表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
サトシ先生は美しき十代の乙女に手を出さない  作者: 白神ブナ
第二章 一年二学期

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

81/273

第80話 サトシと美柑の探偵ドラマ②

 「先生、インターホンを押してよ」


「別に構わないけど、いいのか? 押すよ。後悔するなよ」


「はい。覚悟はできてます」


「じゃ、一、二の三! と、言ったら押すからな」


「はい」


「一、二の三! で押して、後悔するなよ」


「いいから先生、早く!」


「わかってる。押すぞ、いいか」


「もう! 何ビビってんのよ。こんなの押すだけじゃん!」


勢い余って桜井は、インターホンに手をついた。


「あ」


ピンポーン

プツ、

―はい、どちら様でしょうか



桜井はとっさにインターホンの前に、サトシを押し出した。


「先生、先生。あいさつして」


「おま、桜井、こら……、あのぅ、いつもお世話になっております。桜井アキラの身内のものです。近くまで来たものですから、ご挨拶をと思いましてー」


「まあ、アキラくんの。少々お待ちくださいませ」


サトシは桜井に向かって、小声で「成功したぞ」とドヤ顔してみせた。


「これからが本番よ。まだわからないわ」





 玄関扉が開いて、五十代くらいの女性があらわれた。

とりあえず、大人のサトシから挨拶を切り出した。


「いつもアキラがお世話になっております。すみません。突然お伺いして」


「いいえ」


「あの、わたし桜井アキラの姉です。これ、つまらないものですが……」


「あのぅ、ご主人はご在宅でしょうか?」


「いえ、まだ……」


すると、奥の方からアキラの声が聞こえて来た。


「あーーー、美柑、何しに来たんだよー。迎えならまだ早いぞー。帰んないからなー」


「アキラ! あんた、わがまま言ってないでしょうね!」


サトシは、吠える桜井を後ろに引いた。


「このたびは、まことにご迷惑をおかけしまして、申し訳ございません。ほんとうにそちら様には、アキラがお世話になりっぱなしで、ろくにお礼にもうかがえず……」


大人の対応である。

しかし、出てきた女性は困った顔をして首を振った。


「あの、わたくしは家政婦です。ですから、ご挨拶は直接ご主人のほうにしていただけますか?」


「あ、これは、大変失礼を。まことに申し訳ございません。で、ご主人さまはいつ頃お帰りに?」


「今日はそんなに遅くならないと聞いております。お待ちになりますか?」


「では、失礼してそのようにさせて頂きます」


アキラは、サトシが来てくれたのが嬉しくて、テンションが上がりっぱなしだった。


「わーい、サトシおじさーん、来てくれたんだ。一緒に遊ぼうよ、ねぇねぇ、アツシ、僕のおじさんとお姉ちゃんを紹介するよぉーーーー」



桜井は、笑いながらサトシに言った。


「アキラったら、僕のおじさんですって。よかったですね、先生と呼んでいなくて」


「ああ、いかにも身内のおじさんに聞こえるな。おじさんと呼ばれることが、こんなところで役に立つとは」


サトシと桜井は、最初は応接間へ通されたはずが、結局はアキラとアツシによって、リビングまで引っ張り出された。

アキラの同級生であるアツシが、丁寧に挨拶をした。


「どうも、こんにちは。長谷川アツシです。アキラくんとは同じクラスです」


「まあ、きちんと挨拶のできるいい子ね。せんせ……おじさん、そう思わない?」


「桜井まで、俺をおじさんと呼ぶ必要ないだろ」


「だってー、先生なんて呼んでもよろしいのかしら」


「なぜ、突然お嬢様になるんだ、桜井」


「おじさん、僕ねー、友達のアツシとゲームしてたんだ。一緒にやろうよ」


「そ、そうかぁ。おじさんは、今日はゲームしなくてもいいかなぁ。アキラくん、友達と一緒に遊んでいなさい」


「げっ! つまんねー」


アキラが友達の方へ行ってしまうと、サトシは桜井に言った。


「げっ! という口癖。桜井とそっくりだな」


「え?! そんなこと言います? わたし。嫌だわ、変なところが似ちゃって。顔は全然似てないのに」


「確かに。アキラくんは目が大きくて可愛い」


「せん、……おじさん、ハルちゃんと同じことを言うのね。そうよ、アキラは目が大きくて可愛いわよ。わたしに似ないでね」


「アツシくんも、目が大きい子だね。あれ? アキラくんとアツシくん……」


サトシは桜井と顔を見合わせた。


「「似ている!」」


「やだー、まるで兄弟みたい」


「まさか、そんなことは……偶然だろう。桜井、考えすぎだ」


「そうだわ。家族写真か何かないかしら。それに映っている人を確かめたい」


「そこまで……」


「アツシくーん、家族で撮った写真とかあるー?」


「あるけど、どうして?」


「ほら、もうすぐサンタクロースのおじさんが来るでしょ。プレゼントを間違いなく届けるために、サンタさんったら、どうしても顔写真で家族の確認が必要だってー」


「桜井、今どきの小学生がそんなベタな嘘に引っかかると思うか?」


サトシはツッコミを入れたが、純粋なアツシは、すんなりと桜井の話を信じた。


「そっかーーー! そうだよね。サンタさんにはちゃんと間違いなく届けてもらわないとね」


桜井は、サトシと目を合わせてにんまりと笑った。


「ほうら信じたわ。素直ないい子だこと」


「桜井は純粋な子どもを騙す、小悪魔だな」



純粋なアツシはサイドボードの上に飾ってある写真を指さした。


「あれ! あれでもいいのかな」


サトシと桜井は、サイドボードに駆け寄って、その写真に写る人物を確認した。

家族写真に中でにこやかに笑っている父親らしき人は、あの長谷川さんによく似ていた。


「マジかよ」





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ