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サトシ先生は美しき十代の乙女に手を出さない  作者: 白神ブナ
第二章 一年二学期

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第77話 終業式を欠席した桜井

 二学期の終業式。

桜井美柑は欠席した。


学年主任の藤原先生が、サトシに伝えた。


「サトシ先生、桜井美柑は今日欠席するそうです。さっき、本人から連絡がありました」


「そうですか」


「保護者の方に確認しますか?」


「いいえ、大丈夫です。わたしから確認します」


会話を聞いていた教務主任の五十嵐先生が、サトシのところまでやってきて言った。


「大丈夫ですか? 桜井美柑だけ進路調査票が未提出のままですが。このまま、冬休みに入ってもいいんですか?」


「すみません! よくありませんよね。今日、家庭訪問してみます」


「お願いしますよ。桜井は教頭先生からも目を付けられていますからね。問題を起こす前に、なんとか指導をお願いしますよ」


「はい」


サトシは桜井の家に電話をした。


(桜井が問題を起こすわけないだろ。そんな目で見ていたのか桜井を……。今頃の時間なら、桜井の母親はまだ寝ているかもしれない。それに、桜井も具合が悪いのなら寝ているだろうし。簡単に電話に出られないかも……)


サトシはそう予想して、電話した。

だが、予想に反して意外に早く電話はつながった。


「白金女子学園の佐藤サトシです。桜井さんのお宅でしょうか」


「あ、先生」


「ん? 桜井か? どうしました?」


「あの、年に三回しか来ない生理の二日目で、具合が悪くて動けません。きょうはお休みしてもよろしいでしょうか」


「そういう事情なら仕方ありません。桜井はそういう体だと医者から言われているんだから、無理しないで寝ていなさい。通知表は先生が届けるから」


「すみません」


「お母さんはいますか?」


「いません。母は昨夜、……海外旅行に行きました」


「え? それじゃ、桜井はアキラくんと二人で家にいるんですか?」


「アキラは、今朝から友達の家に遊びに行っています。それで、そのまま友達の家に泊るんだそうです」


「ええ? じゃあ、桜井ひとり?」


「大丈夫です。寝ていれば治りますから」


「そういう問題じゃないでしょう。長い話は後でするとして、とりあえず寝ていなさい。通知表はあとで先生が持って行きますから。いいですか? ちゃんとおとなしく寝ているんですよ」


「はい、すみません」


電話を切ると、サトシは教室へ移動するため出席簿などを準備した。


挿絵(By みてみん)


終業式は何事もなく済んで、教室での帰りのHRも終わった。

すると、桃瀬と柚木がサトシのところに駆けつけて、質問攻めにはなった。


「先生、美柑はどうしたんですか? 終業式を欠席するなんて」


「何かあったんですか? 最近、美柑の様子がおかしかったし」


桜井の仲良しグループからの証言が出て来て、サトシは思わず聞き返した。


「桜井の様子がおかしかった? 柚木、何か気になる事でもありました?」


「窓の外を眺めて憂鬱そうにしてましたよ。でも、美柑ってよくそんなことある子だし、いつもの事だと思ってましたけど。ね、ハルちゃん」


「うん、そうよね。でも今思うと、やっぱり、何か悩んでいたのかなぁ。最近の美柑ってさ、わたしたちに話してくれないことが多いよね」


不満そうに桃瀬は頬を膨らませた。


(そりゃ、友達に秘密にしたいこともあるだろう。思春期なんだし)


「柚木も桃瀬も、心配しなくても大丈夫ですよ。ちょっと体調が悪かっただけのようだし、後で先生が通知表を届けに行くついでに、様子を見て来ますから」


「サトシ先生が美柑の家に行くのなら安心ね」


「そうだね。ハルちゃんの言う通り。サトシ先生が行ったら、美柑はたちどころに元気になるかもね」


柚木の言う通りに、たちどころに元気になってくれるのなら、何度でも家庭訪問してやりたいとサトシは思った。




 午後になって、サトシは桜井の家に向かった。

変な話だが、何度も桜井の家に行っていても、教員として家庭訪問するのはこれが初めてだった。

今回はあくまでも教務だから、と自分に言い聞かせながら歩いている。

だが、桜井の事が頭に浮かぶと、つい何かを買っていってやろうかなんて思ってしまう。


(コンビニでプリンぐらい買っても問題ないだろう。もちろん、ポケットマネーで)


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