキーの右が〇、左は×となっていて、ひたすら右、右、右、左、左と、一人目の先生が赤い〇でひたすらカチカチ採点していく。そのあと、二人目の先生が同じデータを青い〇で採点していく。

もし、二人目の先生のところで採点ミスがあった場合は、赤い丸の上に青い×をつけて採点をしていく。


「古松川先生とサトシ先生、ペアになって作業してください」


「はい、わかりました」



解答は前もって、入試制作部が作ったものがあってそれを見ながら、古松川先生が赤で〇付けしていた。

次に、サトシは古松川先生が採点した赤い〇を確認するように、青の〇でチェックしていった。


合計点は機械処理され、自動的に〇つけの段階で入力されていくシステムだ。

だから、手計算での合計点は出さなくて済む。



 さて、そのあとはいよいよ合格判定会議だ。

パソコン上に高得点順にずらっと名前が並んだ。


学校には歩留まり率というものがあって、定員200名に対して合格者数というのがだいたい決まっている。

その人数に照らし合わせ、点数の高い順からのリストでだいたいこの順位で合否ラインをひきましょうということになる。

この采配は校長が決める。


「今年はこのラインで行きましょう」


「校長先生、公立校と併願する子、またはライバル校に行く子もいますから、実際の入学者は減ります。それを見込んで、もっと合格者出してもいいんじゃないですか?」


「あまり歩留まり率を越えて合格者を出すと、補助金を打ち切られちゃうんですよ。以前にあまりに合格者を出し過ぎて、教室が足りなくなって、増設した年もありましたしね。ここは堅実にいきましょう」


堅実な校長と少しでも入学金を多く取りたい教頭との間に、意見の相違があったが、結局は校長の采配で合否判定は決められた。


白金女子学園は女子校なので、男女比率を気にする必要が無い。

単純に合否ラインは点数でズバっと切られていた。

合否きわどいラインに複数名いた場合は、内申点で管理職が合否を決めるということになる。


ここで合格者が決まると、先生たちの仕事は終了する。

合格発表は、翌日にホームページ上で行われ、合格者の受験番号の紙を貼りだすことはない。

あとは、管理職の先生方の事務作業になるので、先生たちは互いに


「お疲れー」

「お疲れさまー」


などと言いながら、その日は退勤していった。



 古松川先生は、サトシを飲み会に誘いに来た。


「サトシ先生、お疲れ様でーす。ちょっと反省会行きませんか?」


「反省会? いや、わたしは反省するとしたら、あれですかね。掲示板に画鋲が一個残ってって、教頭にこっぴどく叱られました」


「いやいや、そういうマジな反省会じゃなくて、これですよ」


そう言いながら古松川先生は、手でくいっとお酒を飲む仕草をして、飲み会アピールをした。


「あ、なんだ。いや、大人数での飲み会って、ちょっと苦手なんで……」


「今どきの若い先生は、ほんとに飲み会に参加しませんねぇ。大人数じゃないですよ、わたしと大山先生で、いいお店を見つけたんで、そこに行くんです」


今どきの……と言われて、サトシは面白くなかったが、若いと言ってくれたから許すことにした。

それに、参加するのが仲のいい大山先生と古松川先生なら、たまに参加してもいいかなという気になった。


「ちょっとだけの参加でもいいですか?」


「いいですよ。大歓迎。行きましょう、行きましょう!」


「サトシ先生、今日の緊張をほぐしにいきましょー」


大山先生もノリノリでサトシを飲み会に誘った。


こうして、入試の合否判定会議までやりきったサトシは、珍しく同僚の先生方と、夜の街に繰り出して行った。


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